ホーム > FAXレポート > 医院レポート > クリニックニュース 2014年11月20日号
地域医療介護総合確保基金の交付決定
《厚生労働省》
厚生労働省は11月19日、2014年度の地域医療介護総合確保基金の交付内容を決定し、公表した。各都道府県が今年度実施する事業は、①病床の機能分化・連携に関する事業 174億円、②在宅医療の推進に関する事業 206億円、③医療従事者の確保・養成に関する事業 524億円であり、今年度分の904億円の内訳が示された。各都道府県ごとの配分として内示額も公表となり、東京都(77.3億円)が最も高く、次いで大阪府(49.5億円)、兵庫県(39.4億円)。都道府県において交付先が予定されている金額(国費602億円のうち、541億円)の範囲で、公的機関及び民間機関への交付が多くの全体に占める割合は公的25.9%に対し、民間が74.1%であった。本年、第186回通常国会で成立した医療介護総合確保推進法において、厚生労働大臣は「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)を定めなければならない。」と規定され、2014年9月12日に総合確保方針が告示された。その中で、この基金を充てて実施する事業の範囲として、①地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備に関する事業、②居宅等における医療の提供に関する事業、③介護施設等の整備に関する事業、④医療従事者の確保に関する事業、⑤介護従事者の確保に関する事業が定められ、今年度はこのうち医療を対象とした事業(①、②及び④)が実施されることになる。
厚労省は地域医療介護総合確保基金の交付内容の決定に加え、この基金で実施される代表的な16事業も提示。①病床の機能分化・連携に関する事業としては、▼「『急性期病床』から『地域包括ケア病床』への転換を促すための施設・設備の整備(石川県)、▼精神科医療機関機能分化推進事業(鳥取県)、▼ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤整備事業(熊本県) ――等。ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤整備事業は、「患者を中心とした質の高い医療、介護サービスを提供するため、県内の医療機関(病院、診療所)をはじめ、訪問看護ステーション、薬局及び介護関係施設等におけるICTを活用した地域医療情報ネットワークの構築を行う事業であり、医療介護の連携を地域で進めるための一つの手法となる事業」と概要を説明している。②在宅医療の推進に関する事業としては、▼有床診療所支援事業(秋田県)、認知症と認定された入院患者に対する医科歯科連携体制構築事業(福島県)――等がある。秋田県の有床診療所支援事業については、「有床診療所が在宅療養者の病状変化等に対応できる病床として存続し、地域住民が安心して在宅医療を受けられるよう、病室整備等の施設・設備整備に必要な経費に対して助成を行う」としている。③医療従事者の確保・養成に関する事業としては、地域で不足している診療科新設・再開支援事業(栃木県) ――等。新たに医師を招聘し、地域で不足あるいは必要とされる診療科を新設又は再開する医療機関が整備する医療機器等の経費について助成を行い、地域が困っている状況に対して直接対応していこうとする事業と説明している。
消費税の使途について国民に対し説明責任を果たすべき
《首相官邸・社会保障制度改革推進会議》
政府は11月6日、第3回社会保障制度改革推進会議を開催した。この日の議題は医療・介護分野を取り上げ、議論が繰り広げられた。推進会議の構成委員に加え、同日付けで政府が任命した専門委員11名も出席し、社会保障制度改革の進捗状況について意見交換を行った。
医療・介護分野の改革の進捗状況については、厚生労働省医政局・老健局・保険局の3局により取り組まれる中、二川医政局局長が代表して①医療・介護サービス提供体制の一体的な確保、②病床機能報告制度及び地域医療構想、③医療従事者の確保・チーム医療の推進、④介護保険制度の改革 ――について報告。
医療・介護専門委員の一人、公益社団法人日本医師会副会長の今村聡氏は、「超高齢化社会において、地域包括ケアシステムを確実に地域に構築していくためには、かかりつけ医の機能をいかに充実させ、どのように評価をするかが重要」と指摘。また、「OECDにおいて日本の医療の質の高さが認められたが、十数項目による評価の中で、唯一30年にわたりD評価が『国民の自己健康度』。国民が今どのような医療を受けているかということを理解し、この医療の質を維持するために、どのような負担が必要かということをお願いしないといけない。あらゆる関係者が国民にきちんと説明した上で改革をしていかなければ国民の理解は得られないのではないか」――と意見を示した。その他の委員からも、消費税の使途について国民に対する説明責任を果たす必要性や都道府県に配分される基金でどれだけ機能され、そのアウトカムや国民へのペイバックの提示が求められた。
本会議の議長である清家篤氏(慶應義塾長)も「消費税を上げて国民に新しい財源を求めていく中で、基金の使途とその効果などについて我々として政府に説明責任を求めていかなければならない」と述べた。
集合住宅への訪問系サービス、報酬減算要件見直し案を提示
《厚生労働省》
厚生労働省は11月13日、第114回社会保障審議会・介護給付費分科会を開催し、2015年度介護報酬改定において、集合住宅に居住する利用者への訪問系サービス等の評価の見直し案を示した。
集合住宅における訪問系サービスの提供は移動等の労力が軽減されるため減算を行われているが、その見直し案として▼事業所と同一又は隣接する敷地内の建物に居住する利用者に対して訪問する場合は、当該建物に居住する人数に関わらず、その利用者に対する報酬を10%減算、▼事業所と同一又は隣接する敷地以外に所在する建物に居住する利用者に対して訪問する場合は、建物に居住する利用者が1ヶ月20人以上の場合、利用者に対する報酬を10%減算 ――。また、2012年度改定で新設された定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、集合住宅に居住する利用者に対する報酬の減算の仕組みを新設するとし、具体的には、事業所と同一敷地又は隣接する敷地内の建物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、旧高齢者専用賃貸住宅に限る)に居住する利用者に対して提供する場合は、当該建物の人数に限らず、その利用者に対する報酬を1月あたり○単位(○は具体的単位数をこれから設定)減算する と提案した。
2015年度介護報酬改定は、12月中旬に「報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・取りまとめ」がなされ、具体的な単位については年明けに検討される予定である。