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クリニックニュース 2015年2月20日号

2015/3/3

非営利新型法人創設や医療法人制度見直し、とりまとめへ
《厚生労働省・医療法人の事業展開に関する検討会》

厚生労働省は2月9日、非営利新型法人の創設や医療法人制度の見直しについてのとりまとめを公表した。「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて」と題した本とりまとめの公表に至るまで、同省に設置された「医療法人の事業展開に関する検討会」においては全10回にわたり議論が繰り広げられた。「日本再興戦略」改訂2014(2014年6月24日閣議決定)において、「複数の医療法人や社会福祉法人等を社員総会等を通じて統括し、一体的な経営を可能とする『非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)』を創設する」ことについて検討が求められた他、医療法人制度の見直しについては、「日本再興戦略」改訂2014、「規制改革実施計画」(2014年6月24日閣議決定)及び地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(2014年6月17日参議院厚生労働委員会)においてその必要性が投げかけられている。同検討会は、▼非営利新型法人の創設、▼医療法人制度の見直し ――の2つについて重点的に検討し、「(これらを)基本とすることが概ね妥当であると考えられる」という前提で制度について整理した。
中でも、非営利新型法人については、「地域医療構想との整合性を図るとともに、医療における非営利性の確保の重要性に鑑み、具体的な制度設計や運用面も含めて非営利性が適切に確保されるものとすることを強く求める」と明記。非営利新型法人の創設について、「地域医療構想を達成するための一つの選択肢として設けることとし、複数の医療法人等に関する統一的な連携推進方針(仮称)を決定し、横の連携を強化することで、競争よりも協調を進めるとともに、グループの一体的運営によりヒト・モノ・カネ・情報を有効に活用することで、地域において良質かつ適切な医療が効率的に提供される体制を確保する」と説明した。
非営利新型法人の法人格については、地域における医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するため、都道府県知事は、一般社団法人のうち一定の基準に適合すると認めるものを非営利新型法人として認定。医療法人等を社員とする社団型を基本とし、財団型については社団型の実施状況等を見ながら検討するとした。参加法人の範囲については、事業地域範囲内における病院、診療所又は介護老人保健施設を開設する複数の医療法人その他の非営利法人を参加法人とすることを必須とするとした。加えて、非営利新型法人の定款の定めるところにより、地域包括ケアの推進のために、事業地域範囲内で介護事業その他地域包括ケアの推進に資する事業のみを行う非営利法人についても参加法人とすることができる。また、社会福祉法人の参加の在り方については、現行の社会福祉法人制度や現在検討中の制度改革の内容と整合性を図るとした。
参加法人の共通業務や管理業務等の実施については、参加法人を含む非営利新型法人全体の経営の効率化を図るため、非営利新型法人全体における研修を含めたキャリアパスの構築、医薬品・医療機器の共同購入、参加法人への資金貸付等を実施できるほか、介護事業その他地域包括ケアの推進に資する事業のうち非営利新型法人が担う本部機能に支障のない範囲内の事業について実施可能とし、参加法人への資金貸付等について、貸付、債務保証及び出資を一定の範囲に限って認め、租税回避の手段等となるような贈与については認めないと強調した。関連事業を行う株式会社・一般社団法人等への出資については、非営利新型法人の設立趣旨の達成に必要な範囲内にある関連事業を行う株式会社に対しては、非営利新型法人側が意思決定を主導することを担保する観点から株式保有割合を条件に出資できる。また、関連事業を行う一般社団法人等への出資については、贈与とならない「基金」に出資することを認めるとした。
議決権については、原則として社員一議決権であり、定款で別段の定めをすることができる。理事長要件については、複数の医療法人等を統括する非営利新型法人の代表であることから、その業務の重要性に鑑み、すべて都道府県知事の認可を経ると明記した。
このとりまとめは、社会保障審議会医療部会に提出、審議されたうえで、上申され、今国会に法案提出の運びとなる。

基本報酬はほぼ全てのサービスで減額に
《厚生労働省・2015年度介護報酬改定》

厚生労働省は2月6日、社会保障審議会介護給付費分科会に2015年度介護報酬改定について諮問し、同日、答申された。今次改定の考え方は、①中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化、②介護人材確保対策の推進、③サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築 ――の3つを柱に構成されている。
中でも、③については、介護事業者の利益率が一般の中小企業の利益率に比較して上回っているとして、ほぼ全てのサービスで基本報酬が減額となった。これは、厚生労働省が2014年10月に公表した介護事業経営実態調査の結果から、施設や在宅サービス事業所の利益率が大半の事業所で5~11%台を確保している等を理由に、財務省より、2015年度予算編成時に、今次改定の引き下げを要請されたことが背景にある。今次改定においては、改定率マイナス2.27%(在宅分マイナス1.42%、施設分マイナス0.85%)であり、これには介護職員処遇改善加算の拡充分としてプラス1.65%、認知症・中重度者対応の評価分でプラス0.56%が含まれるため実施的なマイナス幅は4.48%に上ると考えられる。今次改定の引き下げ率は、訪問系サービスで3~4%、通所及び施設系のサービスで5~6%台が目立っている。また、個々のサービスの引き下げ率は、今次改定の考え方①に則り、要介護度の高いところでは小さく、要支援や要介護度の低いところでは大きい傾向にある。①については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護等を対象に利用者が在宅での生活を無理なく継続できるような積極的な連携体制の整備に対し評価が新設(「総合マネジメント体制強化加算」(1,000単位/月))されたり、小規模多機能型居宅介護事業所で訪問を担当する従業者を一定程度配置し、1月あたり延べ訪問回数が一定数以上の事業所に対し「訪問体制強化加算」(1,000単位/月)が新設された。他、これまでの複合型サービス(小規模多機能型居宅介護+訪問看護)を「看護小規模多機能型居宅介護」と改称したうえで、「訪問看護体制強化加算(2,500単位/月)を新設する等、中重度に重きをおいている改定となった。
②については、介護職員処遇改善加算が引き上げられている。2012年度改定にて処遇改善交付金が介護報酬上の加算とされ、サービスによって3段階が設定。最も高い加算(Ⅰ)で1.1~4.2%の加算率であるが、今次改定においては、従来の加算(Ⅰ)に相当するものを加算(Ⅱ)とし、その上位の加算が設定された。新たな加算(Ⅰ)の加算率は2.0~8.6%となり、旧加算(Ⅰ)のほぼ2倍という高い単位設定となった。

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