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介護経営情報(2018年10月12日号)

2018/11/5

◆一定回数以上の生活援助サービス提供でケアプラン届出が義務化       厚労省、自治体へ「利用制限を意味しない」と事務連絡を発出 

―厚生労働省老健局
厚生労働省老健局は10月9日、「『多職種による自立に向けたケアプランに係る議論の手引き』について」と題した事務連絡を各都道府県介護保険担当主管課あてに発出。10月1日以降、一定回数以上の生活援助中心型サービスを実施する場合、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)によるケアプランの届出が義務付けられたが、生活援助中心型サービスの利用制限を意味するものではないと強調した。

全69ページからなる手引きを作成して周知徹底を図ったのは、届出が行われたケアプランを地域ケア会議で議論する必要があるからだ。地域ケア会議では、利用者の自立支援や重度化防止の観点からその内容を検証するが、手引きでは議論のベースとするべき基本的な考え方を紹介している。

生活援助中心型サービスは、調理や掃除、洗濯といった家事を行うが、月100回以上の提供例があることが今年度の介護報酬改定をめぐる議論で問題視された。増え続ける介護給付費を抑制するため、介護保険給付の対象から外すべきとの意見も多く出たが、ひとまず前述したように一定回数以上実施した場合ケアプランの届出を義務化することで落ち着いた。

回数は、2016年10月から2017年9月の1年間の生活援助中心型サービスの給付実績から、「全国平均利用回数+2SD(標準偏差)」を基準として設定。この基準を上回る利用は、「通常の利用状況からかけ離れている」と規定した。要介護度によって回数は異なっており、要介護1が月27回、要介護2が月34回、要介護3が月43回、要介護4が月38回、要介護5が月31回となっている。

なお、わざわざ地域ケア会議担当者向けの手引きを作成したことは、保険者である自治体側に「生活援助中心型サービスは利用制限するべきもの」との認識が広まっていることの表れとも受け取れる。そもそも、ケアプラン届出義務化は、ただでさえ事務作業が多いケアマネジャーの負担を増加させ、一定回数に達しないようにケアプランを作成する風潮を促しかねない。そうすると、生活援助を必要とする介護サービス利用者の生活の質を低下させることにもつながる。地域ケア会議担当者の認識が低いことを露呈した今回の事務連絡は、自立支援や重度化防止とは真逆の方向に向かう施策となる危険性を孕んでいるだと言えるのでなないか。

◆来年度社会保障費の自然増は5,000億円以下に 経済財政諮問会議
認知症対策では民間資金受け入れの仕組み導入を提言

―経済財政諮問会議
政府は10月5日、第4次安倍改造内閣発足後初となる経済財政諮問会議を開催。来年度の社会保障費の自然増を5,000億円以下に抑制すべきと提言した。認知症対策については、予防モデル構築に向けて官民を挙げて取り組む重点プロジェクトを発足させ、民間資金受入れの仕組みを具体化すべきとしている。

来年度社会保障費の自然増を5,000億円以下に抑制すべきとの提言は、65歳以上の人口増加ペースが鈍化していることが背景にある。国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によれば、65歳以上人口増加率は2016年度に2.1%だったのが、2017年度は1.7%、2018年度は1.3%、そして2019年度は0.9%と見込まれている。そのため、「これまで以上の改革努力」を行うことで社会保障費の自然増を抑えられるとし、「全世代の安心を確保していくためにも、抑えるべきところは抑えるという取り組みが重要」とした。厚生労働省は、概算要求で来年度の自然増を6,000億円と設定しており、来年度予算編成の折衝がタイトなものとなることは間違いない。

認知症について、民間議員は「かなり深刻な状態」と言及。65歳以上の患者数が2040年に800万人を超えると推計されているほか、認知症に対応する社会的コスト(医療費・介護費・インフォーマルケアコストの合計)は2030年に21兆円を上回るとされているため、公的資金のみでは対応しきれないことは明白だ。官民連携のプロジェクト立ち上げや民間資金導入の仕組み導入を提言したのはそのためで、具体的にどのような形となるのか、今後の議論の行方に注目したい。

そのほか、一人あたり介護費の地域差縮減にも触れ、自治体のインセンティブを強化すべきとしている。その仕組みについては、財源の規模やレバレッジ効果を検証して効果の高い手法にするべきとしており、実施時期を明らかにすることも迫っている。

◆「生活困窮者自立支援制度」を10月から見直し       自治体と地域包括支援センターに連携を要請

―厚生労働省老健局
 厚生労働省老健局は、10月1日に介護保険最新情報Vol.684を発出。10月から「生活困窮者自立支援制度」が見直されたことを受け、自治体および地域包括支援センターに連携を要請した。

 生活困窮者とは、生活保護に至る前の段階にある人を指す。原則として「稼働年齢層」が対象だが、介護を要する高齢者を早期に発見して対応する必要もあるため、介護保険精度との連携も重視している。そのうえで、生活困窮者に対してはアウトリーチの観点が重要だとした。実際、今回の「生活困窮者自立支援制度」見直しでは、「福祉事務所設置自治体の福祉、就労、教育、税務、住宅その他の関係部局」が生活困窮者を把握したときは、その本人に自立相談支援事業を利用するよう勧めるのが努力義務となった。「自立相談支援事業につながった庁内関係機関が多い自治体ほど、自立相談支援事業における新規相談件数雨が多いとの調査結果もある」とも言及しており、地域包括支援センターをはじめとする関係機関との連携を呼びかけている。

 9月に発表された厚労省の「介護サービス施設・事業所調査」によれば、2017年10月時点で地域包括支援センターは全国に5020施設。“要支援・要介護予備群”にとって、相談の受け皿が順調に増えているといえる。ただし、地域差があるのが現状で、都道府県別に見るとトップが東京で414施設、次いで神奈川が358施設、埼玉が288施設と“東京圏”に集中している傾向がある。都道府県の全国平均は106.8施設で、平均以上となっているのは前述の3都県以外は北海道、宮城、千葉、新潟、長野、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、広島、福岡の12道府県。合計でも15都道府県であり、まだまだ相談の受け皿が整っていないところのほうが多い。生活困窮者のセーフティネットを整備するには、この地域差を解消するのも重要な視点となってくるのではないだろうか。

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