ホーム > ブログ > 障がい福祉情報公表制度における罰則?財務諸表開示も必要になる か?!令和6年度障害者総合支援法等の改正案
目次
1.令和6年度障害者総合支援法等の改正とは
2.情報公表制度について
3.今後の備え
1. 令和6年度障害者総合支援法改正とは
障害者総合支援法は、障がいや難病をもつ方の地域生活や就労の支援を定める法律で、3年ごとに見直し、改正がされます。
令和6年度の改正は、令和6年4月1日に施行されますが、障がい者の社会生活・就労のニーズの高まりなどに対する流れを踏まえたものになります。
報酬の改定率は、+1.12%となりますが、令和6年2月頃にサービスごとの単価が示される予定です。また改正内容は非常に多岐にわたり、障がい福祉事業者は対応することが多い改正案となる予定です。
その中で今回は情報公表制度の公表に関してお伝えいたします。
参考:厚生労働省 医療・介護・障害福祉関係団体との賃上げに関する意見交換 資料1
2.情報公表制度と法改正で検討されていること(減算/指定更新無し)
障害福祉サービス等情報公表制度は、利用者の良質なサービスの選択に資すること等を目的として平成30年度に創設されました。
その目的は以下の通りです。
①事業者に対して障害福祉サービスの内容等を都道府県知事等へ報告する
②都道府県知事が報告された内容を公表する
現状、公表済み事業所は約8割程度に留まっている状況であり、障害者部会報告書においても、「利用者への情報公表と災害発生時の迅速な情報共有を図るため、事業所情報の都道府県知事等への報告・公表をさらに促進する方法について検討すること」が記載されています。
また公表される情報のうち、財務状況の公表が全事業所の4割程度となっていることから、“財務状況の公表”を徹底することや、医療、介護分野と同様に、経営情報のデータベース化の検討を速やかに進め、必要な措置を講じるべき、ということが指摘されています。
今回の法改正で検討されていることとして、障害福祉サービス等情報公表システム上、未公表となっている事業所への報酬による対応検討をされています。
具体的な対応策として、下記①②の可能性があることが示されています。
①情報公表を対応していない場合、減算の可能性があること
②指定更新の際に情報公表制度の有無を確認し、特段の理由がある場合を除き、公表していない場合、指定更新をしない可能性があること
参考:厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第41回
3.今後の備え
この法改正が成立した場合、情報公表制度の開示は必須となる中、一番対応検討が必要な部分は、“財務状況の開示”となることが予想されます。
その理由として、部門別会計をしていないため、開示ができていない。法人の会計情報を開示したくないという事業者が多くいると想定されます。(現在、事業所8割が公表している中、財務状況の公表まで行っている事業所は4割程度となっていることを考慮しても、開示には抵抗がある方が多い印象を受けます)
また部門別会計をするには、複数の拠点や併設サービスがある場合、サービス毎の損益計算書を、「会計の区分」に従って個別に作成して提出しなければならないとされています。
同一法人で複数のサービス拠点を運営している場合は、その拠点毎に会計を分ける必要があります。
※「会計の区分」とは、厚生省令37号などの解釈通知に規定された運営基準の一つです。
会計を分けるとは、少なくとも損益計算書をそれぞれのサービス毎に別々に作成します。
収入だけではなく、給与、水道光熱費、家賃などすべての経費を分ける必要があります。この作業は運営基準での規程であるため、すべての障がい福祉事業所において、毎期継続して実施している必要があります。
また今回貸借対照表の提出も求められる可能性が高いため、税理士に相談が必要になります。
まずは税理士に開示が必要になることをお伝えし、対応方法を検討されることが望ましいです。
日本クレアス税理士法人大阪本部では、医療福祉に特化した会計事務所・税理士法人です。
会計の区分(部門会計)の対応や法改正に関することなど、他お困りのことがあれば、相談に応じサポートいたします。是非お気軽にお問合せください。