新着情報

ホーム > 新着情報 > 介護経営情報(2018年2月16日号)

介護経営情報(2018年2月16日号)

2018/3/5

◆4月にスタートする「共生型サービス」の単価が決定
 生活介護はデイサービスが694単位、小多機は854単位

――厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム
 厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは、2月5日に「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」を発表。4月にスタートする「共生型サービス」の単価が決定した。

「共生型サービス」を実施できるのは訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)、小規模多機能型居宅介護(小多機)。障害福祉事業所とは人員配置や設備の要件が異なるが、「使い慣れた事業所でサービスを利用しやすいように」という趣旨に則り、厳しい要件は設けられておらず、介護保険事業所としての要件が満たされていればサービスを実施できる。

生活介護の基本報酬は、デイサービスが694単位(共生型生活介護サービス費I)、小多機が854単位(共生型生活介護サービス費II)。ショートステイは、1日分の受け入れが761単位(共生型短期入所(福祉型)サービス費I)、夜間のみの受け入れは233単位(共生型短期入所(福祉型)サービス費II)となっている。なおショートステイは、常勤看護職員を1人以上配置すれば「福祉強化型」として算定可能となっており、1日分が958単位、夜間のみが432単位となる。自立支援の基本報酬は、機能訓練が696単位(共生型機能訓練サービス費)、生活訓練が661単位(共生型生活訓練サービス費)となった。

 「共生型サービス」とは、障害者と高齢者が同一の事業所を利用できるサービス。従来は、障害者が65歳以上になると障害福祉サービスよりも介護保険サービスが優先される仕組みとなっていたため、通い慣れた障害福祉サービス事業所を変えなければならなかった。そこで、障害者総合支援法を昨年改正。障害福祉サービス事業所でも介護保険サービスを実施できるよう法整備を行い、今年4月から「共生型サービス」としてスタートすることになっている。

この施策の背景には、深刻化する人手不足の問題がある。団塊の世代が全員75歳以上となる2025年には約38万人が不足するとの試算もあるため、介護の受け皿を広くすることで人材を有効活用しようというわけだ。今後も同様の施策を打つ可能性は極めて高いため、介護保険事業所はより幅広い利用者を受け入れるための人材育成や環境整備を実施していく必要があるだろう。

◆「共生型サービス」、加算は3種を新設
サービス管理責任者を配置すれば58単位

――厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム
 2月5日に厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームが発表した「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」では、「共生型サービス」加算の内容も決まった。
新設される加算は「サービス管理責任者配置等加算」「福祉専門職員配置等加算」「共生型サービス体制強化加算」の3種となっている。

 いずれも、サービス管理責任者を配置し、「地域に貢献する活動(地域交流の場の提供等)」を実施していることが要件。「地域に貢献する活動(地域交流の場の提供等)」は、高齢者が集える機会を提供することを指していると思われる。たとえば認知症カフェの設置は有効だろう。

 サービス管理責任者とは、サビ管と称される「障害福祉サービスの質や専門性に対応できる資格職」のこと。障害福祉のデイサービスでは、常勤1人以上の配置が必要となっており、一定以上の実務経験(3~10年)を積み、所定の研修を受けることで資格を得ることができる。裏を返せば、該当する人材を採用することで加算を受けることが可能となるため、介護保険事業所としては、求人の募集要項に盛り込むといった対応を最低限行う必要があるだろう。

 ちなみに「サービス管理責任者配置等加算」は58単位。「福祉専門職員配置等加算」は、常勤の生活支援員の中に社会福祉士の資格保有者が一定数以上いれば算定できる。「35%以上」で1日15単位、「25%以上」で1日10単位。介護職員のスキルアップを図ることは、サービスの質向上にもつながるだけに、既存職員の国家資格受験を促してより多くの加算算定を狙うべきだといえる。

 「共生型サービス体制強化加算」は、児童発達支援や放課後等デイサービスが対象。児童発達支援管理責任者を配置した場合は103単位、保育士または児童指導員を配置した場合は78単位、児童発達支援管理責任者と保育士または児童指導員を配置した場合は181単位を算定できる。

◆書面での介護給付費請求は3月末で廃止
ネット請求に切り替える場合は国保連合会へ届出が必要

――厚生労働省老健局介護保険計画課
 2月2日、厚生労働省老健局保険計画課は介護保険最新情報vol.619「介護給付費等の書面による請求に係る経過措置等の周知について」を発出。書面での介護給付費請求を実施している介護保険サービス事業者に対し、審査支払機関への届出を急いで行うよう呼びかけた。

 この通知は、4年前の2014年に行われた省令改正により、今年3月末で書面による介護給付費請求が廃止になることを踏まえてのもの。4月以降は、原則としてインターネット(伝送)もしくはCD-R(電子媒体)によってのみ請求ができるようになるため、書面で請求していた事業者は、「請求方法をインターネットもしくはCD-Rに変更」「従来のまま書面で請求」のいずれかを選択し、審査支払機関である国保連合会に届出をしなければならない。

 なぜルール通りにインターネットでの請求に切り替えるのに、わざわざ届出をする必要があるのか、疑問を感じる向きもあるかもしれない。実は、請求方法を変更するだけでも届出を行う必要があるためだ。届出用紙は各国保連合会のホームページからダウンロードできる。ちなみに東京都国民健康保険団体連合会の場合、「各種ダウンロード集」のページに「介護給付費の請求について」という項目があり、「インターネット回線登録用紙」(Wordファイル)がダウンロードできるようになっている。

 インターネットもしくはCD-Rでの請求ができない場合は、届出を行えば従来どおり書面での請求も可能。しかし、「支給限度額管理が不要なサービス1種類のみ」を実施している事業所でなければならないほか、職員のすべてが3月末時点で65歳以上でなければならない。関連のソフトウェアの導入作業が完了していない場合も経過措置を受けることは可能だが、あくまでも経過措置のためいずれは請求方法を切り替えなければならず、その際も再度届出が必要となる。また、来年度以降に新設される事業所は、工事の遅れがあることが考慮され、設立当初こそ経過措置を受けることが可能となっているが、たとえ職員が全員65歳以上でもいずれインターネットもしくはCD-Rでの請求に切り替えることを求められているので注意したい。

 ちなみに、4月から創設される介護医療院も、移行前の介護療養型医療施設が書面請求を行っている場合は経過措置の対象となる。ただし、その旨の届出が必要なのと、前述の例外規定に該当している必要があるため、こちらもあくまで経過措置であり、いずれはインターネット請求に切り替えなくてはならない。

◆「医療機関で勤務する介護福祉士も手厚く評価を」日慢協会長が提言
 政府の介護人材確保対策「月額平均8万円相当」処遇改善案に対し

――日本慢性期医療協会
2月8日、日本慢性期医療協会の武久洋三会長が記者会見を開き、政府が昨年12月に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」の中で介護人材確保対策として打ち出した「勤続10年以上の介護福祉士に月額8万円相当」の処遇改善案に対し、「医療機関で勤務する介護福祉士も評価すべき」と提言した。

武久会長は、まず政府の処遇改善案自体は「介護の専門家としての介護福祉士の重要性を明確化するもの」として評価。そのうえで、医療の世界では国家資格者である介護福祉士を看護助手と呼び、あくまでも看護職員のヘルプとして扱っていることを問題視。入院患者の約80%が後期高齢者となっていることを踏まえ、「介護の良し悪し」が生命を左右するという認識がないことを批判した。「優れた介護のプロ」である介護福祉士の働きがなければ慢性期の入院医療は行えないとして、医療の世界で活躍している介護福祉士も国が評価すべきと訴えた。

 この武久会長の提言の裏にあるのは、政府の掲げた処遇改善策が介護施設向けだということがある。同じ介護業務に携わりながら、医療機関で勤務する介護福祉士は対象外であるため、処遇改善の恩恵を受けることができない。来年度の診療報酬改定では「医療と介護の連携」が重要なテーマのひとつとなっており、ターミナルケアに対する評価は手厚くなっているが、「医療機関で働く介護人材」には日が当たっていない現状に警鐘を鳴らしたものと受け止めることができる。

 介護福祉士をめぐっては、昨年度の国家試験で受験者数が一昨年に比べて約半数と激減。いわゆる実務経験ルートで受験する場合、新たに「実務者研修」を修了することが受験資格要件となったことが影響しているといわれている。実際、合格率は過去最高の72.1%をマークしたため、受験者の質が上がったとの見方もできるが、「介護のプロ」の実数がなかなか増えない現状があることは間違いない。政府が「月額8万円相当の処遇改善」を打ち出したのは、そうした現状に対する危機感からだと推察できるが、医療機関で勤務する介護福祉士も手厚く評価するようになれば、より幅広いキャリアを提示できることにもつながるため、受験志望者数の増加に貢献する可能性はある。その意味でも今回の武久会長の提言には意味があり、これを政府・厚生労働省がどのように受け止めて政策に反映させるか注目したいところだ。

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お電話
  • 【フリーダイヤル】0120-136-436
  • Tel.06-6222-0030
執務時間
  • 月曜日~金曜日
    午前9:00~午後5:30

お問い合わせメールフォーム

些細なことでも気兼ねなくお問い合わせください。「はい、日本クレアス税理士法人です」と電話を取ります。その後に「ホームページを見て」と言っていただけるとスムーズに対応できます。