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クリニックニュース 2014年9月19日号

2014/10/7

医療介護提供体制の柱「総合確保方針」告示
《厚生労働省》

厚生労働省は9月12日、医療介護総合確保促進会議でとりまとめた「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(以下、総合確保方針)」を告示した。これは、平成26年6月に成立した医療介護総合確保推進法において、厚生労働大臣に同方針の定めを命じたことを受けたもの。
総合確保方針は、「はじめに」で、「医療介護総合確保法第3条第1項の規定に基づき、(中略)基金を活用した地域における医療及び介護の総合的な確保を図るための都道府県及び市町村の事業が公平性及び透明性を確保しつつ、実施されるようにすることを目的とする」とし、▼地域における医療及び介護の総合的な確保の意義及び基本的な方向に関する事項、▼医療計画基本方針及び介護保険事業計画基本指針の基本となるべき事項ならびに地域における医療及び介護の総合的な確保に関し、都道府県計画、医療計画及び都道府県介護保険事業支援計画の整合性の確保に関する事項、▼都道府県計画及び市町村計画の作成並びにこれらの整合性の確保に関する基本的な事項、▼公正性及び透明性の確保その他基金を充てて実施する都道府県事業に関する基本的な事項 ――で構成。
中でも基金に関し、その財源が社会保障と税一体改革による消費税増収分が充てられていることに鑑み、当該基金を充てて実施する事業が地域の医療・介護サービスに還元されることが地域住民に対して明確に示される必要があるとし、そのため、基金を充てて実施する事業については、その決定に際し、関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努め、決定プロセスの透明化を図るとしている。さらに、事業主体間の公平性の確保が必要とした。
また、基金と報酬(診療報酬・介護報酬)等との関係について、診療報酬及び介護報酬は、診療行為や介護サービスに対する対価として設定されており、全国一律の点数及び単位設定が原則とされているため、それぞれの地域の実情を勘案した設定が困難。一方、基金を充てて実施する事業は、地域における様々な課題の解決の為にそれぞれの地域の実情に応じた創意工夫に対応しやすい面があることから、基金の活用については、こうした違いを踏まえる必要があると言及している。基金を充てて実施する事業については、▼地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業(病床機能分化・連携等、地域医療構想策定までは「地域で明らかに不足している病床機能」への転換に資する事業等に重点的に活用)、▼居宅等における医療の提供に関する事業(医療・介護サービス提供体制の整備、医療連携体制の構築、情報基盤の整備、在宅医療に取り組む人材の確保及び育成等)、▼介護施設等の整備に関する事業(地域医療支援センタ―や医療勤務環境改善支援センター等を活用した医療機関の勤務環境の改善、看護職員の確保等)、▼介護従事者の確保に関する事業(都道府県が将来に向けた介護従事者の需給状況を把握し、多様な人材の参入促進、介護従事者の資質向上及び労働環境の改善等を図るための施策)、▼その他 ――等を挙げている。

医療機関等の消費税問題、医療界全体が「抜本的解決」を要望
《公益社団法人 日本医師会》

日本医師会は9月17日、定例記者会見で「消費税に関する税制改正要望」を公表した。これは控除対象外消費税問題に特化した要望であり、非課税扱いの社会保険診療について「消費税率10%時に環境を整備し、速やかに、現行制度から軽減税率等による課税取引に転換すること等により、医療機関等の消費税負担をめぐる問題の抜本的解決を図ること」を求めた。その内容を「平成27年度税制改正大綱に明記するとともに、消費税率を10%へ引き上げる際には、医療機関等の設備投資等に係る消費税について、非課税還付等のあらゆる方策を検討し、仕入税額の還付措置を導入することについても要望した。
社会保険診療等については消費税が非課税とされており、患者の窓口一部負担などで消費税を負担することはないが、他方、医療機関が医薬品や物品等を購入する際において、消費税を負担しなくてはならず、控除対象外消費税が発生。そのため、これまでに消費税導入時や消費税率引上げ時には診療報酬に、医療機関の負担を補てんするためにプラスされてきたという経緯がある。今般、日本医師会は日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会等と協議・調整し、この要望は「医療界をとりまとめた要望」と位置づけている。
政府・与党等の今後のスケジュールとして、12月に与党税制調査会において税制改正大綱のとりまとめを実施し、同月中旬には平成27年度税制改正大綱(自民党・公明党)が決定。年末頃までに、消費税率10%への引上げを政府が最終判断する。

連携型機能強化在支診、一部実績満たせない場合の解釈明記
《平成26年度診療報酬改定情報・疑義解釈その9》

厚生労働省は9月5日、平成26年度診療報酬改定における疑義解釈資料のその9を公表した。
今回は、医科、調剤の項目についての解釈が示された。中でも、在宅医療における連携型の機能強化型在宅療養支援診療所・病院については、今般の改定で、それぞれの医療機関が在宅における緊急往診・看取り等の実績要件を満たすことが必要になったが、連携に参加していた医療機関の中で一部実績を満たせない医療機関が出た場合の算定についての解釈が示された。これによると、一部に実績を満たさない医療機関が出た場合においても、連携内の全ての医療機関が各々引き続き実績以外の要件を満たすとともに、実績を満たさなくなった医療機関以外の連携医療機関において、3名以上の常勤医師の配置、入院できる病床の確保、過去1年間に合計10件以上の緊急往診、4件以上の在宅看取り実績等の要件を満たしている場合は、満たしている医療機関のみ機能強化型に応じた点数を算定できる。また、この場合、実績を満たさなくなった医療機関は、引き続き連携内に留まることになるが、機能強化型に応じた点数を算定することは出来ない。その他、連携内で一部の医療機関が実績を満たせなくなった場合、連携に参加する全ての医療機関が改めて届出を行う必要はなく、実績を満たせなくなった医療機関はその旨を速やかに届出るとし、当該実績を満たせなくなった医療機関が、後日、実績を満たした場合には、その旨届出を行うことで、再び強化型に応じた点数を算定することができるようになると説明している。
その他、「在宅患者訪問診療料2」を算定する場合に、患者又は家族の同意書を診療録に添付することが求められ、平成26年9月まではその添付の省略が可能であったが、10月以降は原則として、明細書の適要欄または症状詳記に、患者毎に▼要介護度、▼認知症の日常生活自立度、▼訪問診療が必要な理由(要介護4以上、認知症の日常生活自立度Ⅳ以上は不要) ――を、また算定日毎に▼訪問診療を行った日、▼診療人数合計 ――を記載するようになる。

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