ホーム > 新着情報 > 月刊歯科医院経営ワンポイントアドバイス 2014年8月号
歯科医院の経営
■自院の現状は?
歯科医院の医業経営等の実態は、厚生労働省が平成25年に実施した、第19回医療経済実態調査(医療機関等調査)の中で報告されています。この報告によれば、歯科医院の平均医業収益は、個人事業主が4,222万円、医療法人が7,568万円となっており、平均ユニット数は、個人事業主が3台、医療法人が4台となっています。もちろん、地域・歯科医師の数・診療時間により程度の差はありますが、1ユニットでの医療収益は、個人が約1,400万円、医療法人が約1,900万円となります。歯科医院数が飽和状態といわれている今日では、まず、自院の置かれた現状を理解し、問題点があれば、将来に向けての改善策を考えなければなりません。
出典:厚生労働省第19回医療経済実態調査
歯科診療所 個人/法人 金額のみ抜粋比較
■患者満足度
歯科医院に来院される患者様は、ほとんどが通院に20分程度の範囲内にお住まいの方々でしょう。となると、歯科医院の経営を安定させるためには、地元地域に密着したサービスを高めていく必要があります。ここでいうサービスとは、一般サービス業の発想・考え方を取り入れた【顧客満足度(CS)】のことです。したがって、歯科医院においては【患者満足度】を指します。患者満足度を高めるサービスは、大きく分けて、「物的サービス」と「人的サービス」があり、院長を筆頭に、歯科医院全体の対応が大切になります。
物的サービスは、キッズルームや待合室といった医院の内装や外観、最新治療設備の導入等になります。また、院内外の清掃のみならず、医療機器等に対する滅菌も該当するでしょう。その結果、アメニティの充実が、医療機関としての親しみやすさ・清潔さをアピールすることになり、歯科医院の環境の快適さにつながります。
人的サービスには、患者様に対する技術サービスと、接遇サービスの2つがあります。歯科医師や歯科衛生士は、技術サービスを高めるため、研修会・勉強会に積極的に参加し、日々、医療技術の研鑽に励む必要があります。また、受付や事務の職員は、患者様とのコミュニケーション能力や、電話応対等の言葉遣いに気をつけなければなりません。こうしたスタッフの自己研鑽を向上させて、かつ、スタッフ間の協力体制をつくることが、歯科医院全体の患者満足度の充実につながるのです。
■水滴石穿
歯科医院の本質的機能は、患者様の立場に立って、適切かつ効果的な歯科治療を提供することです。そのことが、歯科医院全体の評価を高めることになるのではないでしょうか。人材育成のための投資は、一朝一夕に成し得ないため、時間をかけた教育が必要となります。そのため、院内の改装等といった「物的サービス」と比べると、短期間で効果が見える差別化要因とはならないので、院長としては、ついつい後回しにしたくなる項目かもしれません。
しかしながら、医療機関に対する患者満足度の中で、患者様への「人的サービス」の占める割合は、非常に大きなものとなっています。そして、一旦【患者満足度】水準の上がった歯科医院は、患者様の評価や信頼が高まることで、継続して来院してくださるようになります。また、満足度の高い患者様は、他の患者様に自院を紹介してくださり、分母(患者数)の拡大につながります。その結果、来院患者数に大きな変動がなくなるため、経営面で強い体質の歯科医院をつくることが出来るのです。
最後に、患者様から評判の良い歯科医院の院長の言葉を紹介します。
「理解していても、ほんとに実践している先生は少ないよ。」
税理士法人すばる会計
筒井 義彦