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社会福祉法人の内部留保 [第1回]

2015/8/26

衆院厚生労働委員会での社会福祉法人の内部留保についての審議
7月8日の委員会での社会福祉法人の内部留保についての審議を抜粋してご紹介します。

社会福祉法改正案が成立すると具体的な財務状況の説明が必要になり、実務への影響を検討していくことになります。

以下、審議の抜粋です。

中野委員
「事業維続に必要な財産の基準、多様な経営実態を反映させるべき」

改正案では、財務規律の点において内部留保を明確化し福祉サービスに再投下する計画(「社会福祉充実計画」)を立てる新しい仕組みが導入されている。事業維続に必要な財産の基準を定めるに当たつては社会福祉法人の多様な経営実態を反映させるべき。

鈴木局長
「基準については専門的一技術的な見地から十分な検討を要する」

社会福祉法人については、事業活動を通じて得た利益を蓄積する形で相当程度の余裕財産を保有しているのではないか、いわゆる内部留保に関する問題が指摘されている。

いわゆる内部留保については、法律上確立した定義がない。また、仮に余裕財産が存在するとした場合、それをどういうふうに使うのかといった処理の対応についても、制度上明確なルールが設けられていない。

一方、社会福祉法人は非常に公益性の高い非営利法人であるので、公益性 ? 非営利性に照らすと、この内部留保については現在の事業を安定的に経営するために必要な財産は適切に確保した上で、それ以外の財産については社会福祉事業の拡充などに再投下して地域社会に買献することが求められるだろうと考えている。

こうした考え方に立ち、今回の法案では内部留保について、社会福祉法人が現在の事業を維続するために必要な財産額を控除し、再投下可能な財産額を明確化し、計画的に社会福祉事業の拡充等に再投下する仕組みを設けた。

この場合の現在の事業を継続するために必要な財産だが、現在の事業に活用している土地や建物などの資産、事業をこれから続けていくために必要な建物の建て替え、あるいは大規模修繕に必要な資金、緊急の支払いなどに対応するための手元流動資金、こういったものを基本とし、具体的な算定方法を明確に定めていく必要があるだろう。

社会福祉法人の事業内容や規模は多樣なので、事業継統に必要な財産額の算定については実態を踏まえた合理的で適切な算定方法として定める必要があるだろうと考えている。この基準については専門的 ? 技術的な見地から十分な検討を要するものであるので、法案が成立し制度施行までの間に、有識者の知見も含めて検討を進め、適切な基準を策定していきたいと考えている。

西村智奈美委員(民主)
「処遇改善に充てることに着目し計画を作る必要がある」

いわゆる内部留保から差し引くことになる控除対象財産がどういうものなのか、法案にはほとんど書かれていない。一律にやるべきではないと思う。人材(確保)、処遇の改善に充てることに着目した上で(社会福祉充実)計画を作つていけるようでなければならない。

塩崎恭久厚労相
「事業の安定経営に必要な財産の中には、人材もあると思つている」

社会福祉事業を営むに当たつて最も大事なのは人材、人が相手の大事な福祉事業なので、職員の処遇改善等については経常的な運営の中で取り組まなければいけない。

再投下可能な財産がある、つまり内部留保があるというところについて、今回の法案においても「社会福祉充実計画」において職員の処遇改善を含む社会福祉事業の充実に區先的に再投下することを検討することとしており、社会福祉事業の中での人材投資が第一優先順位のグループにくるということである。

控除対象財産の考え方について、法律ができてから省令と通知などで具体的に示すことになっていて、3つの大きなジャンルは、社会福祉法に基づく事業に活用している不物産、再生産に必要な財産、必要な運転資金というものだが、公益性 ? 非営利性に照らせば、今の事業を安定的に経営するために必要な財産は間違いなく確保していく。その中には当然、人材もあると思つている。

中野委員
「地域公益事業のゆとりのない法人もある。責務規定を置いた趣旨は」

改定の大きな柱のーつとして地域公益事業を実施する責務規定が盛り込まれている。
本体事業だけでも精いっぱいという声も強く、地域公益事業といわれてもゆとりはないという声もある。今回、地域公益事業の責務規定を置いた趣旨を改めて確認したい。

鈴木局長
「さまざまな条件に応じて努力していただければよいという趣旨での責務」

わが国の社会は人口の高齢化、地域社会や家族の変容に伴い、福祉ニーズが多様化 ? 高度化している。既存の制度では十分に対応できないような方々への支援の必要性が高まっていると考えている。こうした中で社会福祉法人の位置付けを考えてみると、いわゆる社会福祉法に列挙されている社会福祉事業を実施するというだけではなく、地域の幅広い福祉ニーズに対応した公益事業を行うものとして社会福祉法に位置付けられているという法人である。従って、社会福祉法人は営利法人など他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応することが求められると思っている。そうした観点から今般の改革においては、社会福祉法人に対し日常生活あるいは社会生活上の支援を必要とする方に対し、無料または低額の料金によって福祉サービスを提供することを責務として位置付けたということである

貴務であり、義務とは異なり、それぞれの法人の財政状況に応じてお金をかけて行うもの、かけずに行うもの、さまざまな条件に応じて努力をしていただければよいという趣旨での責務だ。

西村委員
「所轄庁による指導監督、ある程度、標準化したルールがあるべきだ」

所轄庁による指導監督は、都道府県や市がやることとはいえ、法定受託事務だ。ある程度、標準化したルールがあるべきだ。それが制度への信頼性を高める。

塩崎厚労相
「所轄庁による指導監督を基準に従ったものとするように徹底したい」

社会福祉法人の適正な運営を確保するためには、指導監督の強化が必要と思っている。一方、所轄庁による指導監督は、地域によつて異なる規制、必要以上に厳しい規制に基づくものがあるとの指摘もあり、法人の自主性を阻害し、福祉ニーズに柔軟に対応しようとする際の支障になっているとの意見もあることは分かっている。

今回の改革では、所轄庁の指導監督に当たって、公認会計士など財務 ? 会計に関する専門家の活用を促すなどを指導し機能強化を図る。指導監督基準のー層の明確化を含む見直しも行って、所轄庁による指導監督を基準に従ったものとするように徹底したい。

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