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司法書士は見た!実録相続トラブル

2014/10/23

大阪市中央区 上田公認会計士事務所の上田です。
収穫の秋を迎え、美味しいものをついつい食べ過ぎてしまうこの頃ですが、皆様はお元気でいらっしゃいますでしょうか。

今回は、司法書士の川原田慶太氏のご著書、「司法書士は見た!実録相続トラブル」をご紹介します。
川原田氏は、京都大学法学部に在学中に司法書士試験に合格され、現在は司法書士法人おおさか法務事務所の代表社員を務めておられます。私より二回り若い方ですが、公私共に大変親しくさせていただいています。
本書は、川原田氏が2012年から掲載を始めた日経新聞電子版のコラム「司法書士が見た相続トラブル百科」の中で、特に反響の大きかったものを取り上げて書かれています。
このコラムは、相続増税の流れを受け、相続の分野における不安や悩みを持つ方が増えているので、大変注目を集めています。
実例を非常にわかりやすくまとめられていて、川原田氏の聡明さを感じる書籍です。紹介したいものはたくさんありますが、その中から2点取り上げたいと思います。

・相続で一番もめるのは遺産2,000万円程度
本書の帯にもこのことが書かれており、非常にインパクトのある言葉だと感じました。
相続というと、お金持ち・資産家など一部の人の問題なのではないか、という認識がまだまだ多いと思います。
しかし、川原田氏のご経験では、相続でトラブルになるのは財産額2,000万円~3,000万円程度が多いということです。
川原田氏のご経験のみではなく、司法統計(2011年)においても、遺産分割事件として裁判所で取り扱うもののうち、76.6%が5,000万円以下となっています。
1,000万円以下のものだけに絞り込んでも、31.3%と高い値です。
こうして考えると、かなり身近な金額だと感じることができます。一部の人だけの問題とは、もう言えないと思います。5,000万円以上のケースでも当然争いは起こるのですが、お金持ちだけにトラブルが起こるのではないということを、しっかりと理解しておかなければなりません。

・「まさか夫が…」予期せぬ相続人の登場
財産を相続できるのは誰なのか、相続人が正確に認識できているとは限りません。一緒に生活している自分たち以外に相続人がいるなんて、想像もしないことでしょう。
しかし、本書ではこういったケースが紹介されていました。
「夫が若くして亡くなりました。この夫婦の間には子どもがおらず、両親も他界しています。相続人としては夫の姉がいるので、この方と話し合いをすればよいはずです。」
と考えられていたケースです。
しかし、戸籍をよく確認すると、亡くなったと聞かされていた夫の両親のうち、父親の方が養親だということが判明したのです。生みの親は別にいるということです。後に、ご存命であるということも発覚しました。
奥様の立場から考えると、夫の姉よりも法律上の順位が優先する実父が現れたことにより、見ず知らずの義父と話し合いをしなくてはならないことになってしまったのです。
他にも、「戸籍上の配偶者以外の相手との間に子どもがいて、亡くなる直前に認知していた場合」なども、こうしたトラブルにつながっていくと思われます。
離婚件数が年々増加している昨今では、家族関係が複雑になっているケースも多いものです。遺産相続をする権利が誰にあるのか、一度確認をしておくのも大切なのだと感じました。

相続というのは、「いつ起こるかわからない」という不明確さを含んだものと考えることができます。先程の予期せぬ相続人の話に代表されるように、明確にできる部分については早めに確認しておき、残された人が困らないようにしておくことが大切だと感じました。
また、相続が起きるまでの間に、経済環境や法令等が変わることが考えられますので、「自分は万全の対策をしているから大丈夫」と思っていても、やはり時々見直しをすることが必要です。

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