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介護経営情報(2016年1月15日号)

2016/1/18

◆娯楽型介護保険事業所・施設への意識調査結果発表
ケアマネ、娯楽型施設の存在については賛否両論 

――(株)インターネットインフィニティ
介護関連メディア事業を主事業とする(株)インターネットインフィニティ(東京都)は1月7日、ケアマネジャー641名を調査対象として娯楽型介護保険事業所・施設への意識調査を行いその結果を発表した。ケアマネジャーはケアプラン起案の責任者で家族の相談者でもあることから、この娯楽型介護施設への賛否が注目されていた。一方で市や県などの行政側では、兵庫県や神戸市がカジノ型介護施設に「規制の動き」の先鞭をつけたばかりで、今年になって全国へ波及しそうな様相を見せはじめていて、同調査はこの動きに反応したものと思われる。
なお現在のところ国(厚労省)は「(各地域の)事業所の独自性をどう評価するかは難しい」として介入の構えはない。というのも基本的には兵庫県や神戸市の規制については「地方分権の原則を生かして各自治体が考えること」と独自性を強調しているからだ。

調査結果は意外にも、娯楽型施設の存在については事業所の現場をよく知るケアマネだけあって賛否両論。「よい」とするケアマネジャーは206名で32.2%。「よくないと思う」「とてもよくないと思う」が204名で31.8%。ほぼ同数で拮抗しており、「どちらでもない」との回答も231名36.0%と3つの意見がほぼ均等に分散されている。

回答の理由については、肯定側からは「施設には多様性があってよい」否定側からは「介護保険を使用する必要があるのか」という声があがっている。肯定派は「人との交流」や「笑顔」に改善がみられたといえば、否定派は「公金」を使うことではない、という。しかし現実には、デイサービスを受けに男性が行きたいという率は低いことも事実。それはサービスメニューに課題があるという意見が多い。
67名10.5%のケアマネジャーは、これまでに娯楽型施設の利用者を担当したことがある。利用者の施設利用後の変化について7割以上が「人との交流」や「笑顔」に改善が見られたと回答した。
「身体機能」や「認知機能」については、半数以上が変化なし。16.4%のケアマネジャーは身体機能悪化と回答している。

▼娯楽型介護保険事業所・施設に対するケアマネジャーの自由意見
娯楽型介護保険事業所・施設に対して、以下のような意見が寄せられた。(一部抜粋)
サービス事業所の特色は自由であるべきです。多様な事業所から選択することで、ニーズにより近いサービス提供が可能になると考えます。一定のルールは必要とは思いますが、規制するのには反対です。
介護保険という公的資金で“娯楽型”サービスが行われる事自体ナンセンス。頭を使うことは認知症予防にはよいかもしれないが、長時間座位姿勢で過ごす事は、機能回復、自立支援他者との交流など介護保険本来の趣旨に反している。
家族の希望で仕方なく利用支援を行ったが、公費を用いて支援をする内容ではないと思っているため、不本意であった。ただ少数派ではあるかと思うが、ギャンブルしか通所のきっかけが作れないケースの場合は最後の頼みの綱かもしれない。

カジノ型介護施設、規制の動き 兵庫県が条例案可決へ
娯楽性のある設備を使って介護予防を図るアミューズメント型デイサービス(またはカジノ型通所介護)と呼ばれる娯楽型介護保険事業所は関東地方で先行した。昨年末からこの種のディサービスの是非論が浮上、論議の対象になっていて、兵庫県をはじめ「規制対象」の流れが見えてきた。
デイサービスとは本来、利用者のもつ能力を生かしながら、在宅生活を営むための機能訓練を行ったり、日常生活上の世話をするための施設だ。

兵庫県ではパチンコやマージャンなどの遊技を介護予防の主な訓練内容とするデイサービス施設や特別養護老人ホームなどを、介護事業所として指定しないとする条例改正案が昨年10月、兵庫県議会で可決された。ギャンブル依存につながる恐れがあるなど、介護保険法の趣旨にそぐわないと判断。こうした規制は都道府県で初となる。県内では神戸市で1か月ほど早くに条例改正案が可決したこともあって県は特養や介護老人保健施設などにも対象を広げる。
条例改正案は、射幸心(賭け事)をそそったり依存性が強くなったりする恐れのある遊技を、日常生活を逸脱して提供しない▽疑似通貨を使用しない▽内外装や備品、事業所の名称、広告などを賭博や風俗営業を連想させるものとしない――などとしている。違反すると県が改善を指導し、従わない場合は最終的に介護事業所の指定を取り消す。

神戸市は昨年8月、娯楽性のある設備を使って介護予防を図るアミューズメント型デイサービスについて、一定の規制を設ける方針を明らかにした。市は、デイサービス事業に一定の規制を行なうための条例改正案を9月市会に提案し、あわせて、8月14日から30日まで、パブリックコメントも実施した結果を受け、9月に条例改正が成立した。市によると全国初の試みという。
市では「適度な娯楽の活用は高齢者の心身の活性化に役立つとする一方、最近は遊技場かと思われるような事業所が出てきている」と指摘したうえで、「介護保険事業の財源に、公費や市民が負担する介護保険料が充てられることから、過剰で不必要な介護サービスは保険料の上昇や利用者の自己負担増につながる」と説明した。

◆介護職の業務改善やロボット・ICT活用を検討 介護懇談会
「介護のシゴト魅力向上懇談会」の初会合開く

――厚生労働省
厚生労働省は1月12日、「介護のシゴト魅力向上懇談会」の初会合を開催し、(1)1億総活躍社会の実現に向けた取り組み、(2)構成員からの発表――などを議題として進めた。発表事例では大石佳能子構成員(株式会社メディヴァ代表取締役)が自らの経営とその実績をベースに「在宅療養支援診療所(在支診)」を説明した。
この懇談会は介護の仕事・職場の魅力向上のため、業務プロセスの改善やテクノロジー活用による業務負担の軽減、生産性の向上等について、先進的な現場の実践を踏まえて議論して今後の政策の参考にすることが目的である。
厚労省は今後、「業務プロセスの改善に向けた取り組み」、「テクノロジー(介護ロボット・ICT等)の活用に向けた取り組み」を検討すると今後の中心議題を述べた。

(1)では、厚労省は65歳以上の高齢者数は今後も増加し、特に介護を受ける可能性の高い75歳以上の高齢者数が急速に増加すると指摘。このため、2020年度に介護人材は20万人不足すると試算を示し、介護人材25万人を確保するための対策を総合的・計画的に推進すると説明した。
また、介護の生産性向上に向けて、2016年度当初予算などで、「介護事業所における文書量の半減」、「介護ロボットの効果的な活用方法の検討・開発支援」、「ロボット等の導入支援」を実施するとしている。

(2)では、大石佳能子構成員(株式会社メディヴァ代表取締役。東京都)が、魅力と生産性向上の取り組みとして、医療分野の24時間の往診・訪問看護ができる「在宅療養支援診療所(在支診)」を例にあげて説明。届出数が年6.5%程度伸び1万3,758診療所に上っているが、4割が看取り実績がなく、8割で患者数が20人未満と実質的に稼働していないと述べた。
大石構成員は自宅看取り率9割の在宅医療部を持つ都内の診療所では、当直医を置いて地域で他の全てのクリニックの夜間・休日代理往診をできる体制を整備していることを紹介。スマートフォンや電子カルテを活用して、クラウド型の地域連携システムで情報を共有し、業務効率化を図っていることなどを説明した。

大石佳能子(おおいし・かのこ)
大阪市出身。54歳。東京都内で病院・診療所開業支援コンサルタントのほかに(株)メディヴァ社長、医療法人プラタナス総事務長等として実績を上げている。政府の医療専門委員会などの公職も多い。大阪大法卒。日本生命を退職後、ハーバード大経営学修士(MBA)を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て2000年に起業。モットーに「医師の視点から患者の視点へ」「赤ひげ先生」がある。起業のきっかけは自身の出産体験で、診療待ち時間の長さに疑問を持ったことだという。

◆東京都有料老人ホーム設置運営指導指針(ガイドライン)改正
報告対象の重大事故明確化、質的改善につなげる目的で

――東京都福祉局
東京都福祉局は、平成27年12月22日に「東京都有料老人ホーム設置運営指導指針(ガイドライン)」を改正したが、今年4月1日から適用される。ただし改正された「事故発生の防止の対応」及び「事故発生時の対応」の規定については、平成28年1月1日から適用されている。

改正案の基本は厚生労働省が平成25年3月30日付けで改正した標準ガイドラインを踏まえた内容となっている。東京都北区にあった無届老人ホーム摘発がきっかけだった。今度の東京都のガイドラインは既存建物を転用した場合は個室床面積の最適基準を押し入れを除いて4畳半程度(7・43平方m)とするなどの独自基準を設けて、質の低い有料老人ホームへの指導や改善につなげるのが狙い。
今年4月1日から適用されるが、法人全体で事故発生防止に取り組むことと、報告が必要な「死亡等重大な事故」の内容を明確化した部分は今年1月1日から適用された。

「東京都有料老人ホーム設置運営指導指針」により、有料老人ホームの設置及び運営に関して遵守するための事項を定めている。事業者は、有料老人ホーム開設時はもとより事業開始後においても、本指針に定める基準を満たすだけでなく、より安全・安心なサービスを提供し、高齢者のくらしを支援できるよう、協力し順法精神を維持しなければならない。

改正後の指針は、事業者の周知期間を確保するため、平成28年4月1日から適用するが、本指針の改正案「事故発生の防止の対応」及び「事故発生時の対応」の規定については、平成28年1月1日から適用する。
都内有料老人ホーム運営事業者を対象とした説明会を平成28年1月22日(金曜日)に開催される。

●東京都有料老人ホーム設置運営指導指針(要旨)
東京都有料老人ホーム設置運営指導指針(以下「指針」)について、都における有料老人ホームの状況等及び厚生労働省が定める標準指導指針の改正(※1)を踏まえ、下記のとおり 所要の改正を行った。

1 主な改正点 《 》内は指針該当箇所
(1)これまで指針適用対象外であったサービス付き高齢者向け住宅について、老人福祉法で定める有料老人ホームの定義に該当するものを指針の適用対象に追加【一部都独自規定(※2)あり】 《指針 2》
(2)外部サービスを入居者が自ら選択できるという原則の徹底 《指針 8》
(3)事故防止の取組み及び都への事故報告等に関する規定整備(※3) 【都独自】《指針 12》
(4)認知症介護、喀痰吸引等及び看取り介護に関する研修等の規定新設 【都独自】《指針 7イ》
(5)入居者の金銭管理に関する規定整備 【都独自】《指針 9)》
(6)高齢者虐待防止法や消費者契約法など関連法令を踏まえた対応を講じるよう明記 《指針 9・12》
(7)既存建築物を転用する場合等の設備基準に関する特例措置の規定整備 【一部都独自規定(※4)あり】 《指針 6》

2 適用年月日
平成28年4月1日(ただし上記1(3)に係る改正は平成28年1月1日から適用)
(注1) 平成27年3月30日付老発0330第3号厚生労働省老健局長通知による改正
(注2) サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けているものにあっては、別途都が独自に定める「高齢者向け住宅における生活支援サービス提供のあり方指針」(平成21年12月10日付21福保高在第346号)をあわせて遵守するよう規定など
(注3) 施設のみでなく法人全体として事故発生防止に取り組むよう明記、都へ報告を要する「死亡等重大な事故」等の要件明確化など
(注4) 特例措置を適用する場合の個室床面積の最低基準を7.43 ㎡(収納設備除く)と設定〔国標準指導指針には特例措置の床面積最低基準なし〕、特例措置適用対象を住宅型有料老人ホームに限定

◆医療事故調査制度、新制度開始3か月の事故報告は延べ81件
内科6件、外科6件、心臓血管外科4件など、やや増加傾向に

――日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)
日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は1月8日、医療事故調査制度の12月分の報告件数は36件に上ると公表した。2015年10月1日にスタートした医療事故調査制度にもとづくもの。昨年10月の制度開始から3カ月間の累計は81件。10月は19件、11月は26件と推移、やや増加傾向にある。

院内調査を終え、同機構に調査結果が報告されたのは6件、3カ月間の累計は7件。機構は、医療事故調査制度において医療事故調査・支援センターの役割を担う。36件の内訳は、病院32件、診療所4件。
診療科別や地域別の医療事故受付件数データは次の通り。
診療科別=内科6件、外科6件、心臓血管外科4件、精神科4件、循環器内科3件、整形外科3件。地域別=北海道2件、東北2件、関東信越13件、東海北陸5件、近畿8件、中国四国2件、九州4件。

「相談件数」は187件(累計597件)。内容による集計では211件(複数計上)で、「医療事故報告の判断」関連が45件(21%)、「手続き」関連67件(32%)、「院内調査」関連46件(22%)、「センター調査」関連6件(3%)、その他47件(22%)だった。「医療事故調査報告」(院内調査結果)は6件(累計7件)。センター調査の依頼はなかった。

医療事故調査制度の11月の報告は26件、報告事例の取り下げ1件、院内調査結果報告も1件 だった。
日本医療安全調査機構は医療事故調査制度の11月分の報告実績を公表、件数は26件であり、10月報告分の1件が取り下げになったことが明らかになった。10月分の19件と併せ、10月の制度スタートからの累計は45件。院内調査を終え、同センターに調査結果が報告されたのは1件。報告件数について、常務理事の木村壮介氏は、「まだ少ないという印象はあるが、新たな制度における医療事故の定義で、どのくらいの報告件数になるかはむずかしい」と述べた。

都医師会には21件の相談、センター報告は4件、4件中2件は支援、報告書作成済みも1件だった。
東京都医師会が昨年12月下旬に開催した定例記者会見で、小林弘幸理事(順天堂学大教授)が都医師会に寄せられた医療事故調査制度に関連する相談事例を報告した。新たな事故調査制度がスタートした10月1日から12月16日までに、都医師会には21件の相談が寄せられ、そのうち4件が医療事故調査・支援センターである日本医療調査安全機構に報告された。4件のうち2件では都医師会が支援に入り、1件は調査報告書の作成が完了、もう1件も作成中という。21件の内訳は、8件がセンターに報告すべきかの判断に関する相談だった。

全国医学長病院長会議は定例記者会見で、同会議独自の「医療事故調査制度ガイドライン」を公表した。国立大学附属病院医療安全管理協議会作成のガイドラインに、同会議の「大学病院の医療事故対策委員会」の説明文を補記した内容だ。
説明文では、医療事故調査制度の趣旨について、「医療の安全面における質向上を構築することであり、医療事故にしばしば伴う患者側からの訴えや係争を直接的に取り扱うものではない」と説明。国立大学附属病院医療安全管理協議会作成のガイドラインでは、係争などを意識し、外部委員を「必要なら招聘」することも可能との認識を示している。

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