ホーム > ブログ > 幼保無償化半年 見えた課題
日本クレアス税理士法人 上田公認会計士事務所
保育プロジェクトチームの米田 です。
新年度が始まって早々に「緊急事態宣言」が発令され、保育園でも
対応に追われ忙しい日々を過ごされていることかと思います。
皆さま、くれぐれも体調管理にはお気をつけください。
さて、2019年10月の保育料無償化の開始から半年が経過し、
課題も見えてきたように思います。
日本経済新聞2020年4月8日の記事より、幼保無償化半年
見えた課題 自治体、「認可外」も調査・公表を!
ポイント
① 改善みられぬ「認可外」は無償化対象外に
② 処遇改善加算を賃金改善に充てぬ施設も
③ 保育所は今働いている保育士を大切に
まず第1の課題として保育の質、安全について。
今回の無償化では、国の認可外の基準を満たして
いない認可外保育所でも5年間は無償化の対象と
なっています。
教育・保育施設での事故の報告が制度化されたのは
15年の子ども・子育て支援制度からであり、再発防止の
ための検証制度が導入されたのは16年度からです。
それまではどんな事故がどんな要因で起きたのかも
把握されておらず死亡事故の背景も検証されていませんでした。
認可保育所には年1回以上、都道府県が監査を実施します。
無償化で認可外保育所も市町村の指導監査権限を有する
ようになりましたが、市町村と県が連携し認可外の立ち入り調査
の実施率向上が急務です。
第2の課題として保育士の確保。保育士不足の要因は給与の
安さにあるといわれいますが、国は基本人件費を上げ処遇改善加算も
積み増しています。
しかし自治体が施設に加算した委託費から、想定通りには
施設が保育士に給与として支給していないようです。
給与増額のための処遇改善加算を受けながら
保育士の賃金改善に充てていない施設があり
その額は7億円強にのぼると指摘されました。
そこで東京都は独自の「保育士等キャリアアップ補助金」を支給し、
受給した保育施設に財務情報とともに保育士のモデル賃金を公開
する義務を課したのです。
保育施設が勤続・経験年数に応じた体系的なモデル賃金表を
作成し公表すれば、保育士の給与レベルが確保される可能性もあります。
今働いている保育士を大事にする職場が増えれば、働きやすさを重視
する潜在保育士も安心できまます。
「人を大事にする」ことが当たり前の職場にならない限り、
保育士不足は解消されないのではないのでしょうか。