ホーム > 新着情報 > ウェルフェア・レポート 2014年4月25日号
5月14日採決予定で“医療・介護推進法案”の質疑を開始
~衆院厚労委
内閣提出の「医療・介護総合確保推進法案」と、議員提出の「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」の審議が4月23日の衆議院厚生労働委員会で始まった。同推進法案は、現時点では5月14日採決の日程で、その際には安倍晋三首相も出席し質疑、採決を行う予定の今国会でも最重要課題の一つに位置づけられている。
23日の衆院厚労委では、要支援者の訪問介護と通所介護を市町村事業に移行する案に関する質問が相次いだ。田村憲久厚労相は「必要なサービスを劣化させ金額的に抑えていく考え方ではない。多様な設置主体による多様なニーズに対するサービスを提供する中、より効果的に予防という形で重症化を防げば、給付の伸びは抑えられる」などと説明。「訪問・通所に関しては地域支援事業に変わるが、その中にも専門職のサービスはある。専門職のサービスを使うかどうか、地域包括支援センターでケアマネジメントを行い、本人の要望・状態像も確認しながら決めるわけだ」と述べるとともに、「継続性もあり、基本的に本人が望めば受けられるような形で自治体にお願いしていきたい」などと発言、必要なサービスは受けられるとの答弁を繰り返した。
利用者負担等に関しては、「各地域で要支援者が利用できる正当な単価設定を各自治体が行うと思う。現行の給付並みということでお願いする」と説明。自治体に向けては「より多様なサービスをつくってほしいということで事例集やガイドラインを示すなど、新しい制度に取り組んでいただけるよう支援していきたい」などと述べた。
特措法案については、提案者が「月給を早急に1万円引き上げるという法案だが、高齢者や障害者を支えている方の賃金は平均給与より数万円~10万円も安い。その方の賃金を上げることは政党に関係なく厚労委に所属する全議員が賛同してくれると思う。超党派の賛成で成立をお願いしたい」などと理解を求めた。
新たな法人制度の実現等「関係大臣で協力し案まとめる」
~経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議で安倍首相
首相官邸によると、安倍晋三首相は4月16日の「経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議」で、議題の一つとなった「戦略的課題(社会保障制度、健康産業)」に関し、「関係大臣で協力して案をまとめていきたい」との考えを示した。
安倍首相は、▼保険者の収支改善努力と個人の予防、健康増進活動を促す仕組みの具体化、▼大学病院の別法人化を含め、医療介護サービスを効率的・総合的に提供する新たな法人制度の実現方策、▼保険外併用療養費制度の仕組みを大きく変えるための制度改革――を挙げ、関係大臣と協力して案をまとめていくとした。
この日は、産業競争力会議の医療・介護等分科会主査の増田寛也氏(野村総合研究所顧問)が「医療・介護分野の成長戦略改訂に向けて」と題する資料を提出。▼効率的で質の高いサービス提供体制の確立、▼保険給付対象範囲の整理・検討、▼医療介護のICT化――等の4分野の改革で、「医療・介護を成長市場に変え、質の高い医療介護サービスを持続可能な形で提供できる体制を構築する」としている。
■社会保障給付の適正化・効率化に関して提言――民間議員
「歳出分野の重点化・効率化(社会保障)」を議題とした4月22日の経済財政諮問会議では、民間議員が「社会保障給付の適正化・効率化に向けて」と題し提言。診療報酬・介護報酬については、「病床や介護施設の料金と費用の対応については、患者の状態や、それに対応する医療の実態、施設の経営状況や給与動向などを含む実績データを踏まえた適正な原価を算定し、良質かつ効率的な病院・事業者をベンチマークにして報酬に反映すべき」などと指摘している。
介護のイコールフッティング確立等に関する意見を提示
~規制改革会議
政府の規制改革会議は4月16日、「介護・保育事業等における経営管理の強化とイコールフッティング確立に関する意見」を示した。
それによると、事業者のガバナンスに関し、①財務諸表の情報開示、②補助金等の情報開示、③役員報酬等の開示、④内部留保の明確化、⑤調達の公正性・妥当性の確保、⑥経営管理体制の強化、⑦所轄庁による指導・監督の強化──の7項目について意見を表明。また、経営主体間のイコールフッティングに関し、①多様な経営主体によるサービスの提供、②補助金の実態把握と地方公共団体への要請、③社会貢献活動の義務化──の3項目についての意見を示している。
関係団体のヒアリング終了「今後のとりまとめに生かす」
~社会福祉法人の在り方検討会で厚労省
厚生労働省の「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」は4月11日と21日の両日、3月(2回)に続く関係団体からのヒアリングを実施。計4回にわたるヒアリングでは、法人の規模拡大や透明性の確保、人材確保――等に関し、計20団体から意見を聴いた。ヒアリングは今回で終了、厚労省は今後のとりまとめに生かす考えを示した。
21日のヒアリングでは、政府の規制改革会議が同16日に示した「介護・保育事業等における経営管理の強化とイコールフッティング確立に関する意見」を参考資料として配付。これに関し、出席団体の一つ「NPO法人全国地域生活支援ネットワーク」からは、▼社会ニーズに対応できない社会福祉法人については撤退もしくは合併・事業譲渡が強制的にできるような仕組みを検討すべきと考える。▼特別養護老人ホームなどは常時介護が必要でかつ低所得層が多くの割合を占める福祉事業であり、利益をあげることが前提の株式会社等営利事業体の参入は馴染まないと考える――など4点の要望を挙げた。
「難病法案」「児童福祉法改正案」修正議決、附帯決議も
~衆院本会議
内閣提出の「難病の患者に対する医療等に関する法律案」と「児童福祉法の一部を改正する法律案」の両案が4月22日の衆議院本会議で、全会一致で修正議決された。修正部分は、原案では施行後5年と定められている検討の目途を5年以内に改める内容。また、自民・民主など7会派が共同提案した両案に対する附帯決議案も議決された。
「難病法案」は基本方針の策定をはじめ、難病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立等を実施。「児童福祉法改正案」も基本方針の策定をはじめ、小児慢性特定疾病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立等を進める。
両案については、同18日の衆院厚生労働委員会で自民・民主など6会派が修正案を共同提案し、全会一致で可決。続いて、修正部分を除く原案の採決が行われ可決、両案は修正議決すべきものと決した。
この後、7会派が両案に対する附帯決議案(7項目)を共同提案し議決。附帯決議案は、「障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービスの対象となる難病等の範囲については、難病対策における指定難病の拡大を踏まえつつ、支援の必要性等の観点から判断する」等の内容が盛り込まれている。
22日の衆院本会議では、後藤茂之・衆院厚労委員長が上記に関して報告。続いて採決に移り、両案は委員長の報告どおり議決された。
「福祉用具サービス計画作成ガイドライン」を公表 ~厚労省
厚生労働省は4月14日、「福祉用具サービス計画作成ガイドライン」を公表した。「一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会(愛称:ふくせん)が厚労省の助成を受け、「福祉用具専門相談員の質の向上に向けた調査研究事業」としてまとめた。
同ガイドラインでは、福祉用具専門相談員が福祉用具の利用者の要望や目標、それを踏まえた福祉用具の選定理由と使い方などを示した「福祉用具サービス計画」を作成するための基本的な考え方や留意点などを提示。主な内容は、▼福祉用具サービス計画を活用した福祉用具サービスの支援プロセスの標準化、▼アセスメントを踏まえた計画作成の考え方と実施方法、▼利用目標の達成状況の検証を中心としたモニタリングの考え方と実施方法、▼アセスメント・計画作成・モニタリングの実施を支援するための「ふくせん様式(改訂版)」――などとなっている。
詳細はhttp://www.zfssk.com/sp/1302_chosa/abc.htmlを参照。
高齢世帯の割合、2035年に41道府県で4割超に
~国立社会保障・人口問題研究所
世帯主が65歳以上である高齢世帯の割合が2035年に41道府県で40%を超える見通しであることが、国立社会保障・人口問題研究所が4月11日に公表した「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」で明らかになった。
調査は2010年の国勢調査を基に10~35年の25年間についての将来推計を実施。それによると、総世帯数は20年の約5,300万世帯を ピークに、35年までに沖縄県を除く46都道府県で減少する。
高齢世帯の割合は、20年には全都道府県で30%以上となり、35年には41道府県で40%を超える見込み。75歳以上の世帯の割合も、35年には愛知県と東京都を除く45道府県で20%以上となる。また、高齢世帯に占める単独世帯の割合は、35年には山形県を除く 46都道府県で30%以上となり、このうち東京都・京都府・大阪府・兵庫県など9都道府県で40%を超える。
■65歳以上が初めて4人に1人に――総務省
総務省が同15日に公表した「人口推計(2013年10月1日現在)」によると、外国人を含む総人口は3年連続で減少、1億2,729万8,000人となった。65歳以上が総人口に占める割合は25.1%となり、初めて4人に1人が65歳以上人口になる半面、生産年齢人口(15~64歳)の割合は1992年から低下を続けており62.1%となった。