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クリニックニュース 2013年12月5日号

2013/12/16

「診療所の外来機能要件、撤廃」など在宅推進の論点を提示

《政府 規制改革会議 健康・医療ワーキンググループ》

政府の規制改革会議は11月26日、第13回健康・医療ワーキンググループを開催し、医療提供体制に関する規制緩和として、「在宅医療・在宅介護の推進」に関する論点(案)を示した。①在宅診療提供体制の充実、②医療従事者の在宅医療・介護への参加推進、③介護施設への訪問診療の算定、④訪問診療のサポート体制整備 ――等が挙げられている。
在宅診療提供体制の充実における具体案としては、診療所の外来機能要件の撤廃が掲げられた。厚生労働省提出の参考資料では、在宅医療を専門に行う保険医療機関の課題として、▼健康保険法の趣旨から、保険医療機関に『外来応需の体制を有していること』を求める解釈上の運用がなされている、▼全国一律の運用基準や指針などはなく、厚生局によって、指導内容や方法等に違いがあるとの指摘がある、▼在宅医療を専門に行いたい診療所にとって外来診療の前提が制約要件となっているとの指摘がある ――の3つが挙げられた。その論点を「フリーアクセスを確保しつつ在宅医療を推進していく中で、在宅医療を専門に行う保険医療機関についてどのように考えるか。また、在宅医療を行う保険医療機関の外来応需体制についてどのように考えるか。」とし、考えられる要件案として、在宅医療を行うことの被保険者への周知や急変時の連絡先の確保、患者が外来受診できる連携医療機関の確保などを提示している。
その他、医療提供体制に関する規制緩和として、▼医療機関の薬剤師による介護報酬上の居宅療養管理指導を行う場合の算定基準を緩和してはどうか、▼外部の医療機関による特別養護老人ホームへの訪問診療を可能にしてはどうか、▼保険診療上、ショートステイ施設への訪問診療を認めてはどうか、▼末期の悪性腫瘍患者は、最低でも2以上の要介護度が認定されるように介護認定基準を見直してはどうか ――等が提案された。

「有床診療所の評価」など次期診療報酬改定へ意見
《自由民主党 社会保障制度に関する特命委員会 医療に関するPT》

自民党の社会保障制度に関する特命委員会・医療に関するプロジェクトチーム(PT、座長:鴨下一郎氏)は、11月21日、2014年度診療報酬改定についての意見をとりまとめた。このPTは、診療報酬改定の具体的な方向性を議論し、社会保障審議会や中央社会保険医療協議会をリードするために設置されているもので、今回は「中間とりまとめ」として、総論と各論および中間的な課題に分けて、意見を提示している。この中で、医療を取り巻く最大の課題は、「活力ある健康長寿社会を実現するため、2025年を見据えて、医療機関の機能分化・連携、在宅医療の充実等を行い、超高齢社会の医療ニーズに対応する地域包括ケアシステムを構築すること」と明記。そのうえで「次期診療報酬改定においては、急性期医療の機能の明確化を図るとともに、急性期後の受け皿となる民間の中小病院、有床診療所、在宅医療等の重点的な評価を実施することが喫緊の課題」と打ち出している。
具体的な各論としては、①7対1入院基本料の見直し、②地域における在宅医療等の充実と介護との連携、③有床診療所の評価、④消費税問題 ――の4つを挙げた。中でも、有床診療所の評価として、▼地域に根ざした医療の拠点として重要な役割を担っていることを踏まえ、第6次医療法改正において明確に位置づける、▼診療報酬において適切に評価、▼先日の福岡県で起きた火災事故を踏まえ、防火対策として、補助金により、スプリンクラーの設置を推進する ――の3点を明記。また、消費税問題については、医療機関等に実質的な負担が生じないよう、消費税8%へ引上げた時に対応できるよう必要な財源を確保し、増税対応分を明確にするよう求めた。
また、本とりまとめでは、中期的な課題として、国民に質の高い医療が効率的に提供されることを前提に、診療報酬体系の在り方も含め、▼医療経済実態調査について、より正確に医療機関の実態を把握できる調査方法の検討、あるいは、調査結果の活用方法の見直し、▼患者や国民の医療ニーズを反映させた診療科間の配分の在り方、▼ICTを活用した病院、医科診療所、歯科診療所、薬局等における医療情報の共有 ――等を挙げている。
政権与党に返り咲き、初の診療報酬改定となる自民党。必要財源積み上げ式を明示しており、次期診療報酬改定はこのとりまとめに則り、重点的な評価が決まる。

医療法人の配食サービス、附帯業務に位置づけ
《厚生労働省 医療法人の事業展開等に関する検討会》

厚生労働省は11月28日、12月4日に「医療法人の事業展開等に関する検討会」(座長:田中滋〔慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授〕)の第2回・第3回会合を開催。「医療法人が行う配食サービス」等について議論し、配食サービスについては、『医療法人の運営する病院又は診療所の医師が、栄養・食事の管理が必要と認める疾患患者であって、当該医療法人が開設する病院もしくは診療所に入院もしくは通院している者、在宅医療を受けている者に対して配食を行う業務を、医療法第42条第6号に規定し、病院等の業務に支障がない限り行うことができる附帯業務のうち保険衛生に関する業務の一つに位置付ける』との提案を了承した。

消費税引き上げに伴う区分支給限度基準額の対応方針に注視を
《厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 介護事業経営調査委員会》

厚生労働省は12月4日、老健局老人保健課から各都道府県介護保険担当主管部(局)等に向け、「第9回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会の審議結果について」と題する介護保険最新情報vol.345を送った。これは、同日、開催された同委員会において議論された「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」の中で『消費税引き上げに伴う介護報酬への上乗せ対応を行うことにより、▼従前と同量のサービスを利用しているにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える可能性があること、▼2015年度に予定されている消費税10%引き上げ時には、通常の改定時の対応に加えて、今回の消費税引上げ時の対応と同様のシステム改修を要する可能性があることに留意しつつ、結論を得るよう介護給付費分科会に付言する』ということで意見が一致したことを受け、即日、情報提供したもの。今後、介護給付費分科会において区分支給限度基準額の対応方針が審議されるが、区分支給限度額の引上げを実施することになった場合、保険者のシステムに影響を及ぼし改修が必要となることも視野に、各自、介護給付費分科会の結果に注視するよう促している。

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