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GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代

2014/4/24

大阪市中央区の上田公認会計士事務所の上田です。

春の日差しが心地よくなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、本日は『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(アダム・グラント 著、楠木 健 監訳)をご紹介します。

著者であるアダム・グラントは、ペンシルべニア大学ウォートン校で教鞭をとる、組織心理学者です。「グーグル」「IBM」などの一流起業や組織でコンサルティング活動や講演活動を精力的に行っています。本書は世界中の人々の働く意義を変えたと言われており、大ベストセラーになっています。

「ギバー」、「テイカー」、「マッチャー」。著者が考える、人間の思考と行動の三類型です。ギバーは受け取る以上に与えようとする人、テイカーは与えるより多くを受け取ろうとする人、マッチャーは与えることと受け取ることのバランスをとろうとする人です。ビジネスにおいて成功する人はどのタイプの人でしょうか?

著者の調査によれば、最も成功するのは「ギバー」です。一方で、成功から最も遠いのもやはり「ギバー」でした。本書ではその理由が、著名な人物の事例を交えて分かりやすく述べられています。成功するギバー(与える人)のもつ4つの才能を簡単にご紹介します。

1. 「ゆるいつながり」という人脈づくり

人脈には強いつながり(親友や同僚など心から信頼する人たち)と弱いつながり(ちょっとした知り合い)があり、ある調査によると弱いつながりから得た仕事の情報量のほうが強いつながりから得た情報量よりも多かったそうです。しかし、弱いつながりは、必ずしも気軽に連絡ができるわけではなく信頼感も薄いため、心理的なバリアがあります。幅広い人脈をつくることができるという点ではギバーもテイカーも変わりませんが、ギバーには損得勘定抜きで知識を共有したり、スキルを教えたりした実績があるので、もう一度連絡をとった時に二つ返事で助けてもらえるといった点で「ゆるいつながり」をより生かすことができます。

2. 利益の「パイ」を大きく増やす働き方

 ギバーとテイカーでは、成功に対する考え方がそもそも異なります。テイカーは自分が他人より優れていると考える傾向にあり、他人に頼ろうとしません。一方、ギバーは他人に頼ることは、多くの人のスキルをより大きな利益のために活用する手段だと考える傾向にあり、自分だけでなくグループ全体が得をするように、パイ(総額)大きくします。さらに、自分の利益よりグループの利益を優先すると、そのことが周囲に伝わり、同僚の尊敬を集めるようになります。この点もギバーの成功の一因といえます。

3. 可能性を掘り出し、精鋭たちを育てる

 テイカーは、ほとんどの他人もテイカーであると考えているので、同僚や部下の可能性に期待することはまずありません。万が一、他人の能力ややる気に気付いたとしても、むしろその人物を脅威とみなし、支援したり可能性を伸ばそうとしない傾向にあります。人の可能性を信じようとしない態度は、悪循環を生み、同僚や部下のやる気と成長を妨げるおそれがあります。一方、ギバーは他人の意図を疑わず、楽観的に解釈するので全ての人の中に可能性を見出そうとする傾向にあります。全ての人を「大きな可能性を秘めた人」として見る時点で、ギバーはリーダーやマネージャーやメンターの役割を果たしているといえます。

4. 「強いリーダーシップ」より「影響力」

ある研究によれば、「優位」と「信望」があれば人に影響を与えることができるそうです。優位を確立すれば、人から有力で権威があると思われるので、影響を及ぼすことができ、また、信望を集めれば、人から尊敬、賞賛されるので、やはり影響力は大きくなります。

テイカーは自分が他人より優れていると考える傾向にあるため、優位を獲得することに魅力を感じます。優位を確立するためにテイカーは「強気なコミュニケーション」をとります。すなわち、声を張り上げ、確信をもって自分をアピールし、実績を強調します。

一方、ギバーは「ゆるいコミュニケーション」、すなわち、強引な話し方はせず不明点があれば素直に伝え、他人のアドバイスを喜んで受け入れます。ギバーは他人に自分の弱さを見せることで信望を集めています。

人に影響を与えるための最もいいアプローチ方法は、「強気なコミュニケーション」で優位を確立するテイカーではなく、「ゆるいコミュニケーション」で信望を集めるギバーであることは明らかです。

仕事をする上において、「ギバー」と「テイカー」どちらかに明確に分類できる人はほとんどおらず、たいていの人は「マッチャー」に分類されるそうです。一方、仕事以外の私生活において、特に日本では多くの人が「ギバー」としての価値観を持っていると言われています。今後、ビジネスでの成功や豊かな人生を手に入れるために、仕事上においてもギバーになる価値は十分あるのではないでしょうか。

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