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医療経営情報(2016年9月8日号)

2016/9/14

◆ 看取りに至る過程の指標の充実を要求 医療・介護連携WG
次期在宅医療の見直しの方向性が大筋でまとまる

――厚生労働省
厚生労働省は9月2日、2018年度からの次期医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(WG)」を開催した。この日は主に(1)2018年度からの在宅医療に関する見直しの方向性に重点を置き、サ高住整備などに留意した在宅医療の目標設定など次期医療計画の方向性がWGでおおむね了承された。また、(2)高齢化に伴い増加する疾患への対応などについても議論がされた。
この日の検討会の経緯をポイントにまとめると、目標設定について、1.在宅医療のニーズや必要な医療機関数、マンパワーなどを地域医療機関では把握すること、2.介護保険事業計画における整備目標と整合的な目標を検討するよう求めていること――この2つが要点となる。
厚労省は、医療計画で定める在宅医療に関する見直しの方向性案を、都道府県が作成するが、厚労省は都道府県が計画を作成する際の留意事項や指針を年度内に改正する。
そこで(1)について同省は、(ⅰ)目標設定、(ⅱ)指標、(ⅲ)施策――の3項目に整理。(ⅰ)について、必要な医療機関数などの「目標とする提供体制の検討」に関して、在宅医療サービスと一部の介護サービスが相互に補完する関係にあることや介護保険施設等の整備状況は地域の実情に応じて異なっていることを指摘。都道府県や市町村関係者による協議の場を設置し、介護保険事業計画と整合的な目標の検討を求めた。
(ⅱ)では、在宅医療に必要な医療機能確保のため、各医療機能との関係が不明瞭なストラクチャー指標を見直した上で、医療サービスの実績に着目した指標の充実が必要と説明。高齢者以外の在宅医療体制を把握する指標や、アウトカム指標として、看取りに至る過程を把握する指標の充実を求めた。
(ⅲ)では、在宅医療に関する圏域の設定と、課題の把握の徹底を要請。特に、在宅医療・介護連携推進事業で、医療に関する専門的・技術的な対応が必要な「切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」や、2次医療圏など広域の視点が必要な「在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携」などの取り組みは、医療計画に記載して確実に達成するよう支援するなど、重点的な対応の視点を求めた。

(2)では、「5疾病・5事業に関する論点」として、「医療計画に記載すべき疾患について、今後の疾病構造の変化を踏まえ、どのように考えるか」、「高齢化の進展に伴い増加する疾患について、関連施策と調和を取りながら、予防を含めた地域包括ケアシステムの中で対応することとしてはどうか」、「引き続き現状の5事業について重点的に取り組むこととしてはどうか」と提示。「フレイルやロコモなど、高齢化により増加することが想定される疾患を、どのように位置づけるか」も論点とした。
◆ 15年ぶり「たばこ白書」公表 22種類の病気死因の要因
厚労省検討会「屋内の100%禁煙化を目指せ」と強烈警告

――厚生労働省
厚生労働省は9月2日、有識者を構成員とする「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会」(座長=祖父江友孝・大阪大学教授)を開き、がんなど22種類の病気の発症や病気による死亡の要因として喫煙が「確実」との判定結果をまとめた「たばこ白書」を公表した。国の検討会が日本人への影響を総合的に判定したのは初。中でも日本の受動喫煙対策を「世界最低レベル」と断じ、「屋内の100%禁煙化を目指すべきだ」と提言している。白書をまとめるのは2001年以来、15年ぶりで4回目。
今後の喫煙対策について報告書案は、受動喫煙を防ぐため「喫煙室を設置せず屋内の100%禁煙化」を目指すように訴えた。この他、たばこ税の引き上げ、たばこの広告の禁止など総合的な対策を求めた。これは、2001年に厚労省が取りまとめた「喫煙と健康問題に関する検討会報告書」以来の新たな報告書となる。前回の報告書公表から10数年が経過して、その間に受動喫煙など新たな科学的知見が蓄積されたほか、公的に禁煙・健康対策を行うための様々な疾病による医療費の増加に加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピック対策を強化する必要性が高まっていることなどが背景にある。たばこ白書は、もはや禁煙対策は「待ったなし」の段階だ、と断じた。
受動喫煙について、子供のぜんそくや乳幼児突然死症候群との関係は確実と評価。肺がんへの影響は、国立がん研究センターが行った研究結果を採用。家庭での受動喫煙がある人は、ない人に比べ肺がんになるリスクが1.3倍高まり、因果関係は確実にあるとしている。

報告書は、(1)たばこ製品の現状、(2)たばこの健康影響、(3)たばこ対策――などで構成されている。
(1)では、「喫煙の経済的影響」として、正の影響(たばこ産業/たばこ税/関連他産業への影響)による直接的・間接的経済効果は2.8兆円であるのに対し、負の影響(関連疾患の医療・介護費/施設環境面への影響/生産性損失など)は4.3兆円に上ると報告。ただし、「喫煙の経済的影響は総じて負の影響が大きくなるが、公衆衛生の観点からは健康アウトカム改善まで含めた総合的評価が不可欠」と述べている。

(2)では、近年流通するようになった無煙たばこ(かぎたばこ)や電子たばことがんとの因果関係について、「科学的証拠は十分である(レベル1)」と判定している。また、「受動喫煙による健康影響」として、がん種(肺がん、乳がん、鼻腔・副鼻腔がん)ごとに評価を行った結果、受動喫煙と肺がんとの因果関係について、「科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である(レベル1)」と判定。さらに、乳がん、鼻腔・副鼻腔がんとの因果関係は「科学的証拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない(レベル2)」と判定した。このほか、循環器疾患/呼吸器への急性影響/慢性呼吸器疾患/妊婦・小児への受動喫煙――などとの因果関係についても報告している。

*たばことの健康影響が「確実」な主な病気(「たばこ白書」案)
【喫煙】
がん(肺、口腔(こうくう)・咽頭(いんとう)、食道、胃、肝、膵臓(すいぞう)など)、循環器疾患(虚血性心疾患、脳卒中など)、呼吸器疾患(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患、結核死亡など)、早産、低出生体重・胎児発育遅延、乳幼児突然死症候群(SIDS)、2型糖尿病、歯周病など
【受動喫煙】
肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、小児のぜんそく、SIDSなど
【未成年の喫煙(喫煙開始が若いことによる)】
全死因死亡、がん死亡・罹患(りかん)、循環器疾患死亡
◆ 「医療用医薬品における情報化進捗状況調査」の結果公表
医療用医薬品への新バーコード表示の進捗状況など把握

――厚生労働省
厚生労働省では、医薬品の取り違え事故防止、市販後のトレーサビリティの確保、流通の効率化を推進する観点から、「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について」に関して表示のための基準を通知し、製造販売業者に表示するよう取組みを求めている。このほど日本製薬団体連合会と一般社団法人日本医薬品卸売業連合会の協力により、製造販売業者が取り組む医療用医薬品への新バーコード表示の進捗状況などを把握する目的で実施した「医療用医薬品における情報化進捗状況調査」の結果を取りまとめ概要を公表した。
 調査方法――日本製薬団体連合会から加盟団体を通じ所属の製造販売業者に、日本医薬品卸売業連合会から所属の卸売販売業者に調査票を送付し、平成27年9月末時点の新バーコードの表示状況や利用状況などに関する調査を実施した。なお、調査は自社の製造販売承認の有無に関わらず医療用医薬品を販売している企業を対象とした。
 製造販売業者・卸売販売業者――調査対象企業数製造205社(223社)、卸販売51社(53社)。有効回答企業数197社(210社)48社(50社)、回収率96.1%(94.2%)94.1%(94.3%)。( )は平成26年度調査の実績。

○ 製造販売業者への調査結果(概要)
必須表示項目の表示割合は、『調剤包装単位』では、どの種類も概ね100%(対前年度同様)だった。また、平成27年7月出荷分から表示が求められる内用薬の商品コードは、約98%(対前年度36%増加)、外用薬の商品コードは、約96%(対前年度49%増加)だった。『販売包装単位』では、どの種類も概ね100%(対前年度同様)だった。『元梱包装単位』では、特定生物由来製品100%(対前年度同様)、生物由来製品約100%(対前年度同様)だった。
任意表示項目の表示割合は、『調剤包装単位』では、約0~18%(前年度約0~23%)だった。『販売包装単位』では、約4~31%(前年度約2~16%)だった。『元梱包装単位』では、約58~72%(前年度約28~50%)だった。(※商品コードのみを表示しているケースも存在する)
<主な用語の意味>
 調剤包装単位:製造販売業者が製造販売する医薬品を包装する最少の包装単位を指します。例えば、錠剤やカプセル剤であればPTPシートやバラ包装の瓶、注射剤であればアンプルやバイアルなど。
 販売包装単位:卸売販売業者等から医療機関等に販売される最小の包装単位を指す。例えば、錠剤やカプセル剤であれば調剤包装単位であるPTPシートが100シート入りの箱、注射剤であれば10アンプル入りの箱など。
 元梱包装単位:製造販売業者で販売包装単位を複数梱包した包装単位を指す。例えば、販売包装単位である箱が10箱入った段ボール箱など。なお、原則として開封されていない状態で出荷されるものであり、販売包装単位が規定数量に満たないものや2種類以上の販売包装単位を詰め合わせたものは除く。

「医療機器等における情報化進捗状況調査」の結果公表
厚労省では、(一社)日本医療機器産業連合会と(一社)日本臨床検査薬協会の協力により、製造販売業者が取り組む医療機器等へのバーコード表示の進捗状況などを把握する目的で実施した「医療機器等における情報化進捗状況調査」の結果を取りまとめ概要を公表した。
厚労省では、従来から医療機器関係団体などにより自主的に進められていた医療機器等のバーコード表示に向けた取組について、「規制改革推進のための3か年計画」(平成19年6月閣議決定)の中で医療機器へのバーコード表示の推進を求めている。これは物流の効率化・高度化、医療事務の効率化、トレーサビリティの確保や医療事故防止の観点から、「医療機器等への標準コード付与(バーコード表示)の実施要項」(平成20年3月28日付)として表示のための基準を通知し、製造販売業者に表示の取組を求めてきているもの。
調査対象企業数:全体676社(699社) 医療機器555社(594社) 体外診断用医薬品121社(105社)、有効回答企業数601社(560社)491社(465社)、108社(95社)。回収率88.9%(80.1%)88.8%(78.3%)89.3%(90.5%)。( )は平成26年度調査の実績
調査結果(概要):医療機器全体で98.8%(99.0%)などする調査結果が明らかとなり、バーコード表示割合については、販売包装単位、個装(最小包装単位)とも、昨年度と概ね同程度の割合だった。
<主な用語の意味>
体外診断用医薬品:医薬品医療機器法第2条第14項により、専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、人又は動物の身体に直接使用されることのないものを指す。
◆ 介護サービス利用者、初めて600万人突破 前年度比2.9%増
介護予防サービス利用者3.2%増155万9500人 共に過去最高

――厚生労働省
厚生労働省は8月31日、2015年度の「介護給付費等実態調査」の結果を公表した。それによると、昨年度に介護保険のサービスを利用した人は605万1100人。前年度から2.9%増加し、初めて600万人を超えている。この調査は、介護サービスに係る給付費等の状況を把握し、介護報酬の改定など、介護保険制度の円滑な運営及び政策の立案に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
調査の範囲は各都道府県国民健康保険団体連合会が審査したすべての介護給付費明細書、介護予防・日常生活支援総合事業費明細書及び給付管理票を集計対象とした。ただし、福祉用具購入費、住宅改修費など市区町村が直接支払う費用(償還払い)は含まない。調査事項は、(1)介護給付費明細書及び介護予防・日常生活支援総合事業費明細書性、年齢、要介護(要支援)状態区分、サービス種類別単位数・回数等、(2)給付管理票性、年齢、要介護(要支援)状態区分、サービス種類別計画単位数等。昨年5月から今年4月までに審査されたすべての介護給付費明細書などを集計した。
調査結果の要旨は、介護予防サービスの利用者は前年度比3.2%増の155万9500人、介護サービスの利用者は同2.8%増の484万人(重複あり)で、どちらも過去最高を更新していた。受給者1人あたりの費用額(今年4月分)は15万7000円。前年同月と比べて800円下がっていた。厚労省の担当者は、「要介護度が低い人の利用が増えたためではないか」と分析している。介護予防サービスを除いた1人あたりの費用額は19万900円。都道府県別にみると、沖縄県が21万300円で最も高い。以下、鳥取県が20万6000円、石川県が20万3700円と続いている。

平成27年度 介護給付費等実態調査の概況は次の通り。
受給者の状況
(1)年間受給者数平成27年5月審査分から平成28年4月審査分における介護予防サービス及び介護サービスの年間累計受給者数をみると61,932.0千人となっており、そのうち介護予防サービス受給者数は13,768.8千人、介護サービス受給者数は48,192.2千人となっている。また、年間実受給者数は、6,051.1千人となっている。
(2)要介護(要支援)状態区分の変化 平成27年5月審査分における受給者のうち、平成27年4月から平成28年3月の各サービス提供月について1年間継続して介護予防サービス又は介護サービスを受給した者は、3,787.1千人となっている。年間継続受給者の要介護(要支援)状態区分を平成27年4月と平成28年3月で比較すると、「要支援1」~「要介護4」において、要介護(要支援)状態区分の変化がない「維持」の割合が、およそ7割となっている。
(3)性・年齢階級別にみた受給者の状況 平成28年4月審査分においては、認定者数6,349.2千人、受給者数5,172.4千人となっており、受給者を性別にみると、男1,554.0千人(30.0%)、女3,618.3千人(70.0%)となっている。また、認定者数に占める受給者数の割合をみると、男78.1%、女83.0%となっている。65歳以上の各年齢階級別人口に占める受給者数の割合(平成27年11月審査分)を男女別にみると、「75~79歳」以降の全ての階級において、女の受給者数の割合が男を上回っている。(以下省略)

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