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介護経営情報(2016年9月30日号)

2016/10/6

◆ケアマネの指導権限、都道府県から市町村へ移譲検討  
社保審・介護保険部会 市町村への事務負担増を考慮

――厚生労働省
厚生労働省は9月23日、社会保障審議会の介護保険部会を開催し、2018年度の介護保険制度の改正に向けてケアマネジメントのあり方を重点テーマに置いた。現在、都道府県が持っているケアマネジャーに対する指導の権限を、厚労省は市町村へ移譲することを検討していく、などが核となった提案を部会は大筋で了承を得た。一方で市町村への事務負担増とのバランスをいかに塩梅するかが今後詰めに入る。
今の介護保険法では、居宅介護支援事業所の指定権限とケアマネの指導権限を都道府県に与えている。指導権限の規定によると、適切なケアマネジメントを担保するために欠かせないと判断すれば、都道府県は業務に関する報告を求めることが可能。何らかの違反が明らかになった時には、改善を指示したり研修を受けるよう命じたりできる。

この日は(1)保険者等による地域分析と対応、(2)介護保険総合データベースの活用、(3)サービス供給への関与のあり方、(4)ケアマネジメントのあり方―などを議題に進めた。
(3)に関し、厚労省は、地域密着型サービスの事業者指定について、地域密着型通所介護は市町村自身が指定権者となることから、市町村協議制の対象とはならず、指定を拒否できる仕組みも設けられていないと指摘。一方で、通所介護の事業所数が多いことや、小規模多機能型居宅介護をさらに普及させる必要性を踏まえ、競合となり得る地域密着型通所介護の指定を拒否できるようにすることが、実効性のある地域マネジメントを実施するための課題と提示した。
その上で、小規模多機能型居宅介護の普及のため、「市町村が地域密着型通所介護サービス事業所の指定をしない仕組みを導入する」ことや、「地域密着型サービス事業者の指定に際し、事業の適正な運営を確保するために必要な条件を付すことができることを、市町村に再周知する」ことなどを提言した。

また、(4)では、かねてより議論してきた「ケアマネジメントの利用者負担」について、これまでの議論で示された懸念点(必要なサービス利用を抑制することで重度化につながりかねない、セルフケアプランが増加すれば市町村の事務処理負担が増大する―など)を整理し、「市町村や地域包括支援センターによる適切なケアマネジメントを推進するための支援の充実について、地域支援事業の議論の中で検討する」などの論点を示した。

ケアマネ調査の調査票の内容、大筋で固める
厚労省は10月から、介護現場の実態を詳しく把握するための調査をスタートさせる。2018年度に控える次の介護報酬改定に向けて、具体的な議論の土台となるデータを集めることが目的だ。概ね例年通りのスケジュールで進め、来年の2月にも結果を公表する予定。
専門家で組織する改定の「検証・研究委員会」を9月23日に開き、調査票の内容を大筋で固めた。このうちケアマネジメントの調査は、3000ヵ所の居宅介護支援事業所、1万5000人のケアマネジャーが対象。併設事業所の有無や「特定事業所加算」の算定実績、各種減算の適用状況といった基本的な要素に加えて、地域づくりの取り組みや地域ケア会議への関与、負担の大きい業務などについても探る。個々のケアマネを育てる仕組みに関する質問も加わった。対象となった施設・事業所には、A4サイズの封筒が来月末にも国から届くことになる
◆[診療報酬] 2016年度調査の調査票を承認 結果検証部会
夜間の看護要員配置における要件など16年度は5項目実施

――厚生労働省
厚生労働省は9月28日、中央社会保険医療協議会(中医協)の「診療報酬改定結果検証部会」を開催し、「2016年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(2016年調査)の調査票案」を議論した。特別調査は診療報酬改定の結果検証のために行うもの。全9項目あり、2016年度はこのうちの5項目を実施する。

厚労省は今年度実施する、(1)夜間の看護要員配置における要件等の見直しの影響及び医療従事者の負担軽減にも資するチーム医療の実施状況調査、(2)かかりつけ医・かかりつけ歯科医に関する評価等の影響及び紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の実施状況調査、(3)重症度や居住形態に応じた評価の影響調査等を含む在宅医療・訪問看護の実施状況調査、(4)精神疾患患者の地域移行・地域生活支援の推進や適切な向精神薬の使用の推進等を含む精神医療の実施状況調査、(5)後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査―について、調査票案を提示した。

(2)について、2016年度診療報酬改定では(ⅰ)かかりつけ医の機能に対する評価の充実、(ⅱ)紹介状無しの大病院受診の定額負担――などを導入。この結果検証のため、(ⅰ)に関しては、2016年9月に診察した患者のうち、▽【地域包括診療料】・【地域包括診療加算】を算定した患者、▽【地域包括診療料】・【地域包括診療加算】を算定せず、高血圧・糖尿病・脂質異常賞・認知症のうち2疾患以上を有する患者―それぞれ5人について、4疾患の状況や内服薬の数などを調査する。
(ⅱ)に関しては、対象となる特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院の2015年10月、2016年4月、2016年10月の初診患者数、定額負担徴収患者数、紹介率、逆紹介率を調査。再診時の定額負担の導入に関しても調べる。また、定額負担の対象でない、一般病床200床以上の病院に対しても、同様の調査を実施する。

(5)では、後発医薬品の調剤状況や医師・患者の後発医薬品に対する意識などを毎年度調査している。今年度からは郵送調査に加え、インターネットによる患者調査を実施。直近1カ月間に、保険薬局に処方せんを持って来局した男女1,000人程度を対象とする。調査票は郵送のものと同じで、ジェネリック医薬品への関心の有無や、医師・薬剤師からジェネリック医薬品についての説明の有無などを調べる。

また、2016年度の特別調査から、調査対象者の負担軽減や回答率向上を図るため、電子レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の電子レセプト情報の分析調査の一部とすることが提案されている。今回、厚労省はNDBを用いて実施する項目を提案した。
◆かかりつけ医診療所の不動産に係る税制措置を 厚労省
政府、2017年度税制改正に向けた各省庁の税制要望

――厚生労働省
厚生労働省は2017年度の「税制改正要望事項」を発表した。主な税制改正要望として目につくのは、セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設 〔所得税、個人住民税〕、セルフメディケーション推進に資する薬局に係る税制措置の創設〔不動産取得税〕などといった「セルフメディケーション推進」という言葉の強調だ。
特に所得控除制度の創設は、健康増進や疾病予防などの自助努力を促進し、がんを含む生活習慣病等の予防及びこれによる医療費適正化を図る観点から、市町村や医療保険者等が行うがん検診、特定健診、予防接種、人間ドックなどに要する費用を対象とする所得控除制度の創設を主張している。

<医療・介護関係の主な要望>
(1)地域に必要な医療を担う医療機関の事業の継続に関する税制の創設、(2)かかりつけ医機能及び在宅医療の推進に係る診療所の税制措置の創設、(3)高額な医療用機器に係る特別償却制度の適用期限の延長、(4)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等、(5)医療に係る消費税の課税のあり方の検討、(6)医療機関の設備投資に関する特例措置の創設――など。

(1)は、過疎地域や離島の医療機関などを対象に、一定期間の事業継続を要件として、事業継続に関する相続税・贈与税を猶予する制度の創設。さらに、一定期間事業を継続すると、猶予税額を免除する。
(2)は、かかりつけ医・かかりつけ歯科医としての診療体制、在宅医療に必要な診療体制をとる診療所に係る不動産について、税制上の措置を創設する(不動産取得税、固定資産税)。
(3)は、医療保健業を営む個人または法人が、500万円以上の医療用機器(高度
な医療の提供に資するもの又は医薬品医療機器等法の指定を受けてから2年以内のもの)を取得した場合に、取得価格の12%の特別償却を認める特例措置について、対象機器を見直した上で、その適用期限を2年延長する制度を創設する(所得税・法人税)。
(4)は、持分あり医療法人の出資者の死亡により相続が発生し、医業の継続に支障をきたすことのないよう、持分なし医療法人への移行を進める医療法人について、移行期間中の相続税・贈与税に係る納税を猶予する制度を創設する。また、移行後に猶予税額を免除するなどの措置の適用期限を延長する。
(5)では、2016年度税制改正大綱に基づき、抜本的な解決に向けて適切な措置を取れるよう、税制上の措置について、医療保険制度における手当のあり方の検討とあわせて、医療関係者、保険者の意見(高額な設備投資による仕入消費税額の負担が大きいとの指摘など)も踏まえ、総合的に検討し結論を得るとしている(消費税・地方消費税)。
(6)は、控除対象外消費税の負担が医療機関の設備投資を抑制する一因となっているとの指摘を踏まえ、都道府県で策定された地域医療構想に沿った病床の機能分化・連携などに資する固定資産を医療機関が取得した場合に、税制上の特例措置を創設する(所得税・法人税)。

<主な省庁の税制改正要望>
政府が8月31日にまとめた、2017年度の税制改正に向けた各省庁の要望では人口減が進むなかで企業の生産性を高めたり、訪日外国人の消費を増やしたりするための要望が目立つ。女性や高齢者が仕事に就きやすいようにする「働き方改革」とともに、成長力を底上げしてアベノミクスの再起動につなげる。財務省と地方税を所管する総務省はこれから査定に入る。年末にかけて要望の可否を政府・与党内で調整する。経済産業省はIT(情報技術)を駆使するサービス産業の研究開発も加えたい考え。飲食店やスーパーで働く人が効率的に動けるように、ビッグデータを使って分析するといった研究を想定している。
国税庁と観光庁は、訪日客が酒蔵やワイナリーで日本酒やワインを購入した際にかかる酒税を免税にするよう要望した。酒蔵などは質の高い原料や水が手に入る地方に多い。訪日客が日本のお酒を買いやすいようにし、地方の活性化や知名度の向上につなげる。
厚労省の働き手を増やすための「働き方改革」を促す要望も大きな柱となっている。共働き世帯を対象とする減税措置のほか、政府・与党は専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除の見直しも検討する方針。

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