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『資本主義の終焉と歴史の危機』

2014/10/2

大阪市中央区 上田公認会計士事務所の上田です。
九月になってもまだ残暑が続いております、皆様ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

本日ご紹介する『資本主義の終焉と歴史の危機』の著者、水野和夫さんは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)を歴任した人物です。

本書には、資本主義が終焉に向かっていると予測できる理由とわれわれがこれから向かう道について書かれています。本書の内容を簡潔に記載したいと思います。

資本主義とは、「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」いわゆるフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムのことをいいます。

この資本主義システムは、「周辺」がなくなった時点で行き詰まるわけであり、「地理的・物的空間(実物投資空間)」からも「電子・金融空間」からも利潤をあげることができなくなってきている現状がまさに終焉に近づいているようです。

アメリカは「電子・金融空間」という「周辺」に利潤を求め、また「最後の大陸」アフリカのグローバリゼーションが叫ばれている現在、もはや地理的な市場拡大が行えるフロンティアは残されておらず、やがて資本主義は終焉するだろうと著者は主張しています。

日本、アメリカ、ユーロ圏でも政策金利は概ねゼロ、10年国債利回りも超低金利となっています。資本投資をして工場やオフィスビルをつくっても、資本家や投資家が満足できるリターンが得られなくなったことを意味するのです。金利は資本利潤率とほぼ同じであり、資本を投下し、利潤を得て資本を自己増殖させることが資本主義の基本的な性質なのですから、利潤率が極端に低いということは、既に資本主義が資本主義として機能していないという兆候を意味するからです。すなわち地球上が現在の日本のように、ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレになるということです。

アメリカも日本も、さらには新興国も、この資本主義の宿命に向かって加速しており、もしこのまま「成長」を求めれば、自らの中に新たな「周辺」を作ることになる。それが、アメリカで言えば、サブプライム層(低所得者)であり、日本で言えば、非正規社員(社会保険等が不要)であり、EUで言えば、ギリシャやキプロスなのです。

つまり、さらに資本主義を無理に進展させようとすれば、それは政治の不安定につながる。われわれはまさにその間にいるのです。

著者は資本主義に変わるシステムに関してゼロ成長社会=「定常状態」を提唱しています。実現可能性があるのかどうかは不確定ですが、資本主義が終焉を迎えていく中でマイナス成長社会を避けるために考えられる内容だと思います。

これからの世界の情勢を考える上で、じつに勉強になる内容でした。

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