ホーム > ブログ > 介護ブログ > 高齢者の財産管理の手段~信託の活用~
上田公認会計士事務所の岩井です。
今回は高齢者の財産管理の手段として有効な信託についてお伝えしたいと思います。
「信託」とは、一般的には「信頼して第三者に託すこと」を意味しますが、法律的には財産管理手法の1つとして、
1. 資産保有者(委託者)が“遺言”又は“契約”によって
2. 信頼できる相手(受託者)に対して資産(不動産・預貯金・有価証券等)を移転し
3. 一定の目的(信託目的)に従って、特定の人(受益者)のためにその資産(信託財産)を管理・処分する法律関係をいいます。
委託者が個人であるか法人であるかにより区分すると、個人が委託者となり自分の財産を信託する仕組みを「個人信託」といいます。
「個人が委託者となる信託」のイメージは、投資信託や不動産信託等の投資・運用を主目的とするものが強いかもしれませんが、ここでいう「個人信託」は、以下のような「家族信託」や「福祉型信託」を主に想定しています。
「個人が委託者となる信託」のうち、自己の死亡後の相続税対策・資産承継対策・事業承継対策のためや、自己又は遺される家族の生活保障のための財産管理を目的とした信託を指して「家族信託」と呼びます。
さらに、家族信託の中でも、「高齢者や障がい者等の生活支援のための財産管理」として利用する信託の仕組みを「福祉型信託」と呼びます。
福祉型信託は、2007年9月30日に施行された改正信託法により、高齢化社会のニーズに対応する新しい社会的インフラとして、成年後見制度を補完する財産管理の仕組みとして注目されています。
信託活用のメリットとして
1. 高齢者の柔軟な資産運用や節税対策
2. 資産承継・事業承継問題への対応
3. 不動産の共有化対策
4. 財産管理と後見制度と遺言の機能を併せもつことができる
5. 相続発生時でもスムーズな財産管理ができる
6. 親族後見人の監督機能
等があげられます。
高齢者の財産管理や資産継承に、信託を上手く活用することが有効な手段と考えられます。
高齢者や障がい者の生活支援のための福祉型信託への需要は、今後ますます高まっていくのではないでしょうか。