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大阪市中央区 上田公認会計士事務所の上田です。
さて、本日は 出口 治明氏のご著書 『人生を面白くする本物の教養』という本をご紹介します。
教養とはなにか。それは決して単なる知識ではなく、決して目に見えるものでもありません。そんな「教養」というものについて改めて考えるきっかけになればと思い、本書を手に取りました。
――教養とは、人生における面白いことを増やすためのツールであるとともに、グローバル化したビジネス社会を生き抜くための最強の武器である。
このように出口氏は記されています。より面白い人生、より楽しい人生を送って、悔いなく生涯を終えるためのツール。それが教養の本質であると、定義されていました。
それでは、人生をよりよくするための「本物の教養」、それはどのようにすれば身につける事ができるのでしょうか。本書に記されているものを、いくつか挙げさせて頂きます。
・腑に落ちるまで考え抜く
自分の頭で考える際には、「腑に落ちる」という感覚が大切になります。本当に自分でよく考えて納得できるかどうかが重要です。しかし、昨今では、この「腑に落ちる」という感覚が少々軽視されているところがあります。何か分からないテーマや事柄があったとして、それについて誰かが説明していたら、それでもう分かったつもりになっている、という経験は無いでしょうか。特に最近では、一見答えのように見えるきれいに整えられた 情報が、ネット空間などには溢れています。あるいは、情報がコンパクトにまとめられたテレビ番組も多くあります。
自身が分からないテーマについて考える際には、上記のような安易な解決法は「そのような考えかたもあるのだな」と一旦保留し、すっきりしない点については安易に妥協せずに探求を続けることが大切です。別の見方をしたり、自分の頭の中で検証したりすることで、本当に「腑に落ちる」感覚が得られるまで探る。こうすることで、自分の意見を確立させることや、応用のきく考えを定着させることが可能となるのです。
・何かにたとえて考える
物事の本質をシンプルにとらえるにあたっては、「何かにたとえて考える」と案外有効な場合があります。一見、複雑で混沌として見える問題でも、他のものにたとえて抽象化すれば、本質をとらえやすくなるのです。
比喩で考えるとき、最初に何にたとえるかが難しいという場合は、できるだけ自分の日常生活に結び付けて考えることがコツとなります。
例えば、「教養を身につける」という話を、「水泳」に当てはめてみましょう。
世の中には泳げる人と泳げない人がいますが、たいていの人は、泳ぎ方を習ったら泳げるようになります。オリンピック選手並みに泳ぐことは、ほとんどの人が出来ませんが、そこそこのレベルで泳ぐということは、誰にでもできるのです。そして、プールや海辺で水泳を楽しむのに、オリンピック選手並みの技量が必要かと問われたらなら、そこまでのレベルは必要ない、と皆さんも答えられるでしょう。
教養も同じことです。普通の社会生活を送るためには、そこそこのレベルの教養を身につければ十分であり、そしてそれは、誰にでもできることなのです。
・「修飾語」を取り除いて考える
物事の本質が「修飾語」によって見えにくくなっている場合があります。ここでいう「修飾語」とは、言葉の問題だけではなく、言葉が発せられた時や場所、またはその発言者を指します。
例えば、好きな人の発言と嫌いな人の発言では、受け取り方が変わってしまうことが多々あります。同じ人が同じように発言しても、時と場が違うだけで印象が変わってしまうこともあります。物事の内容とは別の「修飾」の部分によって、情報に対する私たちの感受性は千変万化してしまいます。人間ですので、逃れることができないことだといえばそうなのですが、何か物事について考える場合には「自分は今『修飾語』に影響されていないか。内容本位、本質本位で考えられているか。」ということを、常に自己確認する事が大切です。
戦後の日本は、アメリカを手本として時代の発展と幸福を手にしてきました。しかし、時代は変わり、日本は先進国となっています。これからは手本なしに自ら道を切り拓いていかなくてはなりません。
私たち個人も同じです。誰かに言われるままにやっていればいい、という時代は過ぎ、一人ひとりが自分の頭でよく考えて、自分の生き方を考えなければならないという時代になりました。自分の頭で考えることは、人間としてごく当たり前のことですが、考えなくてもいい時代が戦後長く続いた影響で、私たちはその「当たり前」のことが十分にできていません。
教養とは、よりよい社会とよりよい人生を実現するための武器なのです。一人ひとりが自ら培った教養をもとに、望む生活、望む世の中を作っていかなくてはなりません。その核になるのは、知識ももちろんですが、上記のような「本質を考え抜く力」だと、出口氏は本書で述べられています。
本書では、シャネルの創業者、ココ・シャネルの言葉が引用されています。
「私のような大学も出ていない年をとった無知な女でも、道端に咲いている花の名前を一日に一つぐらいは覚えることができる。一つ名前を知れば、世界の謎が一つ解けたことになる。その分だけ人生と世界は単純になり、だからこそ人生は楽しく、生きることは素晴らしくなる。」
人生を彩り豊かなものにするため、日々一つずつでも、「本物の教養」を身に付けたいと感じさせられました。皆様も一度、本書をお手に取られてみてはいかがでしょうか。