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長期的な事業計画作成とライフプラン

■事業計画は立てましたか

新年になりましたが、今年の事業計画は立てられましたか。今年行いたい設備投資、スタッフ採用・教育などについて考えられていることと思います。明確な計画を立てることは非常に良いことかと思いますが、時に重要なことが抜けている場合があります。それは、先生とご家族の今後のライフプランです。そして、事業の長期的な展望についての計画です。

■ライフプランは立てていますか

歯科医院の経営は順調だが、どんなに忙しく働いても先生ご自身の生活が充実していないということはないでしょうか。もし、そのような状態なのであれば、ライフプランと事業計画がリンクしていない可能性があります。
歯科医院が発展する過程で先生の生活も年々変わって行きます。ご子息の進学、ご両親の介護、相続税の発生などのイベントが待っています。現時点で医院経営は順調だとしても、今後待ち構えているプライベートのイベントが医院経営に大きく影響することがあります。
例えば、ご子息が私立の歯学部に進学する場合、6年間の学費だけでも3,000万円前後かかるといわれています。もし数年後この学費が必要になるとしたらその準備はできているでしょうか。
進学だけならまだ資金準備ができたとしてもタイミングによってはご両親の介護も重なる場合があります。介護に時間を取られ診療時間を削らなければならなくなることも考えられます。そして、このような生活費が必要な時に、医院における高額な設備投資が重なる場合も考えられるのです。設備投資を行いたいが行うことができないという事態が起きるかもしれません。
最悪の場合、設備が古くなり十分な治療ができない→患者が離れる→更に資金繰りが悪くなり設備投資ができないといった事態も起こりうるかもしれません。
このようにならないようにするためにも①ご子息の進学のタイミングと学費の把握、②ご両親が要介護となる時期の予測と対応、③相続税が発生するか否か ――などのライフプランの検討をしてみてはいかがでしょうか。
将来の教育資金に不安がある場合は「祖父母から教育資金の一括贈与を受ける場合の非課税制度（1,500万）」を検討することも現在ならばできます。

■長期的な事業計画を立ててみましょう

ライフプランと同じく重要なのが長期的な事業計画です。まずはおおまかに、以下の事項について検討をしてみてはいかがでしょうか。

（1）今後の設備更新のタイミングと必要金額
（建物や内装のリニューアルや器械の買い替え）
（2）スタッフ採用のタイミングや教育コスト
（3）先生自身の研修費用
（4）事業承継または引退のタイミング

単年度の事業計画のお話しは良く聞きますが、単年度の結果に一喜一憂してもあまり意味がありません。単年度の結果としては良い結果が残せたかもしれませんが、今後を考えると十分な結果であったと言えるでしょうか。上記（１）～（４）のいずれかが同時に発生した場合の必要資金の準備はできているでしょうか。
進学費用の積立はされている場合が多いと思いますが、中には次の設備投資に備え資金の積立を行っている先生もいます。積立を行うことで借入金なしの設備投資を実現しています。定期的な設備投資を行うことで減価償却費が減らない（経費が減らない）→納税が抑えられる→余った資金を次の設備投資に利用するという良い循環が生まれています。これができるのは常に数年先の設備投資を先生が意識し、余剰資金の用途を考えているからです。もし、単年度の結果に安堵し、余剰資金を使い果たした場合は、借入金による設備投資を行わなければなりません。次々に設備が故障した場合は、借入金の返済が大きくなる→資金繰りが悪くなるということも考えられます。このように長期的な展望で事業計画を考えるか否かで大きく結果が変わる可能性があるのです。

ライフプランと長期的な事業計画というと難しく考えがちですが、まずは今後どのようなイベントが起こりうるのかを事業とプライベートの両面から、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

税理士法人アップパートナーズ　長崎オフィス
歯科グループ　グループ長　山木将史