ホーム > FAXレポート > 医院レポート > クリニックニュース 2015年4月6日号
地域医療連携推進法人を含む医療法改正案を閣議決定 《政府》
政府は4月3日、「医療法の一部を改正する法律案」等を閣議決定した。医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するため、地域医療連携推進法人の認定制度を創設するとともに、医療法人について、貸借対照表等に係る公認会計士等による監査、公告等に係る規定及び分割に係る規定を整備する等の措置を講ずるための改正である。
地域医療連携推進法人制度の創設においては、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人は、都道府県知事の認定を受けることができるとした。この法人の参加法人(社員)は、病院等の医療機関を開設する医療法人等の非営利法人であり、介護事業等の地域包括ケアシステムの構築に資する事業を行う非営利法人を加えることができる。都道府県知事の認定基準は、▼地域医療構想区域を考慮して病院等の業務の連携を推進する区域を定めていること、▼地域の関係者等を構成員とする評議会が、意見を述べることができるものと定めていること、▼参加法人の予算、事業計画等の重要事項について、地域医療連携推進法人の意見を少なくとも求めるものと定めていること ――と明記。都道府県知事の認定は、地域医療構想との整合性に配慮するとともに、都道府県医療審議会の意見を聴取して実施される。地域医療連携推進法人が実施する業務は、病院等相互間の機能の分担及び業務の連携の推進(介護事業等も含めた連携の追加可)や医療従事者の研修、医薬品等の供給、資金貸付等の医療連携推進業務であり、一定の要件によって介護サービス等を行う事業者に対する出資が可能である。また、法人の代表理事は都道府県知事の認可を要し、剰余金の配当禁止や都道府県知事による監督等の規定について医療法人に対する規制が準用される。都道府県知事は、病院等の機能の分担・業務の連携に必要と認める場合に、地域医療構想の推進に必要である病院間の病床の融通を許可することができる。
医療法人制度の見直しとしては、▼医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化に関する事項、▼医療法人の分割等に関する事項、▼社会医療法人の認定等に関する事項 ――が組み込まれた。経営の透明性の確保とガバナンス強化においては、事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める会計基準(公益法人会計基準に準拠したものを予定)に従い、貸借対照表及び損益計算書を作成し、公認会計士等による監査、公告を実施。また、医療法人はその役員と特殊の関係がある事業者との取引の状況に関する報告書を作成し、都道府県知事に届け出なければならないとした。
この「医療法人の一部を改正する法律案」は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行。ただし、医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスについては、一部をのぞき、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。また、検討規定として、「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の医療法の施行の状況について検討を加え、必要時、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と附則に明記している。
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A、公表 《厚生労働省》
厚生労働省は4月1日、「平成27年度介護報酬改定に関するQ&A」を公表し、老健局老人保健課・高齢者支援課・振興課から各都道府県介護保険主管部(局)等に向け事務連絡を行った。189問に及ぶ質問に対し、詳細に説明され、まとめられている。
中でも、訪問系サービスの集合住宅減算について、「月の途中に集合住宅減算の適用を受ける建物に入居した又は当該建物から退居した場合、月のすべてのサービス提供部分が減算の対象となるか」の問いについては、集合住宅減算については、利用者が当該建物に入居した日から退居した日までの間に受けたサービスについてのみ減算の対象になると明記。月の定額報酬であるサービスのうち、介護予防訪問介護費、夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)及び定期巡回・随時対応型訪問介護看護費については、利用者が減算対象となる建物に居住する月があるサービスに係る報酬(日割り計算が行われる場合は日割り後の額)について減算の対象となる。また、同一の敷地内もしくは隣接する敷地内の建物であっても、サービス提供の効率化につながらない場合、減算を適用すべきではないとしている点についての範囲については、事業所と同一建物の利用者を訪問する場合とは移動時間が明らかに異なる広大な敷地に複数の建物が点在するもの(例えば、URなどの大規模団地や敷地に沿って複数のバス停留所があるような規模の敷地)や幹線道路や河川などにより敷地が隔てられており、訪問するために迂回しなければならない等のケースを挙げた。
訪問看護において、在宅における中重度の要介護者の療養生活に伴う医療ニーズへの対応を強化する観点から、一定割合以上の実績等がある事業所に新たに設けられた「看護体制強化加算」について、その算定にあたっては、「算定日が属する月の前3月間」において特別管理加算及び緊急時訪問看護加算を算定した実利用者の割合を算出する必要があることから、仮に6月に算定開始をする場合、5月15日以前に届出を提出する必要があるため、3月・4月は実績で割合を算出し、5月分は見込みとして3月間の割合を算出することになると説明した。
医療従事者の勤務環境改善に向け、情報発信 《厚生労働省》
厚生労働省は3月27日、医療従事者の勤務環境改善に関する情報を提供する「いきいき働く医療機関サポートWeb(通称:いきサポ)」を開設した。このサイトは、医療機関の管理者などを対象に、国や都道府県等による施策や事業等の紹介、医療機関の取組事例の紹介等、医療従事者の勤務環境の改善に役立つ情報を提供する。
この医療従事者の勤務環境改善は、医療従事者の離職防止や医療安全の確保等を図るため、改正医療法(平成26年10月1日施行)に基づき、▼医療機関が勤務環境改善マネジメントシステムを創設。医療機関の自主的な取組を支援するガイドラインを国で策定、▼医療機関のニーズに応じた総合的・専門的な支援を行う体制として医療勤務環境改善支援センターを各都道府県で設置(平成27年3月6日現在、21都道府県で設置) ――等、整備している。
厚生労働省HP内「いきいき働く医療機関サポートWeb」http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078960.html