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ウェルフェア・レポート 2014年11月25日号

2015/1/20

衆院が解散、12月2日公示、14日投開票      ~政府

衆議院は11月21日の本会議で解散された。政府は同日の臨時閣議で、衆院選を12月2日公示、14日投開票の日程で実施することを決めた。衆院の解散に関しては、来年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを1年半延期すると安倍晋三首相が11月18日に表明、「速やかに国民の信を問うべきである」と述べていた。

■「アベノミクスを前に進めるのか、止めてしまうのか」── 安倍首相
安倍首相は11月21日の記者会見で、今回の解散について「アベノミクス解散」と名づけ、「アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙だ。今回の選挙戦を通じて、私たちの経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他の選択肢はあるのか、国民に伺いたい」と強調。
消費税については「アベノミクスの成功を確かなものとするために、消費税10%への引き上げを18カ月延期する決断をした。消費税引き上げを延期する以上、社会保障を充実させるスケジュールも見直しが必要」とする一方、「子ども・子育て支援新制度は来年4月から予定どおり実施する。2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童をなくしていく」などと述べた。また、「財政を立て直し、世界に誇るべき社会保障制度を次世代へと引き渡していく責任が私たちにはある。私たち自民党・公明党、連立与党はその責任をしっかりと果たしていく。そのために、2017年4月から確実に消費税を引き上げる」として、「今回のような景気判断による延期を可能とする景気判断条項は削除する。本当にあと3年で景気が良くなるのか。それをやり抜くのが私たちの使命であり、私たちの経済政策だ」と訴えた。
衆院選については「私たちは景気を回復させて、企業が収益を上げる状況をつくり、そして、それが皆さんの懐へと回っていく、この経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで景気回復を実感できる、この道しかない。そのことをこの選挙戦を通じて、しっかりと訴え続けていきたいと考えている。成長戦略をしっかりと前に進める決意だ」などと述べた。

有識者・専門家の消費税再増税の意見、各回とも賛否両論
~政府の点検会合

政府は11月13、14、17、18日の4日間、消費税率10%への引き上げ判断に関する「今後の経済財政動向等についての点検会合」の第2~5回会合を開いた。甘利明経済財政政策担当相は、「国民生活・社会保障」をテーマにした13日の第2回会合終了後の記者会見で、消費税率の来年10月の引き上げについて、今村聡氏(日本医師会副会長)ら3人が「引き上げるべきだが、それに伴う低所得者層対策等が必要」と条件付きで賛成する一方、吉川萬里子氏(全国消費生活相談員協会理事長)ら2人が「引き上げを当面見送るべき」、山屋理恵氏(特定非営利活動法人インクルいわて理事長)が「引き上げを行うべきではない」との意見を表明したことを明かした。その他の意見では、▼今村氏から「医療機関における消費税負担問題の解決が不可欠」。▼清原慶子氏(三鷹市長)らから「子ども・子育て支援や高齢者支援などの社会保障施策を可視化し、引き上げた消費税はきちんと社会保障に使うことを周知することが必要」。▼宍戸駿太郎氏(国際大学・筑波大学名誉教授、日米・世界モデル研究所代表)から「中期的なデフレ効果を有する消費税ではなく、乗数効果の大きい財政出動で社会保障財源の増収を目指すべき」――などが挙がったことも紹介した。

介護人材の「質的」確保に向けた基本的な視点等を提示
~福祉人材確保専門委で厚労省

厚生労働省は11月18日、社会保障審議会福祉部会の福祉人材確保専門委員会(第2回)を開いた。この日の議題は介護人材の「質的」確保で、厚労省がその検討についての基本的な視点として、①介護人材の全体像の在り方、②介護福祉士の在り方、③資格取得方法の一元化――を示した。
介護人材の全体像については、介護人材を類型化し機能分化を進めていくに当たって「中核的な存在として介護福祉士を位置づけるべきではないか」と指摘。そのうえで、介護福祉士の在り方について「求められる機能・役割を担うため、現在の介護福祉士の養成・教育の内容や方法を検証し、必要に応じて教育内容の充実を図るべきではないか。これに伴い、国家試験の内容・水準についても必要な見直しを検討すべきではないか」などの方策を示した。
資格取得方法の一元化では、「施行延期を繰り返してきた経緯を踏まえつつ、どのような時期に行うことが適当と考えるか」と説明。実施時期について、①速やかな実施、②一定の年数を経た後の実施、③円滑な移行措置を講じつつ、漸進的に実施――の3つの考え方を提示するとともに、それぞれの留意点として、①では「円滑な実施を図るための準備期間が必要ではないか。学生等の混乱を招くことがないか」。②では「延期が繰り返されてきた経緯から、確実な施行が確保できるか」。③「現行制度からの円滑な移行を図るためにどのような配慮が考えられるか」――を挙げた。

来年度介護報酬改定に向け「居宅関係」などの論点を提示
~介護給付費分科会で厚労省

厚生労働省は11月13日と19日、社会保障審議会介護給付費分科会を開いた。来年度の報酬改定に向け、13日には「通所介護」や「通所リハ・訪問リハ」の報酬・基準、「集合住宅におけるサービス提供」等、19日には「処遇改善」、「居宅介護支援」の報酬・基準、「区分支給限度基準額」等の論点を示した。

■「通所介護」「通所・訪問リハ」「集合住宅」など――13日
13日には、厚労省が「通所介護」について、認知症高齢者や重度要介護者を一定数以上受け入れ、かつ体制を確保している事業所を加算で評価することを提案。また、2016年4月1日に創設する「地域密着型通所介護」について、「小規模型事業所の基本報酬を踏襲する」一方、小規模型事業所の基本報酬を引き下げる案も示した。さらに、通所介護事業所の設備を利用した宿泊サービスの実施に関し、届出制の導入や事故報告の仕組みの構築、情報の公表を推進することも提案した。「通所リハ・訪問リハ」では、リハビリテーションマネジメントに関する報酬評価の再構築を提案したほか、「通所リハ」では、リハビリテーション機能の特性を活かしたプログラムの充実の必要性を強調し、①個別リハビリテーションは退院(所)後、間もないものに対する短期集中的個別リハビリテーションとして機能を統合。②認知症高齢者に対するリハビリテーションでは、認知症の特徴に合わせたリハビリテーションとして機能を見直す。③生活機能の向上に焦点を当てた新たなリハビリテーションの仕組みを導入――を挙げた。「集合住宅」に関しては、訪問系のサービスに関する報酬減算の対象を拡大する案を示した。

■「処遇改善」「居宅介護支援」「区分支給限度基準額」など――19日
19日には、厚労省が「処遇改善」について、現行の「介護職員処遇改善加算」を拡充する案を提示。具体的には、キャリアパス要件①「職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備」と、同②「研修の実施又は研修の機会を確保」を満たし、子育て支援等も推進している事業所に加算することを挙げた。「居宅介護支援」では、福祉用具貸与のみのケアプランを作成した場合、「報酬基準上の利用者数の算定について、2分の1を乗じた数を加える」ことを提案するとともに、正当な理由がなくサービスの90%以上が特定の事業所で占められる場合に適用される「特定事業所集中減算」の範囲を拡大する案を示した。「区分支給限度基準額」では、「地域包括ケアシステム構築の要となる包括報酬サービス(定期巡回・随時対応サービス、複合型サービス、小規模多機能型居宅介護)の普及・促進が必要」などと指摘し、「事業所が積極的に体制整備を進めていることを『総合マネジメント体制強化加算(仮称)』として評価。限度額の対象外に位置づける」ことを提案したほか、小規模多機能に関する「訪問体制強化加算(仮称)」と、複合型サービスに関する「看護体制強化加算(仮称)」も限度額の対象外にする案を示した。

社福の「指導監督の強化」や「退職制度見直し案」を提示
~福祉部会で厚労省

厚生労働省は11月10日と19日の両日、社会保障審議会福祉部会を開催。社会福祉法人の制度改革に関し、10 日には「行政の関与に在り方」について、19日には「退職手当共済制度の見直し」について、それぞれ議論した。

■ 一定規模以上の法人に会計監査人の設置を義務付けへ――10日の部会
10日の部会では、厚労省が社会福祉法人に対する指導監督について、「全体として指導監督の機能強化を図るべきではないか」と指摘し、▼一定規模以上の法人に会計監査人の設置を義務付ける。具体的には、上場企業における監査費用の対売上高比率を参考に設定する。▼法人ごとに地域代表や利用者代表の意見を聴く場(「運営協議会」)を置くことができる――との案を提示。また、①社会福祉法人制度改革に即したガバナンスや運営の透明性の確保等に適切に対応している法人、②会計監査人が作成する会計監査報告書及び「運営協議会」の議事録等を提出し、所轄庁の審査の結果、適切な組織運営・会計処理の実施や地域等の意見を踏まえた運営を行っている法人――の要件を満たす法人には「定期監査の実施周期の延長や監査項目の重点化等の仕組みを導入」することも提案した。
委員からは「上場企業(株式会社)と社会福祉法人では、会計監査人による監査といっても違いがある」などの指摘があり、厚労省は「基本的に株式会社における監査は利益構造や経営状況を見るのが主たる役割であるのに対し、社会福祉法人のような公益法人は利益を追求することが目的ではなく、自ずと監査の目的も内容も変わってくると思う」と説明。そのうえで、「制度改革がなされた後、施行までの間に、監査の在り方についても関係方面と調整し整理する必要があると考えている」などと理解を求めた。

■国家公務員退職手当制度に準拠した支給乗率へ――19日の部会
19日の部会では、「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」見直しの論点項目として、①給付水準、②合算制度、③公費助成――を提示。①では「国家公務員退職手当制度において、民間との均衡を考慮して支給水準の見直しが行われ、本年7月から本格施行されており、社会福祉退職手当制度と比較して長期加入に配慮した支給乗率になっていることから、それに準拠した支給乗率としてはどうか」。②では「被共済職員が退職した日から2年以内に再び被共済職員になった場合、前後の期間を合算する規定について、中小企業退職金共済制度と同様に、期間を3年に見直してはどうか」。③では「既加入者の期待利益に配慮した経過措置を講ずるとともに、公費助成の見直しに伴う法人の掛金負担の増分を、見直し後の報酬等の改定において、適切に報酬等に反映するよう措置すべきではないか」――などの考え方が示された。
厚労省は「制度を維持し魅力ある仕組みにする必要がある。人材確保が重要で、その観点から総合的に施策を見て対応していくべき」との趣旨を強調した。

「消費税の使途、国民への説明責任を果たす必要」
~社会保障制度改革推進会議

政府の社会保障制度改革推進会議(議長=清家篤・慶應義塾長)は11月6日、第3回会議を開いた。議題は医療・介護分野で、推進会議の委員に加え、同日付で政府が任命した専門委員11人も出席、改革の進捗状況を確認し意見交換を行った。委員からは「地域医療介護総合確保基金(以下、基金)」に関し、消費税の使途について国民への説明責任を果たす必要性が指摘された。

■「地域包括ケア、安心して住める条件をつくらない限りできない」との指摘も
改革の進捗状況については、厚生労働省が、▼医療・介護サービス提供体制の一体的な確保、▼病床機能報告制度及び地域医療構想、▼医療従事者の確保・チーム医療の推進、▼介護保険制度の改革──の順に報告を進めた。
意見交換では、田近栄治専門委員(一橋大学大学院経済学研究科特任教授)が「消費税の使途については国民に対する説明責任を果たさないといけない」と強調。「国民は消費税を払ったから社会保障財源になっている、その部分、財政が健全化されて持続可能性も高まっていると思って見ている」などと指摘し、「基金の使途、都道府県に目の子で配るお金がどれだけ機能するのか。そのアウトカムは何なのか。国民にどうやってペイバックされるかを示さないとならない」などと述べた。また、武田洋子委員(三菱総合研究所政策・経済研究センター主席研究員/チーフエコノミスト)も「公費が904億円使用されることを考えると、効果の検証プロセスが欠かせない。効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するということなので、904億円の予算でより効率度が高まったのかどうかという点もどこかで検証を行うことが必要ではないか」と述べた。
小山剛専門委員(高齢者総合ケアセンターこぶし園総合施設長)は地域包括ケアシステムの構築に関し、「地域社会でやろうとしたら、安心して住める条件をつくらない限りできない」と指摘。こぶし園での日常の実践を踏まえ、「(国は)相変わらず家族を想定し、家族を前提に他のサービスをつくろうとするから全く動いていない、結果的には(自宅で)見切れるはずがないということになってしまっている」と基本的な問題点を挙げた。そのうえで、「地域包括の仕組みは良いが、原点の24時間365日継続するケアなどをつくらない限り医療が入っても何が足されても(家族前提では)前には進まない」などと訴えた。また、住宅対策と一緒に取り組む重要性も強調した。

■「引き続き改革の進捗状況フォローし、会議での意見は検討課題として整理」
会議の取りまとめでは、清家議長が「消費税を上げて国民に新しい財源を求めていく中、たとえば、基金等の使途、その効果などについて我々としては政府に対し説明責任を求めていかなければならない。あるいは、我々自身もそれをしっかりと議論していかなければいけないということがあった」などとし、「頂いた意見は重要な指摘なので、引き続き改革の進捗状況についてフォローするとともに、今後の検討課題として整理させていただきたい」と述べた。

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