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クリニックニュース 2014年12月19日号

2015/1/21

医療分野の番号制度、29年以降に研究・自身の健康に活用も
《厚生労働省》

国民の個人識別番号として「マイナンバー」が平成27年10月にすべての国民に通知され、28年1月から制度がスタートすることに関連して検討がなされている厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」は、12月10日、中間まとめを公表した。
この中で、医療等分野での番号(電磁的符号を含む)による情報連携のあり方については、医療等分野の個人情報は、患者と医療・介護従事者が信頼関係に基づき共有しており、病歴や服薬の履歴、健診の結果など、第三者に知られたくない情報があることから、利用について本人の同意を得るとともに、機微性に配慮した個人情報保護の措置を講じる必要があると明記。番号制度のインフラとの関係については、▼番号法では目的規定で、行政機関等が行政運営の効率化等のためマイナンバーを用いるとし、医療機関等でマイナンバーを活用することは想定していない、▼行政機関や保険者ではマイナンバーと紐づけて資格情報等を管理するため、安全で効率的な情報連携を行うため、行政機関や保険者ではマイナンバーを用いる必要がある、▼医療等分野で用いる番号(電磁的符号を含む)は、重複しない番号を交付するため、住民票コード又はマイナンバーから変換する方法等により生成し、利用を希望する者が使う仕組みとする必要がある、▼マイナンバーとは別に「見える番号」を発行するのはコストがかかる。「見えない番号(電磁的な符号)」のほうが、安全性を確保しつつ二重投資を避ける観点から、望ましい ――等が挙げられた。
医療等分野の情報連携の具体的な利用場面等については、▼「医療機関・介護事業者等の連携」や「健康・医療の研究分野」等で、医療等分野での番号(電磁的符号を含む)を用いた情報連携の仕組みが必要、▼行政機関と保険者は資格情報等をマイナンバーで管理するため、「保険者間の資格異動時の健診データの連携」と「予防接種歴の自治体間の連携」で、これらの情報の連携にマイナンバーを用いることを検討、▼医療保険のオンライン資格確認は、既存のインフラも活用しつつ、資格情報とマイナンバーを紐づける番号制度のインフラを活用し、できるだけコストがかからず安全で効率的な仕組みについて、保険者・保険医療機関等の関係者との協議を通じて検討、▼個人番号カードを用いる場合、ICチップをカードリーダーで読み取る、表面のみが見えるカードケースの利用など、マイナンバーが視認されない仕組みの検討、▼医療等分野の情報連携に用いる番号のあり方については、オンライン資格確認で実現されるインフラの活用を含め、個人情報保護を含めた安全性と効率性・利便性の両面が確保された仕組みを検討 ――等が今後の課題として示された。
中間とりまとめでは、医療等分野での情報連携のあり方については、こうした医療等分野の個人情報の特性を踏まえるとともに、厳しい財政状況と国民負担を考慮し、番号制度のインフラと共有できる部分は共有するなど、国民の納得が得られるような合理的な仕組みとする必要があるとした上で、医療等分野の情報化を推進する観点から、まずは、医療保険のオンライン資格確認のできるだけ早期の導入(番号制度の情報連携が稼働する平成29年7月以降)を目指すとしている。今後はこの中間とりまとめで整理した論点や意見を考慮しつつ、インフラの活用を含め、個人情報保護を含めた安全性と効率性・利便性の両面が確保された情報連携の仕組みを検討していく。

内科、外科以外の診療科の診療所、在宅医療への取組増加
《公益社団法人 日本医師会》

公益社団法人 日本医師会は12月17日、定例記者会見で「2014年度診療報酬改定に係る診療所調査結果(概要)」を公表した。これは2014年度診療報酬改定の影響を把握するため、日本医師会総合政策研究機構(以下、日医総研)において、2014年10月~11月に日本医師会会員のうち診療所開設者・管理者から無作為に20分の1を抽出し、かかりつけ医機能と在宅医療を中心にアンケート調査を実施したもの。回答数は1,519人(回答率44.5%)。
2014年度診療報酬改定においては、主治医機能の評価が新設されるなど、かかりつけ医にとって、あるいはかかりつけ医機能として、健康相談・管理、介護保険との関わりが重視されている。アンケート結果においても、特に重要と思われている項目は、多い順に「受診勧奨や健康状態の管理」「主治医意見書の作成」「健康相談」であった。また、実施することが負担あるいは困難な項目は、多い順に「常勤医師3人以上在籍」「在宅患者への24時間の対応」である。これらは診療報酬の要件の一つになっており、現場の負担になっていることが推測できる。尚、かかりつけ医およびかかりつけ医機能にとって重要と思う項目が診療科によって異なり、内科や外科では「主治医意見書の作成」が多く、介護保険との関わりが重要視され、小児科や精神科では健康相談を重視している。内科以外の診療科のうち、特に、産科・産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科では「患者が受診しているすべての医療機関の把握」が重視されている。この点について、日本医師会は「かかりつけ医機能はすべての患者に対して必要なもののほか、患者特性(小児・高齢者、急性期・慢性期など)によって個別に必要なものがあることがうかがえる」と見解を示している。
訪問診療等の実施状況については、内科、外科では、訪問診療を行う診療所が5割を超え、
外来のみの診療所は約3割であった。また、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科では2割前後が在宅医療に取り組む等、内科、外科以外の診療科も多いことが明らかになった。在宅医療を行う上で特に大変であると感じているのは、多い順に「緊急時の対応」(75.4%)、「自身の体力」(52.9%)、「在宅での看取り」(40.4%)、「緊急時に入院できる病床の確保」(35.7%)との回答で、今後の在宅医療への取組については、「拡大4.5%、継続23.8%、減少6.1%、中止3.0%」との結果が示された。
日医総研では、今後、各論についてより深い分析および考察をおこない、次回診療報酬改定に資するデータを追加していくとしている。

全都道府県の新基金の使途、計画書公表
《厚生労働省》

厚生労働省は12月17日、地域医療介護総合確保基金(新基金)の使途などを定めた都道府県の計画書をホームページに公表した。各都道府県別の将来を見据えた医療や介護の提供体制の整備のための単位「総合確保区域」の設定状況や総合確保区域ごとの目標設定や脆弱医療圏への具体的課題と対策等が盛り込まれている。
都道府県によって詳細な目標設定を公表する自治体がある一方で、比較的、大まかな項目ごとに設定しているものもある。具体的には、▼医療従事者の確保、▼医療提供体制についての整備、▼在宅死亡率、▼特定健康診査実施率などの項目が提示されている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html

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