一般財団法人の運営

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一般財団法人の運営

一般財団法人の計画・予算

法律上

一般社団・財団法人が適用する法律には、事業計画や収支予算を作成すべき旨の規定はありません。

よって、法律上は求められていないことになります。

ガバナンス上

多くの利害関係者が関わる一般社団・財団法人では、その事業の遂行のため、事前に計画をし、予算を立てておくことが望ましいと考えられます。

移行法人の手続き上

移行法人が提出する変更認可申請書には翌事業年度の事業計画書や収支予算書の添付が求められます。

よって、移行法人には収支予算書の作成が求められていると考えられます。

結論

【2】【3】から、一般財団法人であっても収支予算書を作ることが望ましいと考えられます。

作成する書類

手順 内容 留意点
事業計画書 当該事業年度に実施する事業を明確に記載してください。 公益目的支出計画の変更認可申請・変更届提出時に添付が必要です。
収支予算書 当該事業年度に係る損益ベースの予算を実施事業等会計、その他会計及び法人会計の3つの会計に区分して作成してください。

手順

定款において定めた期間で承認してください。
モデル定款では理事会決議となっていますが、定款の定めにより評議員会とすることも可能です。

一般財団法人の決算

名称 作成義務のある法人
貸借対照表(BS) 全ての法人
貸借対照表内訳表 全ての移行法人(※2)なお、実施事業資産を注記することにより、作成を省略することができます。
正味財産増減計算書(PL) 全ての法人
正味財産増減計算書内訳表 全ての法人
財務諸表に対する注記 全ての法人
計算書類(※1)の附属明細書 全ての法人
事業報告・事業報告の附属明細書 全ての法人
公益目的支出計画実施報告書 全ての移行法人(※2)。
  1. ※1計算書類とは、貸借対照表と正味財産増減計算書を言います。
  2. ※2移行法人とは、公益目的支出計画実施中の法人を言います。
    なお、公益目的支出計画実施報告書は、定時評議員会で報告する義務がありますので、スケジュール管理が大切です。
    詳しくは、『一般財団法人決算の流れ』をご参照ください。

一般財団法人の決算の流れ

決算関連書類一覧

備考:○=必要 ×=不要





































会計帳簿 × × × × × ×
計算書類
・貸借対照表
・正味財産増減計算書
・財務諸表に対する注記


※1
※1
※1







※2
×




計算書類の附属明細書 ※1 × ×
事業報告 × 報告
のみ
×
事業報告の附属明細書 × × ×
公益目的支出計画 実施報告書 × 報告
のみ
×
★注意点★
監事は公益目的支出計画実施報告書についても監査報告を作成する必要があります。
  1. ※1負債額200億円以上の大規模一般社団法人は、会計監査人の監査を受ける必要があります。
  2. ※2負債額200億円以上の大規模一般社団法人は、正味財産増減計算書の公告も必要となります。

一般財団法人の情報公開

計算書類の備置き及び閲覧等

開示対象

備置き場所

備置き期間

閲覧請求者

定款 全ての事務所 常時 評議員
債権者
評議員会 議事録
(決議の省略時の意思表示書面を含む)
主たる事務所 評議員会の日から10年間
評議員会 議事録の写し 従たる事務所 評議員会の日から10年間
理事会 議事録
(決議の省略時の意思表示書面を含む)
主たる事務所 理事会の日から10年間
会計帳簿 - 帳簿閉鎖時から10年間 評議員
計算書類
事業報告
これらの附属明細書
監査報告
会計監査報告
主たる事務所 定時評議員会の日の
2週間前の日から5年間
評議員
債権者
従たる事務所 定時評議員会の日の
2週間前の日から3年間
公益目的支出計画実施報告書 主たる事務所 定時評議員会の日の
2週間前の日から5年間
制限なし

決算公告

大規模一般社団法人

大規模一般社団法人以外の法人

公告の時期 定時評議員会の終結後遅滞なく
公告する書類 ・貸借対照表
・正味財産増減計算書
・貸借対照表

公告の方法

公告期間

官報
時事掲載日刊新聞
電子公告 定時評議員会の日から5年間
見やすい場所に掲示 公告の開始後の1年間

変更認可・変更届出の違い

変更認可が必要な場合

  1. 公益目的事業の内容を変更(新規追加および廃止を含む)する場合(※1)
  2. 継続事業の内容を変更(新規追加および廃止を含む)する場合(※2)
  3. 特定寄附の内容(相手方等)を変更(新規追加及び廃止を含む)する場合

    ※変更認可不要の場合あり。変更届出が必要な場合3参照。

  4. 収支の見込みに変更がある場合

    ※変更認可不要の場合あり。変更届出が必要な場合4参照。

  1. ※1事業内容の変更であっても、事業の公益性についての判断が明らかに変わらない場合、変更認可は不要です。変更届出が必要な場合2参照。
  2. ※2 事業内容であっても、事業の目的・性格等の同一性が認められる場合、変更認可は不要です。
    変更届出が必要な場合2参照。

法人税等の取扱い

法人類型

法人類型

内容

課税対象

普通法人 非営利型法人の要件を満たさない
一般社団・財団法人
全所得
非営利型法人 非営利性が徹底された法人
共益的活動を目的とする法人
収益事業の所得
(参考)
公益社団・財団法人
公益認定を受けた
一般社団・財団法人
収益事業の所得
(公益目的事業に該当する事業を除く)

非営利型法人の要件

非営利性が徹底された法人

共益的活動を目的とする法人

法人の目的・事業
  1. 1.共益的事業を主たる目的としていること
  2. 3.主たる事業として収益を行っていなこと
会費の定め
  1. 2.会費の定めがあること
    (定款又は社員総会)
定款の規定
  1. 1.剰余金分配不可
  2. 2.残余財産の帰属先を公益的な団体とすること
  1. 4.特定の個人等に剰余金分配する旨の規定不可
  2. 5.残余財産の帰属も同様に特定の個人等は不可
特別の利益
  1. 3.上記(1)(2)に違反した行為を行ったことがないこと
  1. 6.特定の個人等への特別の利益の供与不可
理事の親族制限
  1. 4.理事総数の3分1以下
  1. 7.理事総数の3分1以下
【収益事業とは】
非営利型法人は、収益事業を行う場合に限り、法人税等の納義務があます。
法人税法上の収益事業とは、法人税施行令で定められた34の事業で、主なものとして以下の事業があります。

ex)物品・不動産の販売業・貸付業、製造業、請負業(※)、出版業、医療保険業、駐車場業

※法人税法上の請負業範囲は広く、例えば業務委託なども含まれす。

一般法人非営利型2タイプの比較

非営利徹底型法人 共益活動型法人
解散時残余財産の分配 不可 (一定の公益的団体の帰属) 可 (特定の個人又は団体への帰属を定款へ記載することは不可)
理事の同族制限 1/3以下 1/3以下
事業制約 合法であれば可 共益的活動が主目的
収益事業 制約なし 1/2以下
会費の定めの定款記載 不要 必要
特別利益の供与 禁止 禁止
想定する団体 財団、社団 社団