ホーム > FAXレポート > 医院レポート > クリニックニュース 2014年2月20日号
地域包括診療料1500点、地域包括診療加算20点
《平成26年度診療報酬改定》
平成26年度診療報酬改定は、2月12日、これまで議論を繰り広げてきた中央社会保険医療協議会が答申を終え、具体的な改定内容が決定した。注視されていた外来機能分化に向けた主治医機能の評価は2つ新設され、また地域包括ケアの重要な担い手という位置づけの有床診療所については、入院基本料のもっとも低い区分を100点程度の引上げがなされた。以下、診療所に関連する主要な項目を抜粋する。
●地域包括診療料、地域包括診療加算(新設)
200床未満の病院と診療所が算定可能な「地域包括診療料」は1月あたり1,500点で新設された。また、診療所のみが算定可能な「地域包括診療加算」は1回当たり20点となった。「地域包括診療料」は医学管理料として、「地域包括診療加算」は基本診療料として再診に加算される。
いずれも算定要件として▼対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上(疑いは除く)を有する患者(※当該医療機関で診療を行う対象疾病〔上記4疾病のうち2つ〕と重複しない対象疾病2つについて他医療機関で診療を行う場合に限り、当該他医療機関でも算定可能)、▼関係団体主催の研修を修了した担当医を決定する、▼後述の指導・服薬管理、健康管理等、介護保険に関する相談等、在宅医療・24時間対応を行っている、▼地域包括診療料若しくは地域包括診療加算のどちらか一方に限り届け出することができる、▼初診時には算定できない ――(当クリニックニュースNo.206に詳細掲載済)。
●有床診療所入院基本料(新設と見直し)
有床診療所は、地域で急変した患者を受け入れる機能をはじめとして、高齢者の受入れ、看取り、介護サービスの提供、在宅医療の提供等の機能を担っていることから、こうした機能を発揮するために必要な医療従事者の配置に係る評価が見直され、地域包括ケアの中で複数の機能を担う有床診療所の評価が充実した。
有床診療所入院基本料は、①看護配置に係る施設基準に適合している、②▼在宅療養支援診療所で過去1年間に訪問診療を実施実績あり、▼急変時の入院件数が6件以上、▼夜間看護配置加算1または2の届出、▼時間外対応加算1を届出ている、▼看取り実績が2件以上、▼医療資源の少ない地域の属する ――等のうち、2項目以上に該当する場合は新設された入院基本料1~3の高い点数区分となる。現在の有床診療所入院基本料1~3は、基本料4~6に名称変更となり、点数の見直しがなされた。
掲載点数は消費税増税分含む
有床診療所入院基本料1
(新設)
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(14日以内) 861点
(15~30日) 669点
(31日以上) 567点
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有床診療所入院基本料4
(見直し)
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(14日以内) 771点→775点
(15~30日) 601点→602点
(31日以上) 511点→510点
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有床診療所入院基本料2
(新設)
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(14日以内) 770点
(15~30日) 578点
(31日以上) 521点
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有床診療所入院基本料5
(見直し)
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(14日以内) 691点→693点
(15~30日) 521点→520点
(31日以上) 471点→469点
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有床診療所入院基本料3
(新設)
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(14日以内) 568点
(15~30日) 530点
(31日以上) 500点
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有床診療所入院基本料6
(見直し)
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(14日以内) 511点→511点
(15~30日) 381点→477点
(31日以上) 351点→450点
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●機能強化型在宅療養支援診療所の基準、見直し
今次改定の重点項目にも掲げられている在宅医療については、評価の適正化がなされた。機能強化型在宅療養支援診療所・病院の実績要件が厳格化され、緊急往診の実績が年間5件から10件に、看取りが2件以上から4件以上になった。連携して機能強化型となる場合にも、個々の医療機関の実績要件が、緊急往診4件以上、看取り2件以上となった。
●在宅療養実績加算、新設
在宅医療を担当する常勤医師は3名以上確保されていないが、十分な緊急往診及び看取りの実績を有する在宅療養支援診療所・病院に対する評価が新設。施設基準は過去1年間で「緊急往診が10件以上」かつ「看取り実績が4件以上」。
在宅療養実績加算(緊急、夜間又は深夜の往診):75点
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在宅療養実績加算(ターミナルケア加算):750点
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在宅療養実績加算(在宅時医学総合管理料)
・ 同一建物居住者以外の場合 : 300点
・ 同一建物居住者の場合 : 75点
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在宅療養実績加算(特定施設入居時等医学総合管理料)
・ 同一建物居住者以外の場合 : 225点
・ 同一建物居住者の場合 : 56点
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在宅療養実績加算(在宅がん医療総合診療料) : 110点
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内閣に社会保障制度改革推進本部、設置
《首相官邸》
安倍内閣は2月14日、社会保障制度改革推進本部の第1回会合を開催した。これは、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(平成25年法律第112号)(以下、プログラム法)に基づき、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、内閣に設置され、関係閣僚により構成されているもの。初会合では、田村厚労相が「社会保障制度改革の実施状況と今後の進め方」について報告した。報告では、社会保障・税一体改革について、昨年成立したプログラム法に沿った進め方を示した上で、平成26年通常国会提出の社会保障制度改革関連法案を整理している。中でも、医療・介護サービスの提供体制改革等については、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案がすでに国会に提出され、施行は、医療法関係は平成26年10月以降、介護保険法関係は平成27年4月以降に設定されている。
処方せんスキャンした画像情報、メールで電送可能に
《厚生労働省》
厚生労働省は2月5日、医薬食品局総務課長から各都道府県衛生主管部(局)長等にあて、「電子メール等による処方内容の電送等」に関する通知を発出した。これまで、患者又は現にその看護に当たっている者(以下、患者等)が調剤を希望する薬局に対してファクシミリにより処方内容を電送した後、薬局を訪れ、処方せんと引き換えに調剤された薬剤の交付を受けることは認められていた。厚労省では、昨今の情報通信技術の進展等に鑑みて、「処方せんをスキャナ等により画像情報として電子化したものを電子メール等により電送すること」も認めるに至っている。この場合、処方内容とは異なった薬剤が患者等に誤って交付されることを防止するための策として、▼電送されたものから処方内容を容易に確認できる方法であること、▼電送されたものと処方せんの原本とが同一の内容であるかの確認が容易なものに限られる ――の2点を挙げている。また、電子メール等で電送する場合も、ファクシミリによる電送の場合と同様に、患者等が薬局を自由に選択できる体制等、にも留意するよう呼びかけている。