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クリニックニュース 2015年1月5日号

2015/1/28

平成27年度予算編成の基本方針、決まる
《内閣府》

内閣府は平成26年12月27日に経済財政諮問会議を開催し、「平成27年度予算編成の基本方針」を決定した。急速な高齢化を背景とする社会保障経費の増加、リーマンショック後の経済危機への対応、名目経済成長率の低迷等から、大幅に悪化している財政状況下で、経済財政運営の基本的考え方は、強い経済の実現による税収の増加等と、聖域なき徹底的な歳出削減を一層加速させることにより、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の進展に寄与する好循環を作るというものである。そのために、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、国際社会における信認を確保するため、消費税率10%の引上げは平成29年4月に確実に実施すると言及。財政健全化の旗を降ろすことなく、国と地方を合わせた基礎的財政収支を平成32年度までに黒字化するという目標を堅持するとしている。
また、平成27年度予算等を踏まえ、経済再生と財政健全化の両立を実現すべく、平成32年度の黒字化目標の達成に向けた具体的な計画を平成27年の夏までに策定する方向を示した。
平成27年度予算の基本的考え方については、歳出の重点化・効率化と財政の信認確保を掲げ、「平成27年度予算において、裁量的経費のみならず義務的経費を含め、聖域を設けずに大胆に歳出を見直し、無駄を最大限縮減し、民需主導の持続的な経済成長を促す施策の重点化を図る。このため、『新しい日本のための優先課題推進枠』において、重点化施策を巌に絞り込んで措置する」とした。そのために、国の一般会計において、非社会保障経費については、全体としては平成26年度比でできる限り抑制し、社会保障経費についても、いわゆる「自然増」も含め聖域なく見直し、効率化・適正化を図り、平成26年度からの増加を最小限に抑え、消費税率10%引上げ時に想定されていた施策について消費税率8%を前提に優先順位付けを行うと明記した。
平成27年度予算編成にあたり、国の一般会計歳出に占める割合が高い社会保障については、世界に冠たる社会保障を次世代にしっかり引き渡していくため、中期的に受益と負担の均衡を目指しながら、持続可能な社会保障制度の確立に向けて着実に取組を進めるとした。その上で、消費税率10%の実現は平成29年4月であるが、子育て支援、医療、介護など社会保障の充実については、可能な限り予定通り実施するとし、医療・介護を中心に、社会保障給付について、都道府県ごとの医療提供体制と地域の医療費の差にも着目した医療費の適正化の推進、介護職員の処遇改善等の推進と経営状況等を踏まえた介護報酬の適正化、協会けんぽに対する国庫補助の安定化と超過準備金が生じた場合の特例措置等について、徹底した効率化・適正化を行うことで極力全体の水準を抑制すると示した。
●緊急経済対策も決定
同日の閣議では、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」も決定した。医療・介護関連では、▼小児・周産期医療の充実のための医療機器等の整備、▼肝炎患者に対する医療費助成など、安全で良質な医療サービスの提供等、▼プレパンデミックワクチンの購入等、▼介護関連情報の「見える化」推進事業、▼有床診療所等のスプリンクラー整備等、▼エボラ出血熱対策、▼院内感染対策施設整備事業 ――等。
緊急経済対策は、全体で3.5兆円規模の施策となっている。

平成27年度税制改正大綱、まとまる
《自由民主党・公明党》

自由民主党ならびに公明党は平成26年12月30日に「平成27年度税制改正大綱」をまとめ、公表した。医療関連項目としては、▼医療法等の改正による社会医療法人制度の認定要件の見直しに伴う税制上の所要の措置として、見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等とする、▼医療法人の分割制度の創設に伴う税制上の所要の措置として、資本又は出資を有しない法人については、共同事業を行うための適格分割の要件判定に際し、株式継続保有要件を除外して判定する ――等が盛り込まれた。
また、各団体から意見が寄せられている控除対象外消費税問題については、「検討事項」として、「医療に係る消費税等の税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を『見える化』することなどにより実態の正確な把握を行う。税制上の措置については、こうした取組みを行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る」と示した(平成26年度税制改正大綱の検討事項に下線部の文言を追加)。

次期介護報酬改定に係る基本的な考え方等、提示
《厚生労働省・社会保障審議会介護給付費分科会》

厚生労働省は、平成26年12月19日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会において、平成27年度介護報酬改定に関する審議報告をまとめた。これまでに、当分科会において重ねられた審議と各事業者団体へのヒアリングをもとに、次期改定に向けた基本的な考え方とその対応、各サービスの報酬・基準に係る見直しの基本的な方向が示された。
中でも、次期改定の基本的な考え方とその主な改定内容について、以下の項目が提示された。▼将来、中重度の要介護者や認知症高齢者となったとしても、「住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるようにする」という地域包括ケアシステムの基本的な考え方を実現するため、引き続き、在宅生活を支援するためのサービスの充実を図る、▼特に、中重度の要介護状態となっても無理なく在宅生活を継続できるよう、24時間365日の在宅生活を支援する定期巡回・随時対応型訪問介護看護を始めとした「短時間・一日複数回訪問」や「通い・訪問・泊まり」といった一体的なサービスを組み合わせて提供する包括報酬サービスの機能強化等を図る、▼リハビリテーションの理念を踏まえた「心身機能」、「活動」、「参加」の要素にバランスよく働きかける効果的なリハビリテーションの提供を推進するため、そのような理念を明確化するとともに、「活動」と「参加」に焦点を当てた新たな報酬体系の導入や、このような質の高いリハビリテーションの着実な提供を促すためのリハビリテーションマネジメントの充実等を図る、▼施設等の看取り期における本人・家族の意向に基づくその人らしさを尊重したケアへの取組について重点的に評価、▼施設等入所者が認知機能や摂食・嚥下機能の低下等により食事の経口摂取が困難となっても、自分の口から食べる楽しみを得られるよう、多職種による支援の充実を図る、▼介護職員の安定的な確保を図るとともに、さらなる資質向上への取組を推進、▼介護保険制度の持続可能性を高めるため、各サービス提供の実態を踏まえて必要な適正化を図るとともに、サービスの効果的・効率的な提供を推進 ――等。次期介護報酬改定案は今後の予算編成を踏まえ、改定率と具体的な内容・評価が決定される。

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