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介護経営情報(2015年9月25日号)

2015/9/30

◆スマート・ライフ・ステイ試行事業で官民団体の中間報告
糖尿病の疑い対象 新たな保健指導「宿泊型新保健指導」

――厚生労働省
厚生労働省は9月15日、「宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)試行事業」の中間報告会を開催した。宿泊型新保健指導とは、糖尿病が疑われる人などを対象に、ホテル・旅館などの宿泊施設や地元観光資源を活用して、医師・保健師・管理栄養士・健康運動指導士などの多職種が連携して提供する新たな保健指導プログラム。
厚労省は自治体、民間事業者などから試行事業を募集し、4月に山形県上山市など7自治体、公益財団法人愛知県健康づくり振興事業団など16民間団体が採択された。6月頃より各団体によるプログラムが開始されており、12月までにそれぞれ複数回実施される予定。今回の会合では、中間報告が行われた。

熊本県菊池市の事業では、健診で血糖・脂質・血圧のいずれかが高め、あるいは、BMI25以上または腹囲が男85cm・女90cm以上を対象者として募集し、地元の温泉旅館を利用した2泊3日のプログラムが2回行われた。各回定員の15名が参加し(県外参加率1回目47%、2回目20%)、プログラム管理には、医師、保健師、管理栄養士、健康運動指導士、看護師が参加。各日、メディカルチェックを受けた後、食事指導、運動実践、ヨガ、座禅、温泉などのプログラムを行った。

公益社団法人日本理学療法士協会の事業では、糖尿病予備群および特定保健指導対象者を募集し、長野県上田市での2泊3日のプログラムを2回実施。保健師、管理栄養士、理学療法士によるワークショップの後、3日間を通して、運動痛に配慮した運動指導、食事指導、生活習慣と健診結果の振り返りや行動目標立案支援などが行われた。特に運動に関する正しい知識と各自の状態に合った継続可能な運動プログラムの体得、痛みや負荷量に配慮したプログラムの相談など、理学療法士などによる充実した運動指導が重視された。

宿泊型プログラム後は、6カ月間の保健指導支援が計画されている。2016年1月より報告書の取りまとめが開始される予定。

◆福祉用具事故で49人死亡 65歳以上、過去5年間で
製品評価技術基盤機構(NITE)が事故集計発表

――独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE―ナイト)
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE―ナイト)は9月18日、介護ベッドや電動車いすなどの福祉用具で65歳以上の高齢者がけがをした事故は2010年4月~今年3月の約5年間に134件あり、49人が死亡、51人が重傷を負ったとする内容の事故集計報告書を発表した。
NITEはこれまで同種事故に警鐘を鳴らしてきたが、14年度にも21件が発生、7人が死亡しており、敬老の日を前に改めて注意を呼び掛けた。誤った使い方や不注意が事故を招くとして「高齢者はとっさに危険を回避することが困難で、被害が大きくなる傾向がある」と分析している。
約5年間の死亡事故は製品別では、介護ベッドと電動車いすが22人ずつ、介護手すりが4人、車いすやベッドから移動する際に使う介護リフトが1人。重傷事故は多い順で介護ベッド21人、歩行補助車・補助器11人、電動車いす6人など。
介護ベッドでは、柵や手すりとベッド本体との隙間に頭や体を挟み込んで死亡したり、手足を挟んでけがをしたりする事故が目立った。家族ら介護する人は、周囲に隙間がないかを確認し、カバーやクッションで隙間を覆う対策が必要だ。
電動車いすでは道路を走行中に用水路や河川に転落した事故や、踏切に遮断棒を折って進入し電車と接触したケースがあった。幅が狭い道路やガードレールがない通路を走行する際は路肩に寄りすぎず、田畑や堤防など転落の危険がある場所や踏切内では使用を控えるよう促した。

●製品評価技術基盤機構 製品安全センター発表 資料概要
介護ベッドや電動車いす等の福祉用具は、高齢者や障害のある方々の自立した社会生活を支援する製品として欠かせない製品。しかし誤使用や不注意などによって事故が発生することも多く、特に高齢者の場合「死亡」「重傷」といった重篤な被害に至るおそれがあるため、事前の対策及び使用時の注意が必要だ。

NITEに通知された製品事故情報(※1)において、福祉用具による高齢者(※2)の事故は、平成22年度~平成26年度までの5年間に合計147件あった。このうち55件(37.4%)が使い始めから1年未満に発生しており、使用に不慣れだったことが事故の原因のひとつと推測される。
また、被害状況を見ると、「死亡」「重傷」といった重篤な被害が100件(68.0%)と多く発生している。高齢者や障害のある方の場合、とっさに危険を回避することが困難で、事故が発生したときに被害が大きくなる傾向がある。

■ 主な事故事例及び事故防止のための注意事項
▼ 介護ベッドの隙間に頭や手足を挟み込み、死亡・重傷等の重篤な被害を負った。…使用する際は、頭や手足が入り込みそうな隙間が無いか確認し、カバーやクッションで覆ったり隙間の小さい部品に交換する
▼ 電動車いすで走行中、道路から用水路、河川等に転落して死亡した。… 幅の狭い道路やガードレールがない道路などの走行時は路肩に寄りすぎない
▼ 電動車いすで走行中、踏切内で列車と接触して死亡した。…踏切の走行は可能な限り避け、通行する際は脱輪したり線路の溝にタイヤが挟まらないようハンドルをしっかりと握り、線路に対して直角に渡る。また、充電は十分に行っておく。

◆平成27 年7 月末現在 国民年金保険料の納付率、68.2%
厚生労働省 25 年度末から7.4 ポイント増

――厚生労働省
厚生労働省は9月24日、平成27年7 月末現在の国民年金保険料の納付率を取りまとめ公表した。発表資料では、未納分を遡って納付できる過去2年分を集計した「平成25 年度分の納付率」、「平成26 年度分の納付率」と、平成27 年4 月分から平成27 年6 月分までの保険料のうち、平成27 年7 月末までに納付された月数を集計した「現年度分の納付率」をまとめている。
国民年金の加入者は自営業者や非正規社員、無職の人などが中心だが納付率は若者の改善幅が大きく、20~24歳は3・0ポイント増の59・3%、25~29歳は3・1ポイント増の53・0%になった。景気が上向いたことで無職や非正規社員の未納者が正社員となり、会社員向けの厚生年金に移って未納者が減ったとみられる。

■納付率の概要
○平成25 年度分(過年度2 年目)の納付率(注1)は、68.2%(25 年度末から+7.4 ポイント)
※平成27 年度末時点の目標は、25 年度末から+7.0 ポイント(注3)
○平成26 年度分(過年度1 年目)の納付率(注2)は、64.9%(26 年度末から+1.8 ポイント)
※平成27 年度末時点の目標は、26 年度末から+4.0 ポイント(注3)
○平成27 年4 月分~平成27 年6 月分(現年度分)の納付率は、57.5%(対前年同期比+0.5%)
※平成27 年度末時点の目標は、前年度実績から+1.0 ポイント(注3)

<注記の説明>
(注1)平成25 年度分(過年度2 年目)の納付率:平成25 年4月分~平成26 年3月分の保険料のうち、平成27 年7 月末までに納付された月数の割合。
(注2)平成26 年度分(過年度1 年目)の納付率:平成26 年4月分~平成27 年3月分の保険料のうち、平成27 年7 月末までに納付された月数の割合。
(注3)数値目標は、いずれも日本年金機構平成27年度計画による。
(注4)数値は、それぞれ四捨五入しているため、下一桁の計算が合わない場合がある。

<参考>平成27 年3 月末現在 国民年金保険料の納付率(5月20日発表)
厚生労働省が今年5月に発表した、未納分を遡って納付できる過去2年分を集計した「平成24 年度分の納付率」、「平成25 年度分の納付率」と、平成26 年4 月分から平成27 年2 月分までの保険料のうち、平成27 年3 月末までに納付された月数を集計した「現年度分の納付率」。

<概要>
○平成24 年度分(過年度2 年目)の納付率(注1)は、67.6%(24 年度末から+8.6 ポイント)※平成26 年度末時点の目標は、24 年度末から+6.5 ポイント(注3)
○平成25 年度分(過年度1 年目)の納付率(注2)は、66.7%(25 年度末から+5.9 ポイント)※平成26 年度末時点の目標は、25 年度末から+4.0 ポイント(注3)
○平成26 年4 月分~平成27 年2 月分(現年度分)の納付率は、62.3%(対前年同期比+2.1%)
※平成26 年度末時点の目標は、前年度実績(60.9%)を上回る水準(注3)

<注記の説明>
(注1)平成24 年度分(過年度2 年目)の納付率:平成24 年4月分~平成25 年3月分の保険料のうち、平成27 年3 月末までに納付された月数の割合。
(注2)平成25 年度分(過年度1 年目)の納付率:平成25 年4月分~平成26 年3月分の保険料のうち、平成27 年3 月末までに納付された月数の割合。
(注3)数値目標は、いずれも日本年金機構平成26 年度計画による。
(注4)数値は、それぞれ四捨五入しているため、下一桁の計算が合わない場合がある。

◆次期診療報酬改定で今後のスケジュール表 社保審・医療部会
中医協は10月~11月に医療経済実態調査の結果報告

次期診療報酬改定を審議している社会保障審議会「医療部会」では9月16日、「2016年度診療報酬改定のスケジュール案」が示された。社会保障審議会の「医療部会」、「医療保険部会」で今後の詰め方を含め、2016年度診療報酬改定の基本方針をそれぞれ3回にわたって議論している。
スケジュールの大枠(今後の工程)は次の通り。
①11月下旬~12月初旬に改定の基本方針を策定(前回2014年度改定時は12月)する。これと並行して、中央社会保険医療協議会で、10月~11月に医療経済実態調査の結果報告。
②12月上旬に薬価調査・材料価格調査の結果報告がされるほか、12月まで、検証結果も含めて個別項目の集中的な議論が続けられる。
③このあと、内閣は12月下旬に、予算編成過程で大臣折衝(財務大臣と厚生労働大臣)などを経て、診療報酬の改定率を決定。
④年明け2016年1月中旬、厚生労働大臣が中医協に対して、「改定率」と「基本方針」にもとづいて、改定案の調査・審議を行うよう諮問する(前回は1月15日)。
⑤これを受けて、中医協は1月以降、具体的な診療報酬点数の設定にかかる調査・審議を実施。公聴会やパブリックコメントを実施した後、2月中旬、厚生労働大臣に対して、改定案を答申する(前回は2月12日)予定だ。
⑥厚生労働大臣が3月上旬、改定の新点数表や施設基準の告示や、点数の解釈に関する通知発出を行い(前回は3月5日)、4月1日施行の運びとなる。

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