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新規開業に向けて必ず検討しておくべき事項をご紹介します。
開業前に医院の目標・ビジョンを定めておくことなど医院経営を成功に導くために必要な事項について、ご一緒に検討させてください。
(1)経営理念 |
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(2)年度方針 |
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(3)診療圏 |
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(4)戦略 |
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(5)スタッフ |
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(6)コスト管理 |
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(7)情報提供 |
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(8)診療報酬 |
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(9)患者サービス |
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(10)インフォームドコンセント |
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(11)積極的増患策 |
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(12)地域対策 |
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(13)計数管理 |
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(14)院長個人 |
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開業医の現状は決して甘いものではありません。職業として医師を選んだのは大きな決断です。そこには先生が医師として何かやりたいことがあったと思います。それが開業の原点となります。
開業してどのような医療サービスをどんな患者さんに提供していくのか。あるいは、病気になる前の予防医学サービスを健康な人に提供するのか。開業ではそういう医師としての原点が問われます。
経営方針や基本コンセプトといえば論理的に考えてしまいますが、本質は感情的で体験的なものです。おばあさんが闘病の末亡くなったのをみて、子供心に医者になって多くの患者さんを救いたいという願いを持ったといった話を聞きます。
感情は人間の行動のエネルギー源です。医師開業の動機が深い感情や体験に根ざしているほどエネルギーは高まり、一種の使命感が沸いてきます。これが情熱です。
開業を成功に導くものは情熱以外にありません。
そして、情熱が夢になり、ビジョンとして形を現してきます。
先生はどのような医療サービスを患者さんに提供したいとお考えでしょうか。
経営計画の最初に「先生が提供したい医療サービス」を書いてください。
では次に、先生の患者さんはどんな人でしょうか。具体的にはっきりと思い浮かべてください。年齢、性別、住所、体型、気質、気持ち、収入、住居、・・・・。
それではその患者さんに先生の提供したい医療サービスを提供するには、どんな診療所にすればいいでしょうか。
外観はどんな感じですか。看板の色はどんな色でしょうか。診察室と待合室の広さはどれくらい必要でしょうか。スタッフは何人くらい必要でしょうか。診療時間は何時から何時がいいでしょうか。
医療器具や機器はどんなものが必要でしょうか。患者さんに先生の診療所を知ってもらうにはどうすればいいでしょうか。
これらの先生の夢を実現するには費用はどれくらい必要でしょうか。
その費用はどうやって工面しますか。自己資金で足りない分は借り入れも必要ですね。その返済計画も立てましょう。
開業すれば、先生は経営者です。あらゆる問題を自分で処理する心構えが必要です。その心構えを持った上で、スタッフに協力してもらうことになります。実務はスタッフに任せましょう。
医師と経営者と2足のわらじを上手に履きましょう。
先生の夢の実現に必要な投資には次のようなものが考えられます。
1. | 土地購入または借地に必要な資金(整地造成費、測量費、保証金、開業までの賃料等) |
2. | 建物の建築または賃借のための費用(給排水、電気設備等の付帯工事費、外構工事等の別途工事費、設計監理料、保証金、内装工事費) |
3. | 租税公課(土地建物取得時の不動産取得税・登録免許税、契約時の印紙代等) |
4. | 医療機器・備品等購入費 |
5. | 業務用システムの購入(レセプト、電子カルテ等のコンピュータシステム) |
6. | 医師会入会金(医師会により異なる) |
7. | 広告宣伝費(開院案内、チラシ、看板代、開院披露パーティ代等) |
8. | その他(消耗品、薬袋、カルテ等購入費用、開設までの借入金利息、人件費、当初薬品・材料購入費、保険料、コンサルタント費用他) |
9. | 3~4ヶ月の運転資金 |
収益の計算方法(収益のほとんどは保険診療収入と予想されます)
保険診療収入=1日当たり外来患者数×1人1日当たりの診療単価×年間稼働日数
費用項目には薬剤費、人件費、地代家賃、減価償却費・リース料、その他の経費、支払利息があります。
収入は少なめに、支出は多めに見積もるのが収支計画のポイントです。夢に形を与えてくれるのが開業計画書です。
新規開業においては、資金調達の重要性はいうまでもありません。しかし、いざ実際に調達するとなると、先生方個人の活動だけで必要資金の全額をご希望どうりに調達されるのは大変難しいのが現状ではないでしょうか。今回は、当事務所の顧問先の約300件の開業事例の中から、上手な資金調達のポイントについてご紹介致します。
まず、総投資と借入を押さえることの重要性についてご説明致します。 開業にあたっては、土地の購入、建物の建築及び内装工事、医療器械や備品の購入、医師会の入会金等様々な投資がかさむわけですが、それらの合計が総投資となり、その資金は自己資金と借入で賄うことになります。
総投資が大きくなれば、その回収に長期の期間を必要とし、総投資のうち、自己資金の不足分は借入で補うことになります。 借入金の割合が高くなると、経営の安定度が低くなり、元利金の増加により、先生の資金繰りや所得を圧迫することになります。総投資を低く押さえる事例をいくつか挙げてみましょう。
・ | 保証金を返還なしとして低く設定してもらう方法もあります。 たとえば、600万円の保証金で200万円の敷引きの場合と300万円の保証金で返還金なしの場合を比較してみると、前者のほうが、敷引き100万円の差違分だけ有利なように見受けられますが、長期間寝かせる資金であるため、イニシャルコストを押さえるという意味では、後者のほうに軍配が上がるのではないでしょうか。 |
・ | 院長室・スタッフルーム等は賃料・保証金の安い上層階に設置しましょう。 直接診療にかかわるスペースについては多少コストがかさんでも低層階(できれば1F)を確保し、来院患者数の増加を図るべきですが、間接スペースについては、コストの低い上層階で十分ではないでしょうか。 |
・ | 中古機械の活用をしましょう。 医療機械については、デジタル化された最新鋭の機械の発売ラッシュの中で、一方で中古マーケットの普及等もあり、インターネット等を通じ、中古機械の売買も盛んに行われてきています。品質・機能性等に問題が無ければ、中古機械の活用も一考に値するのではないでしょうか。 |
・ | 保有不動産があれば売却し、または生命保険等を解約し、借入金を少なくします。 処分可能な金融資産・固定資産(不動産等)があれば、それを処分し、現金化することによって借入金額を押さえることができます。但し、売却に伴って譲渡益が発生することもあり、課税対象になる場合には税金に注意が必要です。 |
・ | 自動車は中古車でもよいのではないでしょうか。 中古機械と同じ考え方によるものです。 |
次に自己資本比率についてご説明致します。資本とは、開業に必要な資金として調達された資本総額をいいますが、他人資本(借入金)と自己資本(自己資金)とに分かれます。すなわち、自己資本比率とは、開業に必要な資金の総額のうちの自己資金の割合をいいますが、この比率が高ければ高いほど診療所の経営の安定度は高まります。また、親族借り入れは他人資本(借入金)ではあるものの、自己資本(自己資金)に近い性格を持っていますので、重要視する必要があります。
次に戸建て開業の場合の注意点についてご説明致します。戸建ての場合、親族の土地に建築するか、もしくは建て貸しを活用されるのが有効かと思われます。 たとえば、土地はご両親がご購入され、先生が借地されて建築される場合や地主に建物を建築してもらい、それを貸借される場合があります。 いずれにしても、土地の購入からはじめて建物まで建築されるのは投資コストがかさみ、回収が容易ではないからです。
また、住居併用建物の場合、自宅部分の割合を押さえるようにします。これはいうまでもなく、事業用の部分は収益を生むものの、住宅部分はそうではないという経営効率上の問題と住宅部分は減価償却の対象にならないため、事業用部分のように減価償却費として経費化できないからです。(但し、住宅ローン控除の対象になります。)
また、投資額のうち、土地・保証金・自宅部分は減価償却・支払利息・関連経費において税務上不利なので注意が必要です。土地・保証金・自宅部分は減価償却の対象になりませんし、自宅部分の支払利息は経費化できません。更に土地・自宅部分の取得には、不動産の仲介手数料・不動産取得税・登録免許税・固定資産税等の関連経費が発生しますし、その金額も大きいため無視できません。
次に、効率的な借入方法・返済方法についてご説明しましょう。 まず、借入期間と据置期間についてご説明致します。現在のような長短の金利差が小さい時期には、借入期間を長期に組むことが有利かと思われます。たとえば、3,000万円を5年間借り入れる場合と10年間借り入れる場合を比較してみますと、元金返済(元金均等返済の場合)について言えば、それぞれ50万円、25万円となり、返済額に大きな差違が出てきます。借入期間については公的金融機関の場合決まっており、融資期間の制限があります。都市銀行の場合には一般に10年が限度であり、戸建・長期の場合は地銀・信金等の地域金融機関がマッチするものと思われます。借入期間の目安としては、不動産15~20年、設備資金10年、運転資金5年ぐらいではないでしょうか。 また、住居部分が50%以上であれば、都銀の住宅ローン最長35年または住宅金融支援機構が利用できますが、住宅金融公庫については、今年の4月から年収により、借入限度額の制限が厳しくなりました。 返済方法の工夫として、据置期間を設定することができます。据置期間を設定すれば、元金の返済が据置かれ、その期間中(概ね1年~2年程度)は利息のみの返済となります。診療報酬の振込みは2ヶ月遅れであり、開業後1年くらいの期間は収入が少ないことを考慮すれば、有効 な手段といえるでしょう。
次に、借入金利のご説明を致します。この30年間の平均金利は概ね5~6%程度で推移していますが、この10年は史上稀に見る低金利になっています。 このような低金利時代には、公的金融機関の固定レートを利用されるのが最も得策ではないでしょうか。平成25年7月31日現在の金利(期間10年)は①日本政策金融公庫の基準金利が1.55%から②福祉医療機構の診察所新築資金が1.2%です。
このようにして資金調達の準備を進めていくわけですが、この場合に大切な事は、融資の感触を得てから、テナント契約・工事の着工をするという事です。 更に、融資の確認を役席者(融資課長・支店長)にとりつけることが重要であり、融資額が大きい場合・担保が乏しい場合には特に慎重につめる必要があります。不動産の売買契約等を結んで手付金を支払った後、資金調達が予定どおり行かず解約せざるを得なくなった場合、手付金は没収となる場合もありますので注意が必要です。
最後に、運転資金についてご説明を致します。先述しましたように開業当初1年間ぐらいの期間は十分な収入が見込めず、一方で人件費・家賃等の経常的な経費の支払は恒常的に発生します。このため、運転資金として最低、1,000万円~1,400万円程度の手元資金が必要になると思われます。十分な運転資金を持ち、当初にシミュレーションした患者数がすぐには見込めなくても対応できるような盤石な体制が必要ではないでしょうか。更に、診療所の運転資金以外に先生方の1年間分ぐらいの生活資金が別途必要なのはいうまでもありません。
1. | 開業準備費とは、事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用。 開業セミナーの参加費用、開業地の調査のための旅費、ガソリン代、連絡通信費用、業者関係の打ち合わせ費用、関係先への手土産代、工事期間中の諸経費、開業に関する情報入手のための費用、開業までの借入利子、開業広告費用等が挙げられます。 |
2. | 対象期間については、必要な支出であれば特に制限はありませんが、常識的には開業の半年ないし1年ぐらい前迄のものが中心になります。 |
3. | 税務上の処理方法としては、開業後5年以内での任意償却が可能です。開業後何年か経過して所得が大きくなり、税率が最も高くなった時点(最高税率は50%)で経費化されるのが最も効率的ではないでしょうか。最高税率では、1万円の領収書があれば、五千円の税金が節約できることになります。 |
4. | 経費と認められるためのポイントとしては、領収書またはノートに支出日、相手先、支出目的を記入し、領収書をスクラップブックに貼り付けて保存することが必要です。(たとえば、××工務店の××氏と設計の打合せ等と記入します。) |
開業の総資金は、自己資金・金融機関からの借入等で調達されるわけですが、開業総投資額(支出額)と資金調達額は必ずバランス(同一金額)することになります。これを総資金の貸借バランスといい、バランスがとれていない場合には、支出または調達のいずれかに漏れているものがあり、開業資金の流れを明確に説明できませんので、再度見直しが必要です。
また、大口の支払については、次のように各件ごとに資金の種類を明らかにし、資金の流れを把握しておくことが必要です。そして資金の支払については、事業用の通帳を通すことにより記録を残すことができます。
(例)
保証金の支払 | ××銀行定期解約 |
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内装工事代の支払 | ××銀行借入3,000万円より |
医療機械の支払 | 日本政策公庫借入1,000万円より |
また、自己資金については、その資金が本当に自己資金であることを証明する必要があります。個人の預金・有価証券等の解約書類、不動産の売買契約書等のそめい資料を保存しておきます。自己資金は、一旦、事業用通帳に入金し、それから以後は個人と事業の資金を区別するようにします。
自己資金の額が過去の給与等からしてアンバランスな場合にはその資金の出所について問いただされ、贈与を疑われる恐れもあるので注意が必要です。
さて、次に親族借入のポイントについてご説明致します。親族借り入れは、金融機関からの調達と異なり、自己資金に近い性格のものですので活用すべきものと考えます。但し、そのやり方により、贈与とみなされる恐れがありますので注意が必要です。
要件としては、次の3点が挙げられます。
● | 金銭消費貸借契約書を交わします。 |
● | 常識的な借入・返済条件(金利・借入期間・返済方法等)を設定します。 「出世払」「催促無しのある時払い」等にならないようにします。 |
● | 返済実績が必要です。 返済金を振込む口座は給与振込み・公共料金等を取り扱う生活口座がベターです。 |
ここで更に注意を要するのが、ご親族の資金の出所です。親族借入の場合、開業される先生ご本人だけではなく、資金提供されるご親族の資金の出所についても調査されますので注意が必要です。
資金の出所はどのように追及されるかといいますと①テナント開業の場合と②戸建て開業の場合とで異なります。①の場合は開業して5~6年後の第1回目の税務調査の時であり、②の場合は建物を取得してから数ヶ月後に「取得資金のお尋」という文書が郵送されます。
また、ご親族等から資金拠出があった場合には、不動産登記名義にも注意が必要です。資金の持分と登記持分は比例配分させる必要があり、そうでなければ、贈与とみなされます。この場合、借入処理をすることによる対応も可能ですが、詳しくは専門家にお尋ねになったほうがよいでしょう。
所得税は、給与所得者以外は、申告納税制度をとっており、なかでも青色申告を利用すれば、様々なメリットがあります。
青色申告のメリットとしては、
があり、その申請方法としては、開業の日から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を納税地を所轄する税務署長に提出し、その承認を受けなければなりません。
まず、開院時期と税金についてお話致します。よく何時頃の時期に開業するのが一番有利かという質問を受けますが、所得税と開院時期についていえば、初年度の赤字と勤務医給与の通算による源泉所得税の還付が考えられます。
1. | 月収が100万円以上のケース 高い給与所得の税率に対し、赤字を通し還付が期待できるため、12月開業が有利であると思われます。 |
2. | 月収が40万円以下のケース 年末開業で赤字を出しても給与所得の税率が低いため、通算の効果が少なくなり、年初めの開業が有利であると思われます。年初めに開業し事業が赤字であれば、翌年に繰り越せますし、黒字となっても初年度なので多額にはならないでしょうから、給与所得と合算しても累進課税の影響が少ないと思われます。 |
ところで、開業時の重要な節税策として開業準備費の償却がありますが、これについては、先述したとおり、開業後5年以内で任意償却ができますので、開業後何年か経過して累進税率の高くなり、税効果の高い時点での償却をおすすめ致します。
次に減価償却方法の選択についてお話致します。一定の資産について、その資産の使用可能期間に応じて、その資産の取得価額を各年の必要経費に配分する方法を減価償却といいますが、償却の方法には定額法と定率法の2通りがあります。開業初年度の所得が予想以上に大幅に見込まれる場合には、償却額の多い定率法を採用すれば節税効果が高くなります。
以上これまで述べてきましたことを総括し、なるべく長期に亘り税金を支払わないパターンとしては次のような展開が考えられるのではないでしょうか。
このように、開業時の税務として有効な節税策をご説明してまいりましたが、これはあくまでも概略であり、実際の実務にあたっては解決しなければならない問題点が噴出してくるものと予想されます。外部の医療系会計事務所を活用して自院の税務対策を策定されることが安心かと思われます。
テナント型 | 所有方式 | テナント承継方式 | |||||||||||||||||||||
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投資総額 | 4000万円~5000万円 | 5000万円~ | ~2000万円 | ||||||||||||||||||||
パターン | ビル マンション 一軒家 |
ビル マンション 建築 定期借地権 |
親子承継 第3者承継 |
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担保 | 別途 | 当該物件 | 別途 | ||||||||||||||||||||
特色 |
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準備期間 | 短い | 長い | 短い |
・ | 収入 社保国保よりは振込みにて、一部負担金は現金で入ります |
・ | 支出 大口支払として、薬品代・材料代・外注検査料・給与・家賃・リース料借入金の返済等があります。小口支払として、その他の諸経費の支払があります。 |
・ | 社保国保の振込銀行をお決め下さい。 |
・ | 窓口収入は最寄りの銀行もしくは郵便局に、日々もしくは、まとめてご入金下さい。 (まとめて入金される場合、入金伝票は診療日毎に記載して入金した方が、あとからわかり易く便利です) (都市銀行は、集金を嫌います) |
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[患者紹介のお礼、患者の送り先の病院の先生へのお礼、医学上のアドバイスを受けている先生へのお礼、ドクターを派遣してくれる病院、大学へのお礼、銀行、医薬卸、プロパー等関係業者の懇親の為の飲食]
(基本的に「御一名様」の領収書は認められません。又、頻繁に特定の人との接待が発生する場合、その理由を追及されます。特定の仲間内でのゴルフはしばしば問題になります。)
開業の事実を知らしめるとともに、住民の意識の中に自院の存在を植え付けるための一連の広報活動である。その手段は概ね以下の通りとなります。
開院とは一過性のものである。故に訴求性の高いものであることが必須条件となるが医療法に対する配慮も肝要です。基本的に印刷媒体を活用した直接的広告は、開業時以外にありません。
時候の挨拶 | |
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開院告知 | 標榜科目、医院名等を記載 |
前勤務先 | 役職等あれば、「副医院長として」といった表現で記載 |
専門分野 | 開業後の診療活動に関連するものであること |
診療理念 | 「地域に密着した医療の実践」といった表現が多い |
開院日 | 診療時間等もスペースがあれば記載 |
所在地 | |
電話番号 |
挨拶上の配布先としては、特定された人物となります。可能であれば、自ら、あるいは夫人の協力を得ながら足を運び、手渡しすることが望ましいです。効率は落ちますが「院長自らが挨拶に来られた」という印象は、ドクターが考える以上にインパクトがあり、その効果は絶大です。文字どおり「草の根」的な活動 が結果的に患者への周知、吸引に大きく役立つことを認識するべきです。また医師会、近隣の医療機関への挨拶は開業後の評判等を勘案し、慎重かつ細心の注 意を払ながらも、必ず挨拶に回るべきです。
必ず「新規開業」という文言をいれることが重要です。折込広告の場合、業種にかかわらず「新規開業」を銘打った広告が一番注目度が高いからです。従前の医療機関に対する距離的あるいは対応等に対する不満をもつ患者は必ずいるものであり、そういった患者の注目を集めることは間違いありません。「今度はここにかかってみよう。」といった動機を引き出すレイアウトが重要なポイントとなります。
医療法では記載事項の制限は厳しく行っているが、色やデザインについての言及はしていません。つまり自由な展開が可能です。ただし、あまりに奇抜な色彩を使用したり、込み入ったデザインとすることは医療という特殊性から好ましくない、といえます。
レイアウト上、どうしても自院を中心に置きたいのが人情です。しかし実際に医院の規模は小さく、またビル診療所であってもそのビルそのものが、目立たないものであれば、むしろ周囲にある知名度の高い建物、駅などからの視線、動線を勘案した上で、地図を作成する方が得策です。
医院広告は開業時が勝負であり、複数回数で配布を行うべきです。折り込む対象としては基本は4大紙(読売、産経、毎日、朝日)プラス日経、地方紙より購読実態に応じて選択することが望ましいでしょう。その際万遍なく行き渡ることに配慮しなければなりませんが、上位3紙くらいは押さえておくべきです。また折り込む時期については、あまり早く実施しても忘れられてしまう可能性もあるため、1~2週間前に一回、開業直前に1回行なう程度が望ましいです。
特殊な診療科目でなければ、半径2km以内及びその周辺の団地等をターゲットとします。眼科、耳鼻咽喉科等であれば、さらに配布範囲を広げても来院の可能性は高いでしょう。
駅、電柱などに病医院の看板は氾濫しています。果たしてどこまで効果があるのか、と疑問を抱くドクターも多いかも知れませんが、実際看板を見て来院する患者も少なくありません。何よりも恒常的にそこに医院があることを知らしめる唯一のツールが看板です。特にビル診療所や立地が不案内の場合はどうしても看板の力に頼らねばならない、といった実態もあります。故に看板の設置交渉は開院前から進めねばなりません。ただし、多いのがいいという訳ではなく、効果的な配置等を勘案するべきでしょう。
都市近郊のベッドタウンにある駅の看板は軒並み病医院の看板で埋っているような印象を受けます。医療法規制下での看板広告はどれをみても画一的であり、決して注目度の高いものではありません。しかし、毎日の乗降客の反復的な視認は潜在的にその存在をアピールする効果をもちます。
1. | あらゆる階層、職業、年齢の集まる場所に広告することで、折込広告のような一過性のものではなく、半永久的な掲示が可能です。 |
2. |
駅、路線を選ぶことによって対象を絞ることができます。 |
3. | 利用者に対する反復利用が可能です。 |
駅看板と同様に電柱広告も非常に目につく看板です。日常的に注目するものではないが、いざという時に役立つものであり、患者を誘導する絶好のツールとなり得ます。したがって、診療内容、診療時間などが明確であり、できれば地理関係も分かりやすく表現するとより効果的です。常設広告として、もっとも地域に密着したものであり、住民の潜在意識の中への疎求効果は抜群でしょう。
1. | 誘導広告として効果的です。 |
2. | 継続して掲出が出来、反復性が高い。 |
3. | 比較的安価です。 |
4. | 地域をセグメントして掲出出来ます。 |
5. | 掲出個数が自由に選択出来ます。 |
内覧会とは、開業間近の特定の日に医院を公開し、自由にその設備、院長、職員の人柄に触れてもらうことを目的として開催するものです。開院式がフォーマルなものであるとすれば、内覧会はリラックスムードの中で気軽に立ち寄ってもらうといったオープンスタイルであるといえます。開院前認知活動の集大成ともいうべきものであり、是非とも実施してもらいたいイベントです。
機械、設備の搬入、事前PR、職員に対する一通りの教育等が終わったところで内覧会を開くということにはマーケティング活動としての大きな意味があります。第一義的には、患者予備軍へのハード、ソフト両面、すなわち医院としての機能全体を直接PR出来ることであり、二義的には口コミ元の醸成です。不特定多数の健康な人間が医院を訪れるチャンスは、開業してしまえばまずないといってもよいでしょう。この場で出来るかぎり多くの人々と会話を交わし、院長の診療方針などを「劇的」に語れば、その波及効果は極めて大きいといえます。
地域におけるキーマンを中心に開業挨拶の際に内覧会の案内を同封するのが得策です。また近所には直接チラシを投函することも可です。基本的には多くの方々に見ていただき、話をする場であるので、近所の老若男女を問わず招待するべきです。また数日前から医院前に内覧会の案内を掲示し、当日も「自由にお入りください」といった表示をしておけば、来院数は確実に増えます。さらに職員の家族なども招待すれば、安心感を与えると同時に「娘が働いている診療所」という親近感から積極的口コミ活動も期待できます。
最近は、費用はかかりますが内覧会を専用にプロデュースする会社もあり、ご要望があればご紹介しております。
SMO(Site Management Organization)は治験を実施する現場(Site)である医療機関と連携しGCP(Good Clinical Practice)に基づき適正で円滑な治験が実施できるよう支援する組織です。
日本では治験を実施する際の基準として平成元年10月に厚生省薬務局長通知による行政指導として旧GCPが実施され、その後日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)において合意された一層厳格なICH-GCPガイドラインとの調和を図る観点から新たに「新GCP」が制定され平成10年4月施行されています。これにより厳格な新GCP実施以降、国内での治験実施が困難となり空洞化現象が見られるようになりました。このことが国際的に評価の高い新しい薬でも国内承認が得られず患者に届かない状態になっています。(約5割程度の導入率で薬の領域によっては海外から高い価格で購入されている患者もおられます)
こうした背景の中で治験が円滑に進むように治験を実施する医療機関の外部支援機関としてSMOが誕生しました。
・ | 治験を通して最新の医薬品の動向を知ることができます。 |
・ | より良い新薬が少しでも早く承認されることで、病気で困っている多くの患者の治療に役立てられ、社会にそして医療の発展に貢献出来ます。 |
・ | 治験実施に必要な経費や、症例数に応じて治験研究費が依頼者から、医療機関に支払われます。 |
・ | より新しい治療を受けることができるようになります。 |
・ | 予約診察で待ち時間がほとんどなくなります。 |
・ | 健康管理の意識が強くなる方が多いです。 |
・ | 採血等、検査費用は依頼者(製薬会社)が負担してくれるようになります。(特定療養費制度)、又負担軽減費も支払われます。 |
・ | 治験実施環境の整備(SMOが支援致します。) |
・ | 書類保管、同意説明のための場所を確保(SMOが支援致します。) |
・ | 症例報告書の作成(SMOが支援致します。) |
学校医、園医への就任を目的とするものであり、産業医同様、直接的患者吸引を期待するものであります。特に幼稚園、小中学校の場合、診療圏とほぼ完全に合致し、定期検診等による患者確保の効果は極めて高いといえます。
学校が新設される時代はすでに終わり、今後は就任医師の高齢化に伴う交替という形で顕在化する問題です。学校医の選任は通常、校長より教育委員会へ申し出を行い、教育委員会より地元医師会へ推薦の依頼があり、最終的には校長と医師会会長との話し合いによる決定となります。あくまで任命権は校長にあると考えてよいでしょう。
前述の通り、定期検診による患者発掘効果は非常に高く、通学圏と診療圏の合致による患者吸引率は非常に高いものとなります。さらに児童生徒の父兄に対する波及効果をも期待でき、地域密着型医療の急先鋒ともいうべき、メリットを有します。
私立の場合、教育委員会は関与せず、直接交渉が可能であります。公立の場合は、PTA会長等の協力を得て、校長からむしろ医師会会長の承認を取付けるといった事前根回しが必要となります。さらには現職の学校医へのアプローチなども考えられるが、学校医への就任はどの医師にとっても垂涎の的であり、結果的に指名されたという形をとることが、近隣医療機関との関係悪化を避ける意味でも重要であります。
地元に密着した医療提供を行うと、高らかに宣伝して開業したにもかかわらず、医師会以外の活動には一切参加しない、といったスタンスのドクターは以外と多いです。町内会や商店会活動に参加するということの本来の意義を知れば、それがいかに危険な行為であることかが解る筈です。医療の経営とは医師会の仲間で成り立つものではありません。地元の患者があってはじめて成り立つものです。これらの活動を通して、他院より好感をもって迎えられること、顔馴染みになることによって人情的に自院の患者となってゆくこと、による患者吸引メリットを引き出すとともに、このような交流の中で健康管理の重要性を説くなど、文字通りの地域に密着した中での保健活動が展開可能となるのです。
自治会内の組織には老人会、婦人会、子供会などがあり、それぞれが会合、小旅行、懇親会などの諸行事を行っています。これらに参画し、ボランティア活動を行えば地域における「我らの先生」としての地位は高まり、文字通りの近所付き合いの中での診療活動が可能となります。院長が多忙であれば、祭礼の際の酒の差し入れや、ゲートボール大会のトロフィーの提供なども有効です。
役員に就任すると月1回程度の会合、催物の準備、各種書類の配布等の活動をせねばならないが、地域情報が入手しやすくなるとともに、地域における人脈形成が行いやすくなるなどのメリットも多くなっています。何よりも各自治会はドクターのような知的人材を欲していることが多く、「自治会の知恵袋」的な地位を確保できれば、地域住民の信頼を集めるには絶好のチャンスとなります。つまり住民サイドからみれば「ドクターのような知的階級の高い人間が地域のために一生懸命働いてくれている」といった感動を覚えるのです。
医院は進んで来たい場所ではありません。いわんや医院を訪れる患者は心理的にも肉体的にも正常な状態ではありません。このような患者を迎えるにあたって、医院内諸施設における居住性、快適性を追及することは極めて重要です。これらをチェックし、開院前であれば根本的な改善を施し、開院後であっても適宜患者の不満を解消するような方向へともってゆかねばならないのです。これら恒常的な気配りの有無が中長期的な視点に立った場合、患者固定化におけるひとつの分岐点となるのです。
※清掃依頼札:患者がトイレを汚した場合、または汚れに気付いた時に職員に知らせる為の札 だれが置いたか解らないような配慮をせねばなりません。
職員を採用し、即戦力として投入することは、その個性に対する評価はあったとしても非常に場当たり的なものとなります。つまりそこに働く者としての確固たる意識的な背景がなければ、場合によっては院長の意志に反する行動をも取りかねないのです。つまり当該医院の職員としての基本姿勢や規範、モラルなどを予め示し、十分理解させた上で就労させることが肝要です。
MB100の医院があれば100の方針なり理念がある。仮に前職で医院勤務の経験をもつ者が新たに入職したとすれば、その人間はドクターが自らの方針なり理念を示さぬ限り、前職の習慣等を維持したまま働くこととなります。まずはドクターの基本方針、理念の徹底が重要なポイントとなります。
<院長の経営理念例>
たとえば上記のような各項目に対し、院長はひとつひとつ丁寧な説明を加えるよう指導することが肝要です。その際付け加えるべきは、理念そのものが極めて単純かつ当然のことであっても、「読んでおくように」といった行動は慎み、必ず、言い聞かせるように説明すべきである、ということです。院長自らの声をもって「指導」する効果は、100回の黙読よりも高いことを院長は身をもって知るはずです。
民間でいうところの愛社精神であり、また当該医院に勤務することへのプライドの醸成です。さらには厳しい競合下における競争意識の醸成も必要となります。この領域もドクター自らが「教育」すべきものであるが、場合によっては院長が言いにくいことを、医療担当者が代弁することも考えられます。いずれの場合にあっても以下のような項目について徹底すべく、医療担当者は指導せねばなりません。
<帰属意識>
上述したような各ポイントをそのまま読み上げてしまっては、職員はかえって萎縮するばかりです。「私も新米ですが皆さんと一緒に精一杯がんばります」くらいの姿勢を示しながら、それぞれのポイントを話言葉で訴えれば、職員の共感は間違いありません。初動部分での団結は極めて重要であり、ここは文字通り、ドクターの「演技力」が求められるところです。そして基本的に代行が許されない部分であり、また必ず実行せねばならない部分です。「先生を応援しよう」という風土の醸成が患者の満足感を引き出すこととなり、結果的に医院繁栄に繋がるのです。
窓口会計チェックシート
チェック | |||
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(1) | レジがあり、日計表がある場合 | レジの1日収入額と、日計表の1日の収入合計を、毎日照合する(照合担当者は日計表に署名する) 一日の間にも、時間帯で担当者が変わる場合、その時点で仮締めをして、現金残高を合わせる。1円でも合わなければ、原因追究をし、過不足ある場合、報告書 (別紙フォーマット参照)を提出させる。レジペーパーは必ず発行する。現金との照合は、複数の人が実施する(単独実施は不正が生まれやすい) |
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(2) | レセコンから、負担金請求書を打ち出し、領収書に代える場合 | レセコンの1日収入額と、日計表の1日の収入合計を毎日照合する。 | |
(3) | 月計表の点検 | 月計表作成担当者は、月計表作成後、他の担当者が、点検し、署名する。(日計表から、月計表の転記を故意に誤るケースがある) | |
(4) | 銀行入金 | 窓口現金は、全額銀行へ、診療日毎に入金する(ATMが遠方など、まとめ入金もやむをえないこともあるが、診療日ごとの入金を行なうほうが、故意に入金した場合に発見しやすい) | |
(5) | 従業員に入金をまかせる場合 | 従業員に入金をまかせる場合、窓口収入入金帳(別紙フォーマット参照)を記帳させて、必ず、後日通帳入金額と照合する。(窓口収入の一部を、横領し一部を入金しないことがある) | |
(6) | 院長への現金渡し | 院長又は、奥様が、窓口収入を受けとる場合は、受渡し時に、現金を必ず確認する。封筒の表書きより現金が不足していても「現金はその場限り」で、責任を問えない。院長渡しの封筒には、日付・金額・担当者名を記入する(別紙フォーマット参照) | |
(7) | 抜き打ちチェック | 院長が、随時、抜き打ちで、日計表や残高試算表をチェックする。(院内に緊張感が生じ不正の抑止に繋がる) | |
(8) | 小払現金 | 小払現金は、別途、定額を補充し、従業員に小口現金出納帳を記帳させて、管理させる。窓口負担金の収入を、経費の支払に充てることを行なうと、間違いのもとであり、禁止する。 | |
(9) | 手書きの領収書を使用する場合 | 領収書用紙は、必ず院長の了解を得て、購入する。 従業員に冊子が足りなくなったからといって、勝手に購入させない。 領収書用紙は複写式のものを使い、書き損じ分は、処分せずに、×印を記入し、控えの頁とともに保管する。領収書は、連番を付し、厳重に管理する。(勝手に領収書を入手し、ウラの領収書を発行して、医院に入金しないことを防ぐため) | |
(10) | 小さな不正、誤りを発見した場合 | 始末書をとるなど、厳重に対処し、再犯は懲戒解雇といった姿勢を示すなどが必要 | (11) | できるだけ、初期の段階で発見する | 上記のような管理を行なうことは、事務量を増加することになるが、いったん発生した場合のダメージを避けるためには、経営者が行なうべき最低限必要な管理とお考えください。 | (12) | 窓口差額について | 当事務所では、毎年、1年間の窓口収入の理論値と実際収入額を比較し、不足額についておしらせしております。窓口差額は、診療値引、減点、返戻等、様々の要因で発生しますが、従業員による横領が原因となっていることもありますのでご注意ください。 | (13) | 小口現金について | 3万~5万程度で、医院の実情に応じて、月2回程度スタッフに預ける金額を設定してください。支払については、必ず医院名を記入した領収 書をとってください。レジペーパー等がある場合は領収書なしでも可。領収書のとれない支出は、市販の出金伝票等に支払理由を、記入させてください。 毎日、現金と帳面の残を照合させて下さい。1件○円までは、小口払いというルールを決めてください。現金過不足が生じた場合、速やかに報告書を提出させてください。 |