ホーム > ブログ > 公益法人ブログ > 特定収入に該当しない寄附金の手続きについて
みなさん、明けましておめでとうございます。
上田公認会計士事務所の松井です。
昨年のブログでも紹介させていただきましたが、平成26年4月1日以後受け取る寄附金について、一定の要件を満たした場合、消費税額の調整項目である特定収入から当該寄附金が取り除かれることになりました。今回は対象となる寄附金の要件の詳しい説明と手続きの流れを紹介させていただきたいと思います。
この改正の適用を受けるためには、寄附金募集要綱等で明らかにされていることに関して、5つの要件を満たすこと関して、募集開始時に行政庁の確認を受ける必要があります。
<要件>
①行政庁に申請を行う時点において、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第2条第3号に規定する公益法人であること。
②寄附金が特定の活動に係る特定支出のためにのみ使用されること。
⇒当該寄付金が、特定の活動に係る特定支出(次に掲げる支出以外の支出)の為にのみ使用されることが必要。実際の収入金額が当初予定していた寄附金額を超える場合、超えた部分の金額も特定の活動に係る特定支出のために使用される必要があります。
(ア)課税仕入れに係る支払対価の額に係る支出
(イ)課税貨物の引取価額に係る支出
(ウ)借入金等の返済金又は償還金に係る支出
⇒「特定の活動」…活動の内容及び時期が具体的であること。法人の実績等に比して実現の見込が低い事業は対象外。
公益認定等ガイドラインの「公益目的事業のみを実施する法人は、寄附金を受けた財産や公益目的事業に係る活動の対価として得た財産のうち、適正な範囲内の管理費相当額については、公益目的事業財産には含まれないものと整理することができる」という記載にかかわらず、募集する寄附金の一部であっても募集経費又は管理費に充てられる場合は、「特定の活動のために」募集されるという要件を満たさない。
③寄附金が期間を限定して募集されること。
⇒寄附金が期間を限定して募集されることが必要。活動時期が単年度である必要はないが、寄附金の募集を開始してから当該寄附金を全額支出するまでに多年を要する事業は、実現可能性などの観点で適切かどうか判断されます。
④寄附金が他の資金と明確に区分して管理されていること。
⇒当該寄附金が、他の資金と明確に区分して管理されることが必要。具体的には、当該寄附金の専用口座において、会計上は指定正味財産として計上し、特定資産として管理することが必要です。
⑤寄附金を受け入れる前に行政庁の確認を受けること。
⇒当該寄附金を受け入れる前に、要件について行政庁の確認を受けることが必要です。平成26年1月1日以降行政庁への確認申請を行うことができます。
<確認申請から実施報告までの流れ>
①確認申請(公益認定を受けた行政庁)
行政庁が確認書を交付し、確認の内容を公表する。申請書、募集要綱等、専用口座の通帳等の写しが必要です。
②税務署への申告書の提出
行政庁の確認を受けた募集要綱により募集を開始した後、消費税法の規定に基づいて税務署へ申告書を提出する際には、当該募集要綱に基づき募集される寄附金収入を特定収入に含めず仕入税額控除額を計算する。申告書には、行政庁から交付された確認書の写しを添付します。
③行政庁への実施報告
募集要綱で定めた事業を実施した事業年度終了後、速やかに行政庁に対し、実施報告書を提出する必要があります。実施が複数年度に及ぶ場合は、すべての事業年度ごとに報告が必要です。
要件の内容と申請の流れに関しては、以上のようになります。
詳しくは、弊事務所公益法人担当者(松井・若山・前本・恒田)までお尋ね下さい。