ホーム > FAXレポート > 医院レポート > クリニックニュース 2014年10月6日号
新設持分なし医療法人への移行策、具体的内容明らかに
《厚生労働省》
医療介護総合確保推進法における施策のうち平成26年10月1日施行分について、内閣より9月25日に平成26年政令第314号が公布されたことを受け、厚生労働省は同日、平成26年厚生労働省令第108号を公布、整備し、その旨を翌26日に各都道府県知事に向け通知した。
また、これらを受け、9月26日、厚生労働省医政局医療経営支援課長より各都道府県衛生主管部(局)長宛に「持分なし医療法人への移行に関する計画の認定等について」の通知が発出され、同省にて作成された「『持分なし医療法人』への移行に関する手引書」とともにその内容について周知を呼びかけた。通知では、①移行計画の認定制度について、②移行計画の認定を受けた認定医療法人である旨を記載した定款変更について、③移行計画の認定に伴って行う出資持分の放棄について、④移行計画に関連する税制措置等について ――がまとめられた。移行計画の認定制度については、▼移行計画の認定を受けた場合は、税制措置又は融資制度の支援を受けることができるものであり、これらの支援の必要が無い場合は、移行計画の認定を受けることなく、従来どおり定款変更により持分なし医療法人へ移行することができるものである、▼移行計画の認定の申請については、都道府県又は地方厚生(支)局を経由せず、直接厚生労働省医政局医療経営支援課へ提出すること、▼移行計画の認定の申請は1回限りしか認められないことから、計画内容等について十分検討の上、申請すること、▼移行計画の変更が生じた時(合併により存続法人となったとき、融資制度の利用見込みが生じたとき等)は、速やかに移行計画の変更認定申請を行うこと ――と明記。また、移行計画に関連する税制措置等については、▼納税猶予の適用を受ける出資者等による譲渡その他の持分の処分があった場合、当該出資者等が所属する認定医療法人が移行期限までに持分なし医療法人に移行できなかった場合、又は当該認定医療法人が解散若しくは合併により消滅(合併により法人が消滅するため、移行計画の認定が取り消される場合に限る。)した場合は、納税猶予の期限が確定することから、相続税又は贈与税を納付すること、▼基金拠出型医療法人へ移行した場合、猶予税額のうち基金に拠出した額に対応する猶予税額と利子税を合わせて納付しなければならず、放棄した額に対応する猶予税額が免除されることになるので留意されたいこと、▼持分なし医療法人への移行にあたり、相続税法(昭和25年法律73号)第66条第4項の規定に該当する場合は、医療法人に対して贈与税が課されることがあることについては従来どおりであるため、留意されたい ――等、まとめている。
平成19年第5次医療法改正において、より高い公益性を医療法人に求めて「持分あり医療法人」が廃止され、国は「持分なし医療法人」への移行を推進しているが、思うように進まないことから、医療介護総合確保推進法において、組み込まれた認定医療法人制度。認定にあたっては、出資者の財産に影響を及ぼす(持分放棄等)ことから、十分に時間をかけた事前準備が重要であり、移行の検討においては、どのような法人に移行するか検討した上で、公認会計士や税理士等を交えて、法人資産の評価や移行のメリット、デメリット等を検討するよう厚労省は呼びかけている。
●厚労省「持分なし医療法人」への移行に関する手引書http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/ikoutebiki.html
総合事業ガイドライン案についてのQ&A、公表
《厚生労働省》
厚生労働省は10月1日、「『介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案』についてのQ&A」を公表した。これは、平成26年7月28日に開催された全国介護保険担当課長会議において示された当ガイドライン(案)の内容に基づき、整理したもの。現在も関係者等の意見をもとに検討している項目があることから、変更する場合もあるとし、あくまでも現時点での厚労省の考え方を示し、全100問に対する回答をまとめ、個々の回答についての照会先も掲載している。
中でも、問【要介護認定を受けている者は、生活支援サービス等の総合事業を利用することが一切できないのか】に対し、総合事業のうち介護予防・生活支援サービス事業については、居宅において支援を受ける要支援者及び基本チェックリストにより事業対象者に該当した者(介護予防・生活支援サービス事業対象者)が対象であり、要介護者は対象者ではないため、基本的に利用することはできないとした。ただし、例えば、通所系サービスのうち住民主体の支援(通いの場)については、住民の主体的な取り組みを支援し、共生社会を推進する観点から、要支援者等が中心となっていれば要介護者も利用可能としている。また、一般介護予防事業(通いの場関係)については、要介護者も参加可能としている。問【予防給付から総合事業への移行期間中である平成27年度から平成29年度までの間にあっては、予防給付と総合事業の2つの指定を受ける事業者が出てくるが、人員や設備等は、兼務・共用することが可能か。また、その際は特例的な考え方(予防給付と総合事業を一体的に運用する場合は常勤換算上1とする等)を採用するか】については、経過的に兼務・共用することを可能とする経過規定を置くことが必要と考えており、経過規定の詳細については検討中であると回答。市町村の円滑な事業への移行・実施に向けた取組として、Q【総合事業における「通所型サービス」「訪問型サービス」「その他の生活支援サービス」「介護ケアマネジメント」「一般介護予防事業」は条例等で定めることにより、準備が整ったサービスから順次実施することは可能か、それとも一体的に実施しなくてはいけないのか】に対しては、総合事業については、介護予防・生活支援サービス事業のうち、通所型・訪問型・介護予防ケアマネジメントと一般介護予防事業について一体的に事業を実施することが必要となる。その他の生活支援サービスについては、市町村において多様な訪問型や通所型の充実が図られる中で、市町村の取組として訪問型や通所型と一体的に行われる場合に効果が認められるものに限定していることから、地域の実情に応じて実施すればよく、市町村によっては当該事業を実施しない場合も想定されうると答えている。
次期介護報酬改定、年明け1月中旬以降に諮問・答申予定
《平成27年度介護報酬改定情報》
厚生労働省は9月30日、老健局老人保健課から各都道府県介護保険主管部(局)等に向け、「平成27年度介護報酬改定に係る介護給付費分科会の今後の予定」について事務連絡を行った。現在議論が繰り広げられている次期介護報酬改定の検討スケジュールについて具体的に明示され、予定では、10月中旬から11月下旬にかけ、原則週1回のペースで議論を重ね、報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・取りまとめを経て、12月上・中旬に、まず運営基準(省令)案に関する諮問・答申が行われる。また、年明け1月中・下旬に介護報酬改定案についての諮問・答申がなされる予定であり、報酬改定は平成27年4月から適用され、消費税率引上げがある場合には併せて対応されると明記している。