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上田公認会計士事務所の 能川 です。
社会福祉法等を一部改正する法律案が、出ていることは
前回お伝えしましたが、その法律のうち、「社会福祉法人
制度改革」に注目したいと思います。
改革は、以下の3つの基本的な視点からスタートしました。
①公益性・非営利性の徹底
②国民に対する説明責任
③地域社会への貢献
この視点から現状の社会福祉法人の組織経営の在り方を
見直した結果、内部統制の機能を十分に果たせるものでは
ないことが問題提起され、その原因として、理事・理事長の
専断が許される現状の不適切な運営が指摘されています。
そこで今回の改革では、非営利性が担保できるガバナンスが
必要であるとして、以下の措置案が盛り込まれています。
①経営組織のガバナンスの強化
・議決機関としての評議員会を必置
・一定規模以上の法人には会計監査人を導入
②事業運営の透明性の向上
・財務諸表・現況報告書・役員報酬基準等の公表に関わる
規定の整備
③財務規律の強化・役員報酬基準の作成と公表
・役員等関係者への特別の利益供与の禁止
・「社会福祉充実残額(再投資財産額)」の明確化
・「社会福祉充実残額」を保有する法人に対し、計画書作成の
義務付け
④地域における公益的な取組みを実施する責務
・社会福祉事業及び公共事業を行うに当たり、無料又は低額
料金での福祉サービス提供を責務として規定
⑤行政の関与の在り方
・所轄庁による指導監督の機能強化
・国・都道府県・市の連携
上記の改正案が国会を通過した場合、平成29年4月1日(一部
は平成28年4月1日)の施行が予定されています。
極めて重要な内容の改正です。今後ガイドライン等の作成も進め
られることが予測されますが、現状のままでは法人運営ができない
ケースも多々生じてくることが考えられますので、詳細が発表される
都度、その内容に注視する必要があります。
そこで当事務所ではセミナーの予定を8月に繰り上げて行うことと
なりました。詳細についてはまたHPにてお知らせいたします。
ご興味のある方は、当事務所までご連絡下さい。
参考文献:
厚労省「社会保障審議会福祉部会報告書~社会福祉法人制度改革について~」
厚労省「社会福祉法等の一部を改正する法律案(平成27年4月3日提出)概要」