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クリニックニュース 2014年3月5日号

2014/3/7

持分なし医療法人への移行促進策として融資制度を検討
《厚生労働省》

厚生労働省は3月3日、全国医政関係主管課長会議を開催し、平成26年度に予定されている医療法改正等の重点項目や制度等について、都道府県の担当者に向け説明した。▼医療法改正等、▼新たな財政支援制度、▼医療法人制度の見直し、▼医療機能評価、▼医師確保対策、▼新たな専門医に関する仕組みについて、▼特定行為に係る看護師の研修制度 ――等の項目が取り上げられた。
中でも、医療法人制度の見直しについては、まず、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行の促進策として、融資制度導入と税制措置がなされる。これは、医療法人の経営者の死亡により相続が発生することがあっても、相続税の支払いのための出資持分払戻などにより医業継続が困難になるようなことなく、当該医療法人が引き続き地域医療の担い手として、住民に対し、医療を継続して安定的に提供していけるようにするため、医療法人による任意の選択を前提としつつ、移行を促進するための対策である。
具体的には、持分なし医療法人への移行について、計画的な取組を行う医療法人を国が認定する仕組みを導入し、この仕組みを法律に位置づけ(「医療介護総合確保推進法案」として第186回通常国会に提出中)、認定を受けた医療法人(認定医療法人)に対して融資と税制措置の両面で支援をする。融資制度は、出資持分払戻に対する資金調達として、経営安定化資金を融資。福祉医療機構において、持分なし医療法人へ移行する病院、診療所又は介護老人保健施設に係る経営安定化資金の融資制度を創設し、貸付限度額は2.5億円(病院)とする。償還期間は、8年以内(うち据置期間1年以内)で平成26年度末までの制度となる。一方、税制措置は、平成26年度税制改正大綱により、「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置」が創設され、移行期間中は相続税、贈与税を納税猶予し、持分なし医療法人へ移行した場合は猶予税額を免除するというもの。こちらも現在、「所得税法等の一部を改正する法律案」として国会に提出している。

在宅医療の適正化にむけた「同一建物」の算定要件、明らかに
《平成26年度診療報酬改定》

厚生労働省は3月5日、平成26年度診療報酬改定説明会を開催した。2月12日の答申を経て、決定した今次診療報酬改定は在宅医療の適正化として、訪問診療料の要件が厳格化された。今回の説明会において、その算定要件等が公表され、具体的な内容が明らかになった。
3月5日付け、厚労省による公表内容は下記に抜粋。
●訪問診療料
【現行】                         【改定後】

訪問診療料1(同一建物以外)

830

 ⇒

訪問診療料1(同一建物以外)

833

訪問診療料2(特定施設等)

400

 ⇒

訪問診療料2(特定施設等)

203

訪問診療料2(上記以外の同一建物)

200

 ⇒

訪問診療料2(上記以外の同一建物)

103


※同一建物居住者であっても、医師が同一日に一人しか診療しない場合は、同一建物以外の点数(833点)を算定する
【算定要件】
① 同一建物の場合の訪問診療料(在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料)を算定した場合は、訪問診療を行った日における、当該医師の在宅患者診療時間、診療場所及び診療人数等について記録し、診療報酬請求書に添付すること。
② 訪問診療を行うことについて、患者の同意を得ること。
③ 訪問診療が必要な理由を記載すること。
④ 同一建物の複数訪問であっても、下記の患者については、患者数としてカウントを行わない。
1)往診を実施した患者
2)末期の悪性腫瘍の患者と診断された後、訪問診療を行い始めた日から60日以内の間
3)死亡日からさかのぼって30日以内の患者
⑤ 特定施設、グループホーム等においては、同一建物で同一日に算定する患者のカウントについて、医療機関単位でなく医師単位(ただし、医師3人までに限る。)とする。
●在宅時医学総合管理料、特定施設入居者等医学総合管理料
【同一建物の場合を算定する基準】
◆同一建物における管理料(在総管、特医総管)の減額は、月1回以上、訪問診療料の「同一建物以外の場合」(833点)を算定した場合は行わない。
◆同一患家等において、2人以上の同一世帯の夫婦等の診察をした場合については、管理料(在総管、特医総管)の減額は行わない。
※夫婦等が共に訪問診療の対象である場合に限る。 ※訪問診療料の取扱いについては現行通り。(一人目は訪問診療料(同一建物以外)833点、二人目は初・再診料等)
◆在総管、特医総管は、訪問診療料を月2回以上算定した場合のみ算定できることとする。
【その他】
・外来受診可能な患者は、訪問診療料、在総管又は特医総管等の在宅医療に係る費用の対象ではないが、外来受診等に「地域包括診療料」「地域包括診療加算」が算定可能である。
・サービス付き高齢者向け住宅等の施設の医師確保は、施設と医師会等が連携して行う。

地域包括ケア「見える化」システムのプロトタイプ、運用開始
《厚生労働省》

厚生労働省は2月28日、老健局老人保健課から各都道府県介護保険主管課(室)等に向け、「地域包括ケア『見える化』システムのプロトタイプ(以下、プロトタイプ)の運用開始について」の事務連絡を行った(介護保険最新情報vol.357として公表)。これは、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で在宅生活を送ることができるよう、医療・介護・予防・生活支援等のサービスを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取組みの一つであり、全国・都道府県・市町村・日常生活圏域別の特徴や課題、取組等を客観的かつ容易に把握できるように介護・医療関連情報の共有(「見える化」)を進めるといったもの。このプロトタイプの全体像は、保険者が任意に登録するデータ(日常生活圏域境界情報及び日常生活圏域ニーズ調査結果)と国が登録するデータ(▼介護保険総合DB、▼施設事例情報等、▼公的統計情報)をベースに、都道府県・保険者間比較(高齢化率等の属性、要介護認定、介護サービスの給付状況等の実績等の結果を全国の他の保険者等と容易に比較可能)や日常生活圏域間比較(高齢化率等の属性、日常生活圏域ニーズ調査結果、介護サービス施設・事業所の所在地・定員等を日常生活圏域間で容易に比較可能)、施策情報の検索・閲覧(国が調査研究等によって収集した都道府県・保険者が実施する地域包括ケアシステム構築に向けた施策・取組情報を検索・閲覧可能)等の情報を提供するといった機能を持つ。 http://mieruka.mhlw.go.jp

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