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大阪市中央区の上田公認会計士事務所の上田です。
二月もなかばをすぎ、ようやく春の足音が近づいてまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
団塊の世代が75歳を迎える、いわゆる2025年問題。75歳の3人に1人が要介護者となると言われている中、2012年に約150万人いる介護従事者が、2025年には250万人必要となると試算されています。足りない100万人もの介護従事者を今後どうするのかが課題となっています。
この人手不足に対して、次の4つの対策があると言われています。①元気な高齢者、②専業主婦等で働いていない女性、③外国人労働者、そして④介護ロボットです。今回は、④介護ロボットの開発と導入の現状についてご紹介します。
移乗介助の際に介護従事者の腰部負担の軽減させるために介護従事者が装着するロボット型スーツ、要介護者を移乗させる際に介護従事者の力の全部または一部のパワーアシストを行うロボット機器、また、認知症の方を見守りメンタルケアをするロボット等、さまざまな介護ロボットが開発されています。
介護ロボットの主な目的は、「本人の自立支援」と「介護従事者の負担軽減」です。介護ロボットはあくまでも利用者が主体となって利用するものであり、要介護者が自らの力で生活できるという自信をつけながら支援することできます。また、介護従事者の7割の方が腰痛等の痛みの治療を受けており、腰痛の原因となる抱え上げ等の作業を介護ロボットに任せることができれば、介護従事者の負担を軽減でき、介護従事者の離職も防ぐことができます。
アベノミクスの成長戦略の中でも介護ロボットは特に注目されていますが、政府は2025年問題に備えて、「ロボット介護機器開発5カ年計画」を開始しました。これは、介護ロボットの急速な普及拡大に向けて、安価で利便性の高いロボット介護機器の開発をコンテスト方式で進めていく計画です。現在の介護ロボットは、誰でも簡単に使いこなせるものではなく、また値段は2,000万円程度と非常に高価なものです。これを2025年までに、誰でも使いこなすことができ、値段も10万円程度と安価なものを、大量に生産しようというものです。また、開発と同時に、安全面・性能面・倫理面に関しても、基準を整備していくことが盛り込まれています。
ただ、介護ロボット導入には介護従事者に対する十分な教育・訓練が必要であり、また、現場でのマニュアル変更等も余儀なくされるといった課題もあります。
11年後の2025年、安全で、誰でも簡単に使うことができ、そして、安価な介護ロボットが果たしてどれだけ普及しているのでしょうか。介護従事者の負担が現在よりも軽減され、また、要介護者のQOL(生活の質)がより向上していることを期待しています。